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BCGを新型コロナ予防のために注射⁉非常識にもほどがある(怒)

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日本株のBCGが肺の免疫を強化している可能性が示唆され世界各国で臨床実験がスタートされましたがまだ仮定のお話。そして大部分の日本国民がすでに摂取しています。

大人になってもう一回BCG打てば無敵と考えてしまうお気持ちはわかりますが、そこにつけこんでBCGをビジネスにする医師がいて、そんな医師に限って禁忌行為を行うという情けない事案が発生しました。

絶句。新型コロナ予防でBCGを注射してしまうとは。

新型コロナ感染の拡大に伴い、正しくない間違った予防方法が残念ながら出回っています。例えばBCG接種をした人は新型コロナに感染しにくい、あるいは感染しても重症化しにくいとの情報が世界的に駆け巡っています。

しかし、果たしてBCGが新型コロナの感染を予防するかについては、現時点では仮定にすぎません。

そんなこんなの新型コロナからみのBCGを実際に患者さんに注射してしまった非常識というか、信じられない医師がいたのです❗

BCGワクチン接種ミス

毎日新聞 新型コロナ感染症予防しようと⋯BCGワクチン接種ミス 成人に“絶対禁止”の皮下注射(https://mainichi.jp/articles/20200410/k00/00m/040/275000c)

新聞は「ミス」と書いていますけど、「ミス」と呼べるような事態では無い、と医学を学んだものは考えるはずです。常識外、非常識を超えたありえないことなんです。

私の専門は泌尿器科です。泌尿器科では膀胱がんの再発防止のための治療としてBCGが使われています(予防接種用のBCGとは違う薬剤である点にご注意ください)。

そのため、BCGに関しては他の科の医師よりはちょっと詳しいので、予防接種用のBCGを新型コロナ予防の為に使用することが現時点でどれだけ愚かな医療行為であるかについて少々述べさせてください。

BCGは正しく使用しなければならない理由

泌尿器科領域で膀胱がんの治療としてBCG(正式名称はフランス語でBacille de Calmette et Guérin、これの略がBCG)が使われていて、有効性は多くの医学論文によって報告され、標準治療として世界中で採用されています。

効果の反面、副作用もあることが泌尿器科医であれば理解しています。また、泌尿器科で使われるBCGは赤ちゃんにスタンプ式の予防接種で使われる薬剤とは名称も違いますし、使用方法も違っています。

膀胱がんの治療に際して、いくらがん治療のためであったとしてもBCGを人体に直接注射することはありえないのですが⋯なんと、今回の新型コロナ騒動に乗じて直接BCGを注射してしまった、トンデモなんて可愛い表現が適用されないようなバカ医師がいたのです。

BCGによる予防接種が赤ちゃんが結核に感染して重症化しないように開発された薬剤です。それをまだ効果や副作用が検証されていない段階で新型コロナの感染予防に使用してしまう医師がいるとは⋯絶句。

信じがたいことであっても、新聞報道を見る限りでは、やっちまったのですね。

この医師って患者さんにBCGを使用するときに添付文書さえ読んでいなかったことが強く疑われます。

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経皮接種用の濃厚なワクチンであり、もし皮内等に注射すると強い局所反応を呈するので、絶対に注射してはならない。

日本ビーシージー製造株式会社 乾燥BCGワクチン添付文書

「絶対」との言葉は医師は絶対に使ってはならない、と医師免許取立ての頃先輩に言われた医師は多いと思います。

絶対という言葉を使うことは絶対(ここでは使いますね)避けるべき医療業界に於いて、BCGの添付文書は「絶対にしようしてはならない」と強く注意喚起をしています。

新型コロナ感染症ウイスる感染を恐れる一般人であろうBCGを注射されてしまった患者さんが、BCGの添付文書を読んでいないことはあっても、実際に医療行為としてBCGを患者さんに注射してしまう医師がいたなんて、今でも信じられません。

ちなみに泌尿器科で膀胱がんの再発防止として使われるBCGは、注射ではなく、膀胱内への希釈液を注入します。そのような使用方法であったとしても、BCG感染(播種性BCG感染、局所性BCG感染、異所性BCG感染など)可能性があるために使用にあたっては慎重に行っています。

※注意 赤ちゃんに対するBCGの安全性は確立されています。反ワクチン派と呼ばれている人たちの医学的・科学的根拠を欠く「ワクチンは怖い」に惑わされないようにしてください。

