AGAとは?治療法完全ガイド

薄毛・発毛

AGA治療完全ガイド

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AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」と呼ばれています。Androgeneticとは男性ホルモン、Alopeciaは脱毛症という意味で、男性ホルモンに起因する脱毛症ということです。
男性ホルモンの影響による脱毛なので、思春期以降に発症します。また、遺伝的な要素が大きくかかわっています。

AGAのセルフチェック

以下に1つでも該当する場合、AGAの可能性があります。

  • 親族に薄毛の人がいる
  • 細い髪の毛やうぶ毛が増えた気がする
  • 髪の毛が柔らかくなった感じがする
  • 抜け毛が多くなった気がする
  • おでこの生え際が後退してきた気がする
  • 頭頂部やつむじ部分が薄くなった気がする
  • 同世代の人と比べて髪の毛が少ない気がする

さらに以下に該当する場合、進行するリスクが更に高いといえます。

  • ストレスが溜まっている
  • 食生活が乱れている
  • 定期的に運動していない
  • パーマやヘアカラーを定期的に行っている
  • 睡眠不足である
  • タバコを吸う

AGAの診断方法

毛が細くなって軟毛になっているかで診断します。薄毛になっている部分を観察して、20%が軟毛化していればAGAであると判断できます。

とはいえ、そこまで厳密でなくても、薄毛になっている箇所をパッと見れば分かりますので、軟毛化している毛が20%未満であったとしてもAGAの治療は開始します。

しかし、AGA以外の薄毛もあるので区別することは絶対に必要です。AGAでなければ原因となる病気の治療を行う必要があります。

AGA以外の薄毛の原因

円形脱毛症

いきなり円形や楕円形の形に髪の毛が抜けてしまう病気です。10円玉ハゲなどと俗に呼ばれるものです。1箇所だけのこともありますが、複数の箇所で起きることもあります。
体が持っている異物を排除する防御機能が、毛根を誤って攻撃してしまうことが原因として有力視されています。ではなぜ防御機能が毛根を異物として認識してしまうのかは、残念ながら不明です。
治療としては、塗り薬、飲み薬、注射、光線療法などを行います。円形脱毛症は病気なので、皮膚科で保険治療の対象となります。

甲状腺性脱毛

甲状腺とは体全体の新陳代謝を促進する、甲状腺ホルモンを分泌する器官です。この甲状腺ホルモンの分泌が多すぎたり、少なすぎたりすると脱毛が起こります。
甲状腺ホルモンの分泌量が正常でなくなる病気は、有名なバセドウ病をはじめ数多くあり、当該疾病の治療を行う必要があります。内分泌科や耳鼻咽喉科にて治療を行いますが、もちろん保険治療の対象です。

粃糠(ひこう)性脱毛症・脂漏(しろう)性脱毛症

細かく乾いたフケが大量に発生し、このフケが毛穴をふさいでしまうことによって起こる脱毛です。
頭皮の炎症を抑えるためにステロイドなどの塗り薬による治療を行います。また、皮膚の炎症がカビによって起きている場合は、カビに効果のあるシャンプーを用いることもあります。これも病気なので皮膚科で保険治療の対象です。

機械性脱毛症

ポニーテールにするなど髪の毛をいつも引っ張り続ける、ヘルメットでいつも圧迫するなどの物理的な力がかかることによって起こる脱毛です。
引っ張る力で髪の毛が抜けてしまったり、頭皮に血行不良が起きたりして抜けやすくなります。
機械性脱毛症の原因となっている習慣を改めれば治るものなので、医療の対象ではありません。

抜毛症(トリコチロマニア)

精神疾患により、自分の毛を引き抜くのが癖になってしまうことによって起こります。原因となる精神疾患を治療することが必要です。

薬剤による脱毛

代表的なケースとしては、抗がん剤の投与による脱毛があります。抗がん剤による脱毛を食い止める方法はないのですが、投与が終われば脱毛は止まり髪の毛はまた生えてきます。
また、抗がん剤以外にも脱毛の副作用を引き起こす可能性のある薬剤は多数あります。定期的に薬を服用しているのであれば、主治医に相談することをお勧めします。

