エラをすっきりさせて小顔にするならエラボトックス

エラが張る原因

エラが張るのは、顔の骨格の形に原因があると思われるかもしれません。
しかし、原因としては筋肉の肥大の方がずっと多いのです。
以下の図で示す咬筋(こうきん)が発達しすぎるとエラが目立つようになります。

咬筋

歯ぎしりや歯を食いしばる癖のある方、せんべいやスルメといった硬いものを好きでよく噛む人などは、咬筋が鍛えられて肥大しエラがはってくるのです。
この咬筋を衰えさせてエラを小さくするお勧めの治療がエラボトックスです。

エラボトックスの効果

エラボトックスとは

「エラボトックス」とはエラにボトックスを注射する治療法の俗称です。「エラボト」などと略していうこともあります。

医学用語でいえば、咬筋肥大症に対するボツリヌストキシン製剤治療といった表現が正しいです。
ボトックスは筋肉の働きを抑える効果があります。エラの筋肉を衰えさせるのです。
「廃用性筋萎縮」といいますが、寝たきりの老人の足はどんどんやせ細っていきますよね。これと同じで咬筋をボトックスで動かないように抑え続けることで、咬筋が萎縮した状態になり、エラが小さく目立たなくなるのです。

私の事例

下の左は私の学生時代の写真なのですが、エラが目立つことから「エラリン」と友人から呼ばれていました。

松下医師の大学時代と現在の顔の比較・ボトックスによってエラが小さくなっている

私は現在半年におきにエラボトックスをやっているのですが、エラが小さく小顔になっているのがわかるでしょう。
ちなみに自分で注射するってどうやるんですか?と聞かれることがあるのでお答えしておくと、鏡を見ながら注射するというしごく当たり前な方法です。

ボトックスの安全性

ボトックスとはボツリヌス菌という食中毒の原因となる細菌が作り出す、ボツリヌス毒素を微量に含む薬剤です。

「毒素」と聞くとギョッとしますが、そもそも薬と毒は表裏一体のもので毒であっても適量を使用することで薬になることがあるのです。
この毒素も適切な量を使用することで、様々なプラスの効果を生み出すことができるのです。
ボツリヌス毒素の致死量は体重1kgあたり40単位というデータがあります。体重50kgの人であれば2,000単位です。

エラボトックスで使う量は最大100単位なので中毒になることはありません。

それでも不安に思われるかもしれませんのでひとつ例をあげてみます。
脳卒中の後遺症として、痙縮(けいしゅく)という症状があります。これは意思と関係なく筋肉の緊張が高まり、手や足が勝手に突っ張ったり曲がってしまう症状です。
この場合もボトックスを使って筋肉の緊張を緩める治療を行います。足の大きな筋肉には最大300単位まで使うこともあります。エラボトックスの3倍もの量を使いますが中毒を起こすことはないのです。

これはちょっと本題から外れますが、2016年に中国で起きた事故があります。
表情じわの改善目的でボツリヌス毒素製剤を注射後に、4名もの人が中毒を起こし、呼吸が止まったという例が報告されています。幸い死者が出たわけではないのですが、この例は実験研究用の無認可の製剤を使ったのが原因でした。
そのうち一人はこの施術を行った医師本人で、本人にとっては文字通り自業自得なのですが、他の患者さんにとっては迷惑としかいいようのない話ですね。

とはいえこの中国の事故はあくまで例外で、ヒト用に認可された正しい薬剤を使い、適切な量を注射する限り中毒を起こすことはありませんので安心してください。

エラボトックスが自分に向いているかのテスト方法

エラボトックスは肥大している咬筋を小さくする治療なので、咬筋が肥大している方が対象になります。
そこで咬筋が肥大しているかどうかを確かめる方法を動画で説明します。
奥歯を思い切り噛んだり、ゆるめたりしてみてください。エラの部分がこのようにプクップクッと盛り上がったら、咬筋が厚く肥大している証拠です。

エラボトックスはどれくらい注射するのか

ボトックスは薄め方によって、同じ容量の薬液でも含まれるボトックスの量が変わってきます。
そこでmlやccは使わず「単位」という基準で量を管理します。この数字が大きいほどボトックスの量が多いということです。

注射量はいろいろな条件を考慮しながら決定しています。

  • 咬筋の大きさ
    咬筋が大きいと当然量が必要になります。
  • 左右差の有無
    咬筋の大きさに左右の差があることはごく普通にあります。そこで左右で量を加減して、同じ大きさになるように調整をします。
  • 男女差
    男性の方が骨格が大きく、骨格筋も大きいのでその分量が必要になります。女性の場合だと6~70単位ぐらい、男性だと100単位ぐらいが最大です。
  • 食べ物の嗜好
    スルメやせんべいといった硬いものが好きな方は咬筋がかなり肥大していることが多いので量が必要になります。
  • 噛む頻度
    ガムをよく噛む方などは咬筋が発達しているので多く必要になります。
  • 歯ぎしりや食いしばりの有無
    歯ぎしりをされる方はかなりいらっしゃいます。歯ぎしりの有無は歯を見ればわかります。犬歯(いわゆる糸切り歯)の先が平らになっていれば、歯ぎしりして歯がすり減っているという証拠です。
    このような患者さんがいらっしゃった場合には、歯科医でマウスピースを作ってもらって、歯ぎしりの治療をすることをお勧めしています。
  • 過去の治療経過
    過去に治療した履歴があれば、その時のあんばいが良ければ同じ量にしますし、そうでなければ加減をします。
  • 患者様の希望の仕上がりの程度
    ガッツリ取りたいか、控えめにしたいかという希望によっても量を加減します。
  • たるみの有無
    中高年の方で頬のたるみのある人は、エラを多く取るとたるみが出てしまいますので、加減することがあります。希望によってはたるみを取る施術を組み合わせることもあります。

