鼻の手術のオープン法とクローズ法について

オープン法とクローズ法とは

例えばお腹の手術について考えてみましょう。
昔は腹を大きく切って直接手を突っ込んで目で臓器を見ながら手術をしていたわけです。
今でもそのような手術はありますが、内視鏡手術が増えています。直接手では触らずに、ちょこっと切ってそこから内視鏡などの様々な器具を差し込んで行う手術ですね。

どうして内視鏡手術が増えているのかというと、大きく切ると体に負担がかかり、回復にも時間がかかることで、入院期間が長引いたり、痛みが辛かったり、傷跡が大きく残ったりするからです。そのためなるべく小さく切るようになってきているのです。

鼻の手術のオープン法とクローズ法はこれに似ています。
オープン法は通常の手術のように大きく切って鼻の皮膚をはがして、中の骨組みである軟骨や骨などを露出させ直接目で見ながら行う感じ。そしてクローズ法は内視鏡手術のように切開する部位を必要最小限にして行う手術です。

しかし、鼻に関しては近年侵襲の大きいオープン法が流行しており、できるだけ侵襲を少なくするという最近の外科手術の潮流にむしろ逆行しているかたちになっています。

オープン法とクローズ法の違い

①クローズ法

鼻の手術クローズ法(正面から見た図)

②オープン法

鼻の手術オープン法(正面から見た図)

③オープン法を横から見た図

鼻の手術(オープン法を横から見た図)

クローズ法

①のように鼻の内側だけを切る手術です。複雑な手術には向きませんが、切る範囲が小さいため術後の腫れや内出血などのダウンタイムが短く、また傷口が見える場所にないので、美観に優れます。
鼻の手術が初めての方や、大きな変化を望まず、ナチュラルな仕上がりを希望する方、小修正の場合、ケロイド体質の方、老人など体力のない方、ダウンタイムが長いと困る方に特にお勧めします。

私が鼻の手術をする場合は通常はクローズ法を採用します。当クリニックは美容外科なので、美しくすることを目的として施術を行います。そのため、傷跡が残るオープン法を採用することはできる限り避けるべきと考えているからです。

しかし、クローズ法には経験と技術が必要になります。鼻の場合は内視鏡を入れるわけにはいかないので、手探りでやるしかないからです。
鼻の中に器具を入れて鼻の外から触って器具の当たる感触で場所を確認して行うのですが、これは非常に難しいのです。

オープン法

②のように切開して鼻先の皮膚を大きく引きはがして、②の右の図のように中の構造を直接目で見えるようにして行う手術です。③は横から見た図ですがこの方がわかりやすいかもしれません。

複雑な手術や、鼻の中に大きな軟骨・骨などを入れる場合、直接目で中の状態を確認する必要がある場合などにオープン法が向いています。
よく見えるため操作がしやすい反面、切る範囲が大きく、腫れや内出血などのダウンタイムが長いこと、傷跡が残りやすいのが大きな欠点です。

原則的に傷跡のみを考えるならクローズ法が優れているといえます。しかし、下記のような場合はオープン法を採用したほうが良いケースといえます。

  • 事故などによって生じた鼻の変形や欠損など、多くの工程が必要な複雑な修正手術
  • 何度も鼻の手術を繰り返して鼻の中の瘢痕化がひどい例
  • みつくちといった重症の先天奇形のような強度の変形があったり、左右非対称の鼻を修正するような場合
  • 大きな軟骨・骨・ゴアテックスなどの組織や異物を入れる場合
  • 鼻の穴が極端に小さい場合
  • 鼻の形をガラッと変える場合、例えば鼻先を延長する鼻中隔延長といった手術
  • 鼻の手術の経験の浅い医師が手術を行う場合
  • 鼻を高くする際に埋め込んだゴアテックスをとる場合。ゴアテックスとは人工血管などで使う素材です。シリコンと違って周囲の組織にくっついてしまうので簡単にとれません。そのため大きく切る必要があります。特に眉と眉の間にまでゴアテックスを入れている場合にはオープン法で手術する方が絶対によいです。

しかし、デメリットも多くあります。

  • 大きく切るため腫れがひくのに時間がかかり、内出血の程度も大きくなるのでダウンタイムが長いです。
  • 白人と違って東洋人や黒人は体質として瘢痕やケロイドになりやすいので傷跡も残りやすいです。
  • 鼻の形がどうなっているか、皮膚をめくっている状態では判断できないため、確認のためにいちいち皮膚を元の位置に戻し、仮縫いして、形を確認する必要があります。思い通りの形でなかった場合には、仮縫いの糸を外して、再度皮膚をめくり、内部の調整して、また同じように皮膚を元の位置に戻して・・・を繰り返します。場合によっては形が決まるまで6回も7回もこの工程を繰り返すこともあります。
    よって手術にかかる時間も長いです。
  • はがす範囲が広くダメージが大きいため、軟骨や靭帯といった鼻の形の支えとなる支持組織がダメージを受け支持性が弱くなることがあります。
    建築にたとえていえば鉄筋コンクリートの建物で、コンクリートがはがされて鉄筋だけになってしまうようなイメージです。
  • 広範囲に皮膚を引きはがすので皮膚の血流が悪くなり壊死することがあります。その場合には鼻柱の皮膚が欠損したり、極端に鼻柱が細くなってしまったりといったリスクがあります。

最後に

オープン法、クローズ法のそれぞれについて、長所と短所を述べてきましたが、いずれにしてもどちらの方法が優れていると言う優劣をつけるものではありません。
手術内容によってベストなアプローチ法を決定します。ただ最近の傾向として、安易にオープン法を行う傾向があり、美容外科医としては極力傷跡は最小限にする配慮が必要だと考え、当クリニックでは不必要にオープン法を行うことはしていません。
幸い日本人は整形する場合に他人に分かるほど大きな変化を望まない方が多いので、ナチュラルな仕上がり、部分的な修正が希望であればクローズ法で充分対応できるケースが多いです。

執筆者情報

松下洋二医師

このブログ記事の筆者:松下洋二
Yoji Matsushita, M.D.

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験が、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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