当クリニックではこれらの脱毛症と区別するために、外見の観察だけでなく甲状腺ホルモンの測定、自己免疫性疾患の有無を調べる検査などを実施しています。

AGAのメカニズム

AGAの発症の仕組み

  1. 男性ホルモンの一つであるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロン(DHT)に変換される
  2. 毛母細胞の男性ホルモン受容体にDHTが結合する
  3. 脱毛因子であるTGF-βが増加する
  4. TGF-βが脱毛の指令を毛乳頭細胞に与えることによって、髪の毛が抜ける

AGAのメカニズム

逆に男性ホルモン受容体に対するDHTの作用は、ひげにおいては成長因子を誘発して成長を促します。頭髪に対する作用と逆なのですね。

AGAは遺伝するというのは本当か?

5αリダクターゼの活性の高さは、遺伝に強く影響されると考えられています。

また、この活性の情報を持つ遺伝子は優性遺伝です。つまり両親のいずれかが5αリダクターゼの高い活性の遺伝子を持っていれば、子供にもその性質が引き継がれるということです。

また、毛母細胞の男性ホルモン受容体の感受性の強さにも、遺伝による影響があります。こちらはとくに、母方の家系からの隔世遺伝によって発現するとされています。つまり、母方の祖父がAGAであれば、AGAになる可能性が高いといえます。

AGAの進行

ハミルトン・ノーウッド分類

この図はAGAの進行の目安として使用されている図です。
1942年にアメリカの皮膚科医であるハミルトンが最初に分類をして、その後1975年に同じくアメリカのノーウッド医師が改良を加えて作成したため、ハミルトン・ノーウッド分類と呼ばれています。

まだAGAではない1から、最も進んだ7の状況まで7段階の分類がなされています。

AGAの進行段階

前から薄くなっていく、頭頂部から薄くなるといういずれかの経過をたどって、最終的には側頭部と後頭部だけ残ります。サザエさんの波平さんはこのステージ7ということですね。

なぜ、側頭部と後頭部は最後まで髪の毛が残るのでしょうか?
それはDHTと結合する毛根の男性ホルモン受容体が、後頭部や側頭部の皮膚にはほとんどないためなのです。男性ホルモンの影響をほとんど受けないため最後まで残るのですね。

AGAの治療の種類

日本皮膚科学会ガイドラインにはAGAの治療法として以下が挙げられています。

日本皮膚科学会ガイドラインにはAGAの治療法として以下が挙げられています。

その中で勧められる治療と勧められない治療を分類しています。

推奨度について
A.行うよう強く勧める
B.行うよう勧める
C1.行ってもよい
C2.行わないほうがよい
D.行うべきではない

ここでは日本皮膚科学会ガイドラインに掲載されている治療法を中心に、様々な治療法について紹介いたします。

CQ1~CQ3:薬剤

推奨度A(行うよう強く勧める)

AGAでは主流となっている治療法です。
フィナステリドやデュタステリドの内服、ミノキシジルの塗り薬は日本皮膚科学会の推奨度A「行うよう強く勧める」とされています。効果が見込まれ安全性も高いためお勧めできる方法です。後ほど詳しく説明します。

CQ4:植毛術

自家植毛術 推奨度B(行うよう勧める)

後頭部や側頭部から自分の髪の毛を採取して、薄くなっている部分に移植する治療法です。
自分の組織なので拒絶反応の危険がありませんし、植毛した髪の毛も定着しやすいという特徴があります。

DHTと結合する男性ホルモン受容体は、後頭部や側頭部の部分の毛根にはほとんどありません。そのため移植後は薄毛になる可能性が非常に少ないのです。
確かにAGAを改善する良い方法ではありますが、大掛かりな手術となりまた数回に分けて行う必要があります。そのため当クリニックでは採用していません。