BCGが免疫系に影響があることは間違いないけど⋯

結核の予防手段としてBCGが使用されて、乳幼児にされることが法律で定められたのが1951年。膀胱がんの治療にBCG療法が普及したのがここ十数年です。

なぜBCGを膀胱がんの再発防止に効果を発揮するのか?いわゆる作用機序として、免疫系の物質に影響をするためと考えられています(詳細はかなり複雑になるので今は記載しません)。

膀胱がんにBCGを使用するときに「免疫療法」と称することが多いため、ニセ医学方面が科学的医学的根拠が確立されていないのに安易に「免疫療法」とか「免疫治療」と呼ぶために、混乱してしまう患者さんがいます。

さらに結核に対するBCGの効果も免疫を介するものですから、今回の新型コロナに関して一般の方がネット等で垂れ流される情報から「BCGを接種すれば新型コロナの感染予防になるかもしれない」と判断してしまうことを責めることはできないと思います。

ここからは想像になってしまうので断言はできませんが⋯BCGを直接注射した医師はBCGが生ワクチンであることも知らないし、さらに免疫系の知識もプアーだったのでしょうねえ。

BCGが新型コロナの予防になる、これは他にも大問題が

今回、非常識な信じがたい医師によってBCGの適応外の使用の怖さがメディアによって報道されて良かった、とも考えられます。

というのは、自分さえ良ければ、との考えの医師および一般の方へ対しても抑制効果が期待できるからです。

BCGが必要とされている医療現場で足りなくなってしまう可能性があり、さらにBCGを受ける必要のある赤ちゃんにBCG接種ができない状態になりつつあるのです。

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BCG ワクチンを接種する優先対象は、定期接種の対象者である0歳児であると日本小児科学会は考えます。また、BCGワクチンの供給量には限りがあります。

日本小児科学会

つまり、BCG接種が必要とされている赤ちゃんへの供給量が足りなくなる可能性が危惧されています。

実は、新型コロナの世界的な感染拡大に伴い、BCGの販売量が通常の3倍にもなっています。

製薬会社「日本ビーシージー製造」によると、3月末に出荷量が通常の3倍に急増した。

毎日新聞 2020年4月10日

少子化が問題となっている日本でBCGの必要量が3倍になるほど、子供が一気に増えることはないはずです。つまり、適応外の使用、当然新型コロナの対する予防効果を狙って大量にBCGを発注した医療機関があるんでしょうね。

BCGを接種している国は新型コロナ感染者が少ない、感染しても重症化のリスクがさがる、この傾向を示しているデータは多数あります。

でもねえ、現時点では仮説にすぎない、という点にご注意ください。

マスクを高額販売するような医師やBCGを適応外使用する残念な医師が医療崩壊を招く

マスク不足の一つの原因として、医療機関による非常識な大量発注が表沙汰にはなっていませんが、医療従事者の間で囁かれてます。

メルカリやYahoo!オークションでのマスクの高額転売がマスク不足の原因としてメディアに取り上げられました。しかし、医療関係者による買い占めというか、通常の発注量をはるかにオーバーする注文が医療系の問屋さんに来ていたのは事実。

自分さえ良ければ、と考えてしまう医師および医療関係者が残念なことですが、いるのは間違いないです。

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https://twitter.com/Go_Go_Go_Go_Go/status/1248185171523690496

私が目撃した某美容系クリニックは「サプリメントを購入すると今ならマスクをプレゼント」なんて非常識なことを行っていました。

ひょっとしたらマスクを大量発注して、医療機関のマスク不足の原因を作った一つはこのようなモラルを欠いたクリニックなのかもしれません。

必要なところにマスクが届かない、そのために新型コロナに対応している医療機関が深刻なマスク不足に。さらに今回のBCGを打ってしまった患者さんは当然救急外来等を受診しているでしょう。

これが医療崩壊につながるのです。

お時間がありましたら、これもお読みいただけるとうれしいです。

新型コロナで死亡者数40万人❗との衝撃的な報道、真意を私的解釈してみました。

新型コロナで死亡者数40万人❗との衝撃的な報道、真意を私的解釈してみました。

新型肺炎による国内死亡者数が40万人以上という報道がありましたが、これは対策を講じなかった場合の最悪のケースです。つまり起こり得ない未来のお話。いま国民一人ひとりが我慢して頑張っています。医療もギリギリで踏ん張っています。数字だけに惑わされないでください。ニュース・数字の鵜呑みは危険です。  

正しく恐れる」、これは名言中の名言だと思います。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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