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年間の事故は10万件!とんでもない中国の美容医療とは?

はじめに

日本ではあまり中国の美容医療の事情は知られていません。
私は中国の方向けに美容医療を行っていることもあり、日々中国の美容に関する情報を収集しています。私は中国語が好きで、今でも毎日中国人と色々やり取りをしています。

中国の美容医療は面白いというか、恐ろしい話が多々あるのでそのあたりについて今回はお話したいと思います。

私が中国語を学んだいきさつと勉強法

中国語を学んだいきさつ

中国語を勉強し始めたのは今から8年前で、最初のきっかけは書道ですね。
私は漢詩を好んで書道で書くのですが、これは漢字が好きだからです。漢字好きにとってはその中でも漢詩はたまらない魅力があります。

私はまた音楽を聴いたりピアノの演奏も大好きです。
中国語はアクセントがあり、音の変化が音楽的で美しいのですね。そんなわけで中国語にひかれて勉強をはじめたのがきっかけです。

そんなわけで余暇に中国語の勉強をはじめたのですが、その後「爆買ブーム」が起こりました。
日本の製品やサービスは安くて品質が良いため、中国の方が大挙して日本にやってきて、医薬品や家電などを大量に買う光景がそこらじゅうで見られるようになりました。

中国の方にとっては中国製にはとにかく「安物」「偽物」「危険」なものが多く、それに対して日本製には「安心」「高品質」というイメージがあります。

医薬品はとにかく日本製が大人気です。
サロンパスが中国ではとにかく大人気です。中国製の湿布はかぶれたり、ちょっと動くとすぐ剥がれたり、フィットしないのです。
日本人からするとごく当たり前に感じるつくりのよさが人気の理由です。
目薬なんかもそうですね。日本製はアレルギーといった危険がない。中国製には危険性のある製品が数多くあったり、偽物も多数あります。偽物は本当にパッケージとかそっくりなんですよね。

化粧品も大人気です。資生堂とか大人気のブランドです。
もちろん我々も知っている欧米のブランドの化粧品も人気ですが、高価すぎて手が届かないので興味を持っていない人が多いです。

なんとか手の届く価格で品質がいいというのが日本の製品のイメージです。ユニクロとかトヨタとかそんなイメージです。
日本では安価なブランドのユニクロも高級なブランドとして認知されていて、日本人にとっては、欧米の高級ブランドのようなイメージを持っているようです。

粉ミルクも大人気ですね。2008年に起きた製造業者が粉ミルクにメラミンを故意に混入した事件で、乳児が6人亡くなり、30万人に健康被害が及んだ事件がありました。これで中国製の粉ミルクは危険だというイメージが定着しました。
そんなわけで日本に住んでいる中国の方の中には毎月親戚のために大量に買い込んで送っている方もいらっしゃいます。現地で買うと高かったり、日本製とうたっている中にも偽物もありますし。

そして私の仕事である美容医療ですが中国は日本に比べると、圧倒的に劣っているというかヤバいレベルです。どうヤバいのかは後で詳しくお話しますね。

体にメスを入れることもあり、安心できるクリニックを選びたいというニーズは非常に高いのです。
日本で安心して美容医療を受けたいという中国の方がたくさんいらっしゃるので、当クリニックでも中国の方向けの美容医療を行うように準備を進めていました。
そのために私も中国語の勉強をピッチを上げて進め、中国語検定2級を取りました。
ちなみに1級は大変難しいです。

中国語を勉強した方法

中国語は発音がとても大切です。アクセントが違うと別の単語になってしまうので、カタカナを読み上げるのでは意味が通じません。

最初は中国語会話を聞いて、同じ文章を話す練習を繰り返します。他の言語、例えば英語のなどでも効果的とされているシャドーイングですね。
また、発音が正しいかネイティブの人にチェックしてもらう必要があります。

ある程度話せるようになってからは先生とテーマを決めて会話するようにしました。日常会話はだいたいできるようになりました。

今でも語学力を維持するために中国人の友達とWeChat(ウィーチャット)というLINEみたいなアプリを使って毎日連絡しあっています。使わないと忘れてしまいますので。

今やり取りをしている方は、もともと中国語を教えてくれていた先生の知り合いの方です。
東北大学の大学院に入学して、博士号を取ってその後、電通にお勤めになっていました。
奥様がマレーシア人なので現在はマレーシアにお住まいです。

最初に中国語を教わった先生から、別の先生を紹介していただいて、またその次に別の先生という感じで現在は5人目ぐらいになります。

中国語はこんなところで役に立っている

まあ、今は例の感染症の関係で中国から観光客が来られない状況です。
そんなわけで美容目的で来日する患者さん相手の診療についてはいったんストップしてしまっているのですが、そのうち開始したいとは思っています。

それでも中国語は役に立っています。
中国からわざわざ来るという方はいらっしゃらないのですが、日本語のわからない中国の方に、中国語で応対するととても喜んでいただけます。喜んでいただけると中国語を勉強してよかったと本当にそう思います。

中国の美容医療はどうヤバいのか?