人工毛植毛術 推奨度D(行うべきではない)

ナイロンやポリエステルといった人工毛を埋め込む手術です。
日本国内では植毛術というと、自家植毛ではなくこの人工毛の方が圧倒的に認知されています。
体にとっては異物なので拒絶反応を起こしたり、異物を排除する反応が起こるため1年の間に6割以上も脱落してしまいます。そのため維持するためには毎年のように植毛を行う必要があります。
体への負担も大きく、費用もかかるため良い方法とはいえません。

CQ5:LED及び低出力レーザー 推奨度B(行うよう勧める)

LEDで光や低出力のレーザー光線を頭皮に照射する治療法です。頭皮の奥を光で刺激することで血流を改善、発毛増殖因子やコラーゲンを増加させるといった効果があります。
しかしながら、当クリニックでは現在この治療法は行っておりません。通院回数が多く必要なことと、その割には効果があまりなく薬剤の補助的な役割しか期待できなかったためです。

CQ6:アデノシンの外用 推奨度B(行うよう勧める)

アデノシンは全ての細胞の中に存在する物質で、様々な働きがあります。頭皮に使用すると血流を改善したり、毛母細胞を活性化するといった効果があります。
アデノシンは、市販の育毛剤にも広く配合されている安全性の高い薬剤です。しかしながらCQ3のミノキシジルと作用は同じであり、効果はミノキシジルのほうが高いです。そのため医療機関で処方されることは原則的にありません。

CQ7:カルプロニウム塩化物外用 推奨度C1(行ってもよい)

カルプロニウム塩化物には血管拡張作用があり、血流を改善します。円形脱毛症や粃糠性脱毛症など、AGA以外の薄毛の治療に用いられています。

しかしながら、AGAに対してはミノキシジルの方が効果が高いため、心臓病などでミノキシジルが使えない場合の選択肢となります。

CQ8:t-フラバノンの外用 推奨度C1(行ってもよい)

t-フラバノンは花王が開発した物質です。西洋オトギリソウに含まれる成分をより安定するように、分子設計を行い合成したものです。

t-フラバノンは、脱毛の指令を毛乳頭細胞に与えるTGF-βの働きを抑えることによって、抜け毛を抑制する効果があります。それほど有効性が高いとはいえないのですが、副作用が軽微であるので「使ってみてもいいだろう」という評価となっています。

当クリニックで処方することはありませんが、価格も安いので「なんとなくAGAが気になる」という程度であれば使ってみるのもよいでしょう。

CQ9:サイトプリンおよびペンタデカンの外用 推奨度C1(行ってもよい)

こちらはライオンの製品に使用されている成分です。
サイトプリンは、毛根に対して発毛の促進を促すBMPとエフリンの生成を促す効果があります。
またペンタデカンは、髪の毛の原料となるタンパク質であるケラチンの合成を促す働きがあります。

こちらもそれほど有効性が高いとはいえないのですが、副作用が軽微であるので「使ってみてもいいだろう」という評価となっています。

しかしながら価格も高めであるため、こちらを使用するよりはミノキシジルを使ったほうが良いと思われます。

CQ10:ケトコナゾールの外用 推奨度C1(行ってもよい)

ケトコナゾールは水虫、皮膚カンジダ症などの皮膚の細菌感染の治療に用いる薬剤です。
細菌感染による脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛症に対して効果があります。
また、男性ホルモンの働きを抑える作用があるため、AGAについても効果があるとされています。
しかし、ケトコナゾールが入ったシャンプーとフィナステリドの内服を併用した場合に、フィナステリドの内服だけの場合と効果に差はなかったという結果が得られています。

日本国内ではケトコナゾールは育毛剤として認可されていません。そのためAGAと脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛症などが併発している場合のみに使われるものとなっています。

CQ11:かつらの着用 推奨度C1(行ってもよい)