エラボトックスの効果はどれくらいであらわれるのか

表情じわを取る目的でのボトックスは、3日目ぐらいから効果が出はじめ、約2週間でピークになります。
これに対してエラに注射するボトックスは効果が出始めるのが遅く、個人差はありますが10日~2週間ほどで徐々に効果が出始め、1~2ヶ月後頃効果が最大になります。
焦らずにじっくり待っていただく必要があります。

エラボトックスの効果の持続期間

持続期間は個人差があり、4ヶ月~半年ぐらいです。
定期的に注射すると効果の持続期間が伸びます。
私もやっているのですが半年おきにボトックス注射を繰り返すと、いつでもエラがスッキリした状態を維持できるのでおすすめです。

エラボトックスをやってはいけないのはどんな人

以下の条件に該当する場合は危険があるためボトックスの施術は行いません。

  • 妊娠の可能性がある方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • 過去にボトックス治療でアレルギーを起こしたことのある方
  • 神経筋接合部異常疾患の方(重症筋無力症や筋萎縮性側索硬化症など)

胎児や赤ちゃんに悪影響が出る危険性があるので、妊娠中や授乳中の方は避ける必要があります。
また、神経からの命令を筋肉に伝える部分にボトックスは作用するため、神経筋接合部に異常をきたす病気のある方は避けなければなりません。

エラボトックス注射の痛みについて

エラボトックスは顔の注射の中でも痛みの少ない注射です。
私は実際にエラボトックスだけでなく、表情筋へのボトックス注射も定期的に行っています。ちなみにおでこが6単位、眉間10単位、目尻12単位を注射しています。
単位数はずっと少ないにもかかわらず表情筋のほうが痛いです。特に眉間は痛いですね。

それに比べるとエラボトックスはかなり楽です。通常は氷でよく冷やす冷却麻酔のみで我慢できる程度の痛みです。
それでも痛みが不安な方には、痛みを軽減する方法を用意しています。

痛みを感じにくくするため振動を与える器具を使う方法があります。これは肩こりなどで使うマッサージ機と同じような仕組みの美顔器を当クリニックでは使っています。
注射をする際に他に大きく感じる別の感覚があると、そっちに気が取られて痛みを感じにくくなるのですね。
予防接種などの痛みを減らす裏技として、自分で太ももをつねってやると痛みを感じにくくなるというものがあるのですがそれと一緒です。

更に痛みが心配であれば麻酔クリーム(別途税込5,000円)、麻酔テープ(別途税別1枚100円・両側2枚必要)といった麻酔をかける方法もあります。
このような麻酔を使えば全く痛くありません。しかしながら、薬剤が浸透するまでに20~30分程度かかります。注射そのものが1分もかからずに終わってしまうことを考えると、時間がもったいないように思います。

それでも、顔に針が刺さるところを見たり感じたりすることが嫌だというのであれば、ほろ酔い加減のような感覚になり痛みを感じにくくなる笑気麻酔という方法もあります。

痛みを軽減する方法はこのように色々ありますのでご相談いただければと思います。

エラボトックスの副作用について

薬剤は全て毒と薬の作用が表裏一体であると説明しました。
ボトックスに限らず全ての薬剤には副作用があるといって差し支えありません。

ボトックスは適切に使用すれば危険性はまったくない薬剤です。しかし、下記のような不都合な現象が起こることがあります

  1. まれに頭痛が起こることがある
  2. ごくまれに笑顔が不自然になることがある
  3. 硬いものが噛みにくくなる
  4. フェイスラインのたるみ
  5. 噛むときにエラの一部がプクッと盛り上がる
  6. 頬がこける
  7. 口が渇く
  8. 注射した部分の腫れ
  9. 内出血

上記についてそれぞれ以下で詳しく説明します。

1.まれに頭痛が起こることがある

研究論文の報告よると1%程度の確率ですが、エラボトックス治療後にまれに頭痛が起きることがあります。脳に悪影響が起きているわけではありません。顔の筋肉は30種類以上もあり絶妙なバランスで成り立っています。咬筋を緩めることで他の筋肉に影響が及ぶことが原因で、注射直後から頭痛が起こりますが一時的なもので、2~4日程で回復します。
この頭痛は体質的な要素があり、次回も再び頭痛が起きる可能性があります。