無資格クリニックがほとんど!

中国で美容医療を行っているクリニックは大きく分けると下記の3つになります。

  • 国公立病院の形成外科
    レベルは高く、やけどした場所への皮膚移植や交通事故で失った顔面を修正したり、みつくちといった先天異常を修正する確かな技術を持っていますが、美容医療をやっているところはほとんどありません。
    このへんの事情は日本も同じような感じですね。
  • 大型チェーンクリニック
    技術レベルはまあまあで、それぞれのクリニックにとりあえず医師はいて、医師の監督があるのでそれなりのレベルでやっています。
  • 個人クリニック
    大多数がこれにあたり、しかもほとんどが無資格での治療を行っているのです。
    無資格クリニックは中国にある美容医療のクリニックのなんと86%にあたる8万軒!ほとんどは素人がやっているのですね。

中国では美容医療の需要が大きいので違法のクリニックに患者さんが流れている現状があります。
合法にやろうとすると、認可を得るのが大変、認可基準が厳しい、開業するにもコストも掛かる、認可に時間もかかったり、賄賂も必要になります。

これらがいろいろ大変なので、日本から美容クリニックが進出するのも難しいのが現状です。まあ、このあたりはあまり言わない方がいいかもしれないですね⋯。

技術が拙劣だったり、ぼったくるクリニックが大変多く、ブラックな美容クリニックは黒医美(ヘイイメイ)という言葉で社会問題になっています。
素人がやっているクリニックが多いこともあり、10万件もの医療事故が発生し、死亡事故も多発しているというデータもあります。

衛生管理といった衛生に関する基本的な知識や観念が、まるっきり欠如しているクリニックもあります。
他人の死体から鼻の軟骨を取って、女優さんの鼻に移植して感染を起こして鼻が壊死してしまったというニュースもあります。

死亡事故といった重大な事件が起きるとどうなるか?ですがそのクリニックを畳んで逃げてしまったり、名目上経営者を変えて営業するということもよくあるようです。

中国政府も摘発を進めていて、年間3,000件ぐらい違法なクリニックが摘発されていますが、何しろ数が多すぎて摘発しても追いつかない、まさにいたちごっこの状況です。

黒医美は両極端です。
すごく安いけど無資格の人、その逆に医者がやっているけど1,000万なんていうとんでもない金額をぼったくるクリニックもあります。
ぼったくるクリニックは、手術前に提示する金額と手術後の請求金額が違うという手口でとんでもない金額を取ろうとします。
特殊な薬剤を使ったとか、施術に手間がかかったとかあれやこれやと理由をつけて追加で請求してきます。詐欺みたいな、というか詐欺そのものです。

それなら日本で美容整形をしてもらったほうがずっと安いし安心ですよね。

無資格クリニックがはびこる理由

どうして素人が美容医療を始めることができるのか?についてお話します。

比較的良心的なクリニックでは管理者は免許を持っています。
しかし、管理者はほとんど施術をしないで素人にやり方を教えてやらせているのです。日本の飲食店のシステムに近いです。調理師の免許を店長は持っているけど、実際に調理するほとんどの従業員は無免許ですね。こんな感じです(笑

クリニックで経験を積んである程度できるようになると、素人の人が自分でもできると思って独立するのです。
更にそういう素人がやっているクリニックが素人を雇って、そこでまた素人が独立してみようみまねで美容医療を行うようになるというこんなループがあるわけです。

素人でも確かに数をこなせばうまくなりますが、最初の頃にやった人なんかはひどい目にあいます。そんな状況ですから事故は絶えないですよね。

あまり大声では言えない話ですが、日本で医師免許を剥奪された医師が、中国で美容外科医をやっているケースもあるようです。

とにかく中国人のお金にかける情熱ってすごいと思います。ダンボールを使った肉まんみたいなものを売ってしまう人がいる国ですからね。

とにかく美容医療は儲かるのでどんどん素人でも参入してくるのです。ではどうしてこんなに美容医療が儲かるのでしょうか?

中国は美容医療の市場はとても大きい

中国の美容医療の市場規模はなんと3兆円!

中国人のお金を使う優先順位はこんな感じです。

  1. 旅行
  2. 美容

4番目に美容が来るのですね。
富裕層の方は家も車も持っているし、旅行もたくさんしています。そこで美容にお金を使います。ということで美容医療にも喜んで大金を使う方がたくさんいるわけです。

富裕層は年齢の高い人が多いです。
若い人には富裕層は少ないのですが、美容医療のニーズが最も高いのは20~25歳が一番多いです。その次が26~30歳、18~19歳、30~35歳の順となります。

中国では美しいほうが就職や、結婚に有利という認識が広く共有されています。
そのため、富裕層とはいえない方々もローンを組んで美容整形を行うのです。就職や結婚に成功すれば、ローンを組んでも後で回収できるからです。

そんなわけで富裕層の方も一般の方も美容医療を行うようになった結果、美容医療の市場はなんと3兆円。日本は3,000億円ぐらいなのでだいたい10倍ですね。
だいたい中国の人口は日本の10倍ぐらいなので、同じぐらいといえば同じぐらいです。しかし、平均所得が3倍ぐらい違うことを考えると日本よりはるかに美容医療に熱心だといえますね。