これは治療ではないのですが、患者さんの暮らしにおける満足度が高まるという効果が認められています。
しかし、かつらをかぶっていることを周りの人に知られる心配があるうえ、精巧なかつらは非常に高価であり、かつ2、3年おきぐらいに買い替える必要があります。
昔は治療法がまったくなかったため仕方がなかったのですが、精巧なかつらを定期的に買い替えるよりも治療を行ったほうが安上がりです。

CQ12:ビマトプロストおよびラタノプロスト外用 推奨度C2(行わないほうがよい)

もともとは、緑内障の治療のために点眼薬として使われていた薬剤です。たまたま、この薬剤を使うことでまつ毛の発毛効果があることが発見されました。
髪の毛に対して使用したところ発毛効果は認められたものの、頭皮といった広範囲に使用した際にどのような副作用があるのかわかっていません。また高価なこともあり「行わないほうがよい」という評価となっています。

CQ13:成長因子導入および細胞移植療法 推奨度C2(行わないほうがよい)

当クリニックで実施している治療法です。詳細は大谷選手が靭帯損傷の治療でおこなったPRP注射は薄毛の新しい治療としても有効を御覧ください。

患者さんの体から採取した組織を使う治療法です。AGAの治療としてはPRP療法とHARG(ハーグ)療法があります。

当クリニックでは、患者さんの血液から血小板を抽出し、頭皮に注射をするPRP治療を行っています。
血小板は、細胞に対し強力に働きかけて若返らせる作用を持ちます。そのため毛根の細胞を活性化し、増毛の効果をもたらします。
また、血管が新しく生まれるので、頭皮の血流が改善し更に育毛を促進します。

では、なぜ「行わないほうがよい」という評価となっているのでしょうか?

日本皮膚科学会ガイドラインより引用します。

成長因子導入・細胞移植療法は今後が期待される治療法ではあるものの、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」などの法規に則って施術する必要のあるものも多く、現時点では広く一般に実施できるとは言い難いため、行わない方がよいことにする。

となっており、適切に実施できないのであればやってはいけないということです。

ここにある再生医療とは、薬によるのではなく人の体の再生力を生かして治療を行う医療です。IPS細胞などもこれに属します。

つまり、再生医療は高度な医療行為であり安易にできるものではないため、「行わないほうがよい」ということになります。
こちらの治療を行うには厚生省の認可が必要です。当クリニックは認可を受けて実施しており、高い効果を挙げています。

CQ14:ミノキシジルの内服 推奨度D(行うべきではない)

塗り薬としてのミノキシジルは推奨度A「行うよう強く勧める」とされています。しかし、内服はするべきではないとされています。
ミノキシジルはもともと血圧を下げる薬として1965年に開発された薬です。しかし、米国では承認されているものの日本では承認されていません。

副作用として全身の多毛症が発生することから、発毛剤として研究され使用されるようになりました。
今日では塗り薬として、厚生労働省の認可を受け市販薬にもなっており、広く利用されています。

しかし、市販薬として認可を受けているのはあくまでも塗り薬のみ。内服薬としてのミノキシジルは未承認です。副作用の危険性も検証されていないので使うべきではないとされています。
降圧剤としての作用もあるため、全身への影響も強い薬剤です。

「行うべきでない」とされているため、ほとんどのクリニックでは使っていませんが、某大手チェーンクリニックの使っているという姿勢はどうかと思いますね。

メソセラピー 掲載なし

注射器を使ってAGAの治療薬を頭皮に直接注射する治療法です。ミノキシジルであったり、成長因子といった組織の再生を促す成分、亜鉛などの栄養分をミックスした薬剤を様々なクリニックが使用しています。
当クリニックでも使用していたことがあります。
しかし、1回の治療で効果が出るものではなく繰り返し行う必要があり、そこまで手間と費用をかけても大きく発毛効果が変わるものではないため、現在は行っていません。