2.ごくまれに笑顔が不自然になることがある

論文によるとエラボトックス後に約0.15%の確率で笑顔が不自然になるという報告があります。

笑筋は口角を横に引き、笑う表情やえくぼを作る筋肉です。この笑筋は咬筋の表面にくっついています。

笑筋は口角を横に引き、笑う表情やえくぼを作る筋肉です。この笑筋は咬筋の表面にくっついています。エラボトックス注射の際に浅く打ちすぎて笑筋に作用が及ぶと、笑筋の作用が弱まってしまいます。
その結果「笑いたいのに口が横に広がらない」「笑ったときに左右で口角の高さが異なり非対称な笑顔になる」といった困った症状が起こります。
非常にまれな副作用なのですが、一旦起こってしまうと完全に回復するまでに1~3ヶ月もかかります。そうならないためにはクリニック選びが重要です。

3.硬いものが噛みにくくなる

また、咬筋をゆるめても完全に麻痺するわけではありません。
また食べ物を噛み砕くときに使う咀嚼筋という筋肉は咬筋以外にもたくさんあります。

咬筋・側頭筋

これらの筋肉があるため咬筋だけゆるめても噛めなくなることはありません。
しかし、一時的に硬いものを噛みにくくなったり、噛んでいるとあごが疲れやすくなったりすることがまれにありますが、すぐに慣れますので心配はいりません。

4.フェイスラインのたるみ

特に40歳以上で皮膚の弾力が低下している方は、エラ張りが改善することでエラの部分の皮膚がゆるみフェイスラインがたるんで見えることがあります。
フェイスラインがたるむことが想定される場合は、量を控えめにするかエラを取ったあとで、たるみを取るリフトアップの施術を組み合わせる必要があります。

5.噛むときにエラの一部がプクッと盛り上がる

咬筋全体にボトックスの効果が行き渡る際に時間差が生じ、効いている部分とまだ効いていない部分とで筋力の差が生じます。
噛んだときにまだ効いていない部分が収縮して、プクッと盛り上がることがありますが一時的なもので数日で徐々に落ち着いてきます。

6.頬がこける

ボトックスの量が多すぎたり注射部位が適切でないと頬がこけてしまい、かえって老けて見えることがあります。

7.口が渇く

研究論文よると約6%の確率で口が乾くというという報告があります。咬筋のすぐ近くに耳下腺という唾液を出す腺があります。

咬筋のすぐ近くに耳下腺という唾液を出す腺があります

咬筋にボトックスを注射する際に、その位置が耳下腺に近すぎたり、注射後にマッサージをしてボトックスが耳下腺に流れたりすると、一時的に唾液が出にくくなり口が乾きやすくなることがあります。

  • 口がベタベタして渇いたりする
  • 唾液が濃くなり糸を引く
  • 喉がかすれたり渇いたりする
  • 飲み込むのに苦労する

といった症状が起こります。数日でこの症状は落ち着くのですが、以下のような対策でその間の不快感を和らげることができます。

  • 頻繁に少量の水を飲む
  • 無糖キャンディーをなめる
  • 無糖ガムを噛む
  • アルコールフリーのうがい薬を使用する
  • 口呼吸を避ける

8.注射した部分の腫れ

注入した薬液分の腫れは少し出ますが、少量のため見てもほとんどわかりません。
内出血が起きた場合は少し腫れますが、内出血が消えるにつれ徐々に治ります。

9.内出血

ごくまれに注射針が血管に触れた際に内出血が起こり、紫色のあざができることがありますが、通常1~2週間で消えます。

エラボトックス注射後に日常生活で気をつけることは

エラボトックスに限らず、ボトックス注射後は以下について気をつける必要があります。

1.ボトックスがエラ以外に広がるのを防ぐためマッサージを制限します

ボトックス後に注射部位を強くマッサージするとボトックスが周りに拡散し、効果が十分に出ないことがあります。
またボトックスが周りの表情筋に不要に広がった場合、その表情筋が弱まり不自然な表情になることがあります。
マッサージの制限は注射後1~2週間必要です。

2.腫れ・内出血を予防するため血行を良くする行為を制限します

サウナ・岩盤浴・長時間の入浴・温泉浴・激しい運動・飲酒などで血行が良くなると、腫れや内出血が遅れて出てきたり、長引くことがあります。これらの制限は注射後2~3日必要です。

3.ボトックスは熱に弱いため体を温める行為を制限します

サウナ・岩盤浴・長時間の入浴・温泉浴などで体温が上がるとボトックスの効果が弱まってしまうことがあります。これらの制限は注射後2~3日必要です。

4.ボトックスは胎児への安全性が確立していないので男女とも一定期間避妊が必要です

女性の場合は注射後2回の月経を減るまで避妊が必要です。
男性の場合は注射後3ヶ月避妊し、パートナーが妊娠しないように注意が必要です。男性がボトックスを打っていると精子にもボツリヌス毒素が精子に悪影響を及ぼす危険性が否定されていないので、胎児に影響が出る可能性があるためです。

費用(税込)

エラボトックス 1回 110,000円 ※4週間以内に限り1回調整付き

執筆者情報

松下洋二医師

このブログ記事の筆者:松下洋二
Yoji Matsushita, M.D.

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験が、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

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