IT大国ならではの一面も

中国は独自のITの進化を遂げた国ですが、その中でも美容医療は特に進化しています。
美容医療に関連するスマホアプリはなんと1万種類以上もあります。

食べログみたいに美容医療クリニックを比較するアプリは当然あります。
また、美容版のミシュランガイドみたいなアプリがあったり、口コミや体験談を見ることができたり、割引クーポンを手に入れることもできます。
そのあたりは当たり前なのですが、オンラインカウンセリングを受けられたり、ライブ配信が見られたり(すごいですね)、様々な症例写真をバンバン見ることができたりします。

ユニークだと思うアプリとしては、AIで顔のバランスを測って、顔の黄金比に従ってここを直したほうがいいという診断ができるアプリもあります。
また、美容医療のローンの融資まで斡旋してくれるアプリとか、約5,000円の年会費を払うと、プチ整形が年に12回受けられるといったサービスもあり安さに驚きます。

中国で人気の施術は?

日本の美容医療ではアンチエイジングが多く、85%は切らないヒアルロン酸やボトックス、レーザー治療がメインです。切るフェイスリフトや脂肪吸引といった美容外科は15%程度とかなり少ないです。

これに対して中国では6割が切る治療となっており、その中でも脂肪吸引が多くを占めています。中国の若い女性は太っているとコンプレックスを強く感じるのですね。
脂肪吸引は機械を使うこともあれば、注射器を使って抜くこともあります。やり方そのものは日本とあまり変わりません。

二重まぶたにする施術は中国でも大人気です。やはり東洋人なので一重まぶたが多いのは日本人と一緒です。

その次は鼻を高くする隆鼻術。

また、脂肪幹細胞の注入やPRP療法といった先進的な治療も、お金持ちの間では人気になりつつあります。

ヒアルロン酸やボトックス、プラセンタといった薬剤の注射もやはり人気があります。
しかし、中国には偽物の薬剤がたくさん出回っているんですね。ヨーロッパの薬剤を包装まで含めてそっくりに真似た偽物がクリニックで使われていることもよくあります。
そのためプラセンタといった薬剤を日本でまとめて買って、中国に持って帰って施術してもらうといったこともあります。
そのような患者さんは、必ず目の前で開封してもらい、偽物にすり替えられていないことを確認します。せっかく本物を持ってきても、別の偽物を使われてしまうことが多いのですね。

当クリニックに来院される中国人の患者さんにもいらっしゃいます。
薬剤の使用期限を自分の目で確認して、目の前で開封してもらい注射器に吸い出すところまで確認します。

注射器も目の前で袋を開封するのを確認する方もいらっしゃいます。中国では注射器や注射針の使い回しも頻繁に行われているので、自衛のために用心しているのですね。

中国の美容医療の相場は?

ブラックなところだと5,000円ぐらいで二重にする埋没法といった施術をするところもあります。安すぎて怖いですね。
それはあまりにも安いのですが、相場としては色々調査してみたところこんな感じです。

二重まぶたにする 5~10万円ぐらい
シリコンを入れる隆鼻術  20万円ぐらい
エラを削る手術  60万円ぐらい
切るフェイスリフト  100万円ぐらい
脂肪吸引  30~40万円ぐらい
豊胸手術  170万円ぐらい

豊胸手術は高いですが、他は日本とほとんど変わらないですね。
ちなみに豊胸手術もなかなか人気があるようです。

これから日本で美容医療を受けるのがブームになるはず

今は伝染病の影響で国々の間を自由に行ったり来たりはできないのですが、いずれ感染が収束したらその反動で美容医療をやりに来る人がすごく増えると思います。

今までは中国の方の間では韓国に行く、あるいは韓国人の美容外科医を呼び寄せて施術をしてもらうのがステータスでした。
しかし、日本の美容医療が近年では急速に注目され始めていました。

韓国では黄金比といった理想のバランスとされている顔に近づける手術ばかりで、まったく別人にしてしまう整形が好きで得意としています。
日本はその逆で、できれば整形したことがバレたくないと考える人が多いのです。
今の顔の特徴を生かして個性ある美しさに仕上げることを理想としています。一人ひとりデザインを考えないといけないので、デザイン力が必要になるのです。

実は中国人の考え方は日本人に近く、できればバレたくないと考える方が多いのです。そこで日本のナチュラルな美容整形が脚光を浴びていて、日本に来る患者さんが多くなってきていました。
そこに伝染病の影響で一気に少なくなったのですが、また中国の方が自由に来られるようになると嬉しいと思っています。

あんなに高い代金を払って死亡事故にあったり、重大な医療事故にあう方が絶えないのは不幸なことです。
それなら日本に来て美容医療を受けていただくのが幸せなことだと思いますので。

執筆者情報

松下洋二医師

このブログ記事の筆者:松下洋二
Yoji Matsushita, M.D.

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験が、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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