サプリ(亜鉛、ビビスカル、ノコギリヤシ) 掲載なし

亜鉛

AGAは、5αリダクターゼがテストステロンと結合して、DHTができることによって起こります。亜鉛は5αリダクターゼを抑制する働きがあるため、AGAを防ぐ効果があります。
しかしながらその効果はごくわずかで、多く摂取しても薄毛が止まるというものではありません。

ビビスカル

グリーンランドで生活するイヌイットには、薄毛の人がほとんどいないことから、その食生活を研究して生まれたサプリメントです。
主成分はイヌイットがよく食べる、アザラシや青魚に含まれるタンパク質であるアミノマーCです。
AGAの代表的な治療薬は女性にほとんど効果がないので、女性の薄毛の治療によく使用されています。

しかしながら、AGAであればもっと効果の高い薬剤があるので、男性に処方することは原則的にはありません。

ノコギリヤシ

アメリカ原産のヤシです。AGAに使用されることはあるものの、実際にははっきりとした効果が立証されていないうえ、副作用についても充分な研究がなされていません。
そのため、使用しないほうがよいでしょう。

AGA治療の主役である3種類の薬剤について

現在では内服薬として「フィナステリド」「デュタステリド」、塗り薬として「ミノキシジル」が広く使用されています。
この3種類の薬剤の使用は、日本皮膚科学会ガイドラインの推奨度Aの「行うよう強く勧める」となっている治療です。
高い効果が立証されており、また正しく処方すれば安全性も高いことが立証されています。

薬剤代表的な製品名・製薬会社 服用方法
フィナステリド・プロペシア(オルガノン)
・フィナステリド(ファイザーなど)
内服
デュタステリド・アボルブ(グラクソ・スミスクライン)
・ザガーロ(グラクソ・スミスクライン)
・ディタステリド(沢井製薬など)
内服
ミノキシジル・リアップ(大正製薬)
・スカルプD(アンファー)
塗り薬

フィナステリド

もともとはアメリカのメルク社が、前立腺肥大症や前立腺がんの治療薬として開発した薬剤です。
この治療薬を服用している患者さんのAGAが改善したことから、効果の検証を経てAGAの治療薬としての認可を受けました。今日では多くの国で販売されています。

プロペシア

出典:ORGANON

日本では2015年にプロペシアの特許が切れており、様々な製薬会社が後発品を(ジェネリック医薬品)製造しています。沢井製薬、東和薬品、富士化学工業、武田テバファーマなど10社以上が製造しており、どの製薬会社の製品を選んでも効果は同じです。

AGAを改善するメカニズム

5αリダクターゼという酵素の働きを阻害します。

フィナステリドがAGAを改善するメカニズム

5αリダクターゼの働きを阻害することで、脱毛を促すDHTの生成量が大きく減少します。その結果AGAが改善するのです。

副作用

長期投与においても安全性が高いことが立証されています。
日本人を対象とした臨床試験では性欲減退、勃起不全、精液量、元気が出なくなるといったことがまれに起こります。また、頻度は不明であるものの肝機能障害があったという報告もあります。
継続的に服用する場合は肝機能の検査は行うべきです。

注意点

前立腺がんの検査に用いられる血清PSAの値を低下させる効果があります。このため、前立腺がんの検査でPSAが正常値となり、早期治療のチャンスを逃してしまう危険があります。

フィナステリドは女性の薄毛に対しては効果がありません。そのため女性が服用することにメリットはありません。
また、胎児の男性器の発達を妨げてしまいます。
皮膚からもフィナステリドは吸収されるので、妊娠を予定している・妊娠中・男児に対して授乳中の女性は素手で触らないことをおすすめします。

デュタステリド

もともとはイギリスのグラクソ・スミスクライン社が、前立腺肥大症の治療薬として開発した薬剤です。フィナステリドと同じ経緯でAGAの治療薬として販売されています。

デュタステリド

当クリニックでは沢井製薬のデュタステリドを処方しています。

AGAを改善するメカニズムはフィナステリドと同じです。そのため副作用と注意点も同様となります。

日本では2020年にザガーロの特許が切れており、様々な製薬会社が後発品を(ジェネリック医薬品)製造しています。沢井製薬、東和薬品、富士製薬工業、Meiji Seikaファルマなど約20社が製造しており、どの製薬会社の製品を選んでも効果は同じです。

フィナステリドとデュタステリドの違い・どちらがいいのか?

効果と副作用が違います。
デュタステリドの方が効果が高い分だけ、副作用がやや出やすいといえます。

作用するメカニズムが同じなので併用には意味がありません。そこでどちらかだけにするわけですが、AGAの治療に全力で取り組むなら、デュタステリドを使うことをお勧めします。
副作用が出やすいのですが、医師が継続的に経過観察することで安全に高い効果を得ることができるのです。
当クリニックではAGAの内服薬として、沢井製薬のデュタステリドを処方しています。

ミノキシジル

もともとはアメリカのアップジョン社(現ファイザー社)が、高血圧の治療薬として開発した薬剤です。
もともとは内服薬だったのですが、ミノキシジルを服用していると全身が毛深くなるという副作用が起こりました。
それならば頭皮にだけ使えば薄毛が改善されるのではないかと考え、効果の実証を行った後、塗り薬に転用されたという経緯があります。

日本では大正製薬がアップジョン社と技術導入契約を結び、薄毛対策の医薬品として開発を進め、リアップとして1999年に発売したのが最初です。

リアップ

2018年に特許が切れたことで、様々な製薬会社がミノキシジル配合の医薬品を販売し始めました。
リアップ(大正製薬)だけでなく、スカルプD(アンファー)、リグロEX(ロート製薬)、加美乃素 デルタ(加美乃素)、ミノファイブ(小林薬品)など多数の市販薬があります。

製品ごとに配合されている成分は違いますが、最も大きな違いはミノキシジルの分量です。100mL中に5gミノキシジルが配合されている製品が最も効果が高いです。これよりも配合量を多くしても効果はあまり変わらないことが実証されているため、ほとんどの製品がこの配合量になっています。
安価な製品はミノキシジルの配合量が1gと少ないので注意が必要です。

ミノキシジルは市販薬ではあるものの第1種医薬品なので、原則的には病院で処方してもらうか、薬剤師のいる薬局でしか買うことができません。

AGAを改善するメカニズム

個々の毛を作り出す器官である毛包は加齢に伴って、細胞の分裂能力が衰え徐々に縮小してしまいます。
ミノキシジルは毛包の細胞の増殖を促進し、細胞の寿命を延ばす効果があります。また、頭皮の血流の改善作用があるとされています。

男性ホルモンに作用する薬剤ではないため、AGAだけでなく女性の薄毛にも効果があります。

また、フィナステリドやデュタステリドとは作用メカニズムが違うので、併用するとより高い発毛効果を得ることができます。

副作用

塗り薬としてのミノキシジルは非常に安全性が高いことが実証されています。
副作用については、かゆみ、発疹、フケが増えるといった皮膚のトラブルがほとんどで重大な副作用はありませんでした。

注意点

塗り薬としてのミノキシジルは非常に安全性が高いものの、前述した通り内服薬としての使用は避けなければなりません。
ミノキシジルの内服薬を勧めている大手クリニックもありますが、心臓や血管への重篤な副作用が起こり得るので避けるべきです。

AGAのベストな治療法は

デュタステリドの内服と、ミノキシジルの塗り薬の併用がベストです。

それでも効果が不十分な場合、他の治療法も合わせて行うべきです。その際の選択肢としては、患者さんへの負担や危険が少ないPRP療法がお勧めできます。
毛根が死滅している場合は、PRP療法でも効果が見込めないため植毛を行うべきでしょう。

よくある質問

育毛剤と発毛剤の違いは?

育毛剤はこれ以上減らさないという予防のための薬で、髪の毛を増やすのは発毛剤です。

市販薬と処方薬の効果の違いは

塗り薬であるミノキシジルについては違いはありません。当クリニックでは市販薬を購入していただいています。
AGAの内服薬には市販薬はなく、処方薬のみです。

保険治療は可能か?

AGAの治療を行っている皮膚科もありますが、残念ながら保険での治療はできません。

クリニックによってAGAの治療効果の差はあるのか?

投薬においては技術の差はないでしょう。
しかし、投薬治療だけでは効果が不十分であった場合、打ち手の有無の違いがあります。
当クリニックでは発毛効果や安全性が高く、患者さんの負担も少ないPRP療法を実施しています。
PRP療法では、患者さんのから採取した血液中の血小板を濃縮して頭皮に注射します。その際の濃縮率が、使用している濃縮キットや看護師の技量によって変わってきます。これによって発毛の効果に大きく違いがでます。

AGAは女性でも起こるのか?

FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれる女性のAGAもあります。主に加齢によって性ホルモンのバランスが崩れることで、男性のAGAと同じメカニズムで発症する薄毛です。
男性に特徴的なハミルトン・ノーウッド分類とは異なり、全体的に薄くなっていくことがほとんどです。

1日でも服用をしないとハゲてしまうのか?

そんなことは全然ないので大丈夫です。飲み忘れたとしてもあとからまとめて2錠飲むといったことは避けてください。

AGAの治療を始めると初期脱毛が起こるのか

それほど多くの人に初期脱毛が起こるわけではありません。また、脱毛量もあまり多くはないので心配する必要はありません。

治療をやめると急速にハゲるのか?リバウンドするのか?

リバウンドというように急速にハゲるということはありません。治療をやめたらその時点から普通にハゲていくということです。

一生薬は飲み続けないといけないのか?

治療をやめれば抜け毛が始まるので、結局は一生薬を飲み続ける必要があります。

長期服用によって健康を害する心配はないか?

副作用が出てきたら服用を止めれば大丈夫です。そのため副作用が出ていないか定期的にチェックすることは必要です。

妊活中に服用しても大丈夫か?

性欲減退、精液が減るといった男性機能に関する副作用がまれに起こるとされていますが、非常に少ないケースです。私自身が診た患者さんには、この経験をされた方はいらっしゃいません。
もし、男性機能に関する副作用があった場合は、内服薬の服用を止めれば戻りますので心配しなくてもいいでしょう。

薬を服用していても進行が止まらない場合どうするか?

ミノキシジルの塗り薬をプラスし、それでもだめならPRP療法、毛根も死んでしまっているなら植毛が必要です。

五本木クリニックのAGA治療について

通院はどれくらい必要ですか?

内服薬を何ヶ月分処方するかによって通院の頻度が変わってきます。
毎月でも良いですし、3ヶ月分ごとなどでもよいです。
定期的に血液検査、肝臓や腎臓の検査をします。理想的なのは半年おきです。

PRP療法の場合は毎月1回で合計3回行います。

未成年でも治療を受けられるか

保護者の同意書があれば可能です(ただし内服は18歳以上)。

来院時に行う内容とは?

初回は問診、頭皮のチェック、血液検査(肝機能、腎臓、貧血、血糖、甲状腺関係、膠原病 抗核抗体・リウマチ、血清PSA)を行います。

検査1週間後以降、検査結果に基づいて治療をはじめます。

症例紹介

20歳代の方のPRP治療の症例です。

20代のAGAの患者さんの症例、PRP治療前
治療前
20代のAGAの患者さんの症例、PRP治療4ヶ月後
3回PRP治療後4ヶ月
松下洋二(医師)

鳥取大学医学部卒業後に京都大学医学部形成外科に入局。大学附属病院などで形成外科・美容外科で働いた後、2007年より五本木クリニックの美容診療部の部長に就任。

主に他院での鼻整形の失敗で悩む患者さんからの修正依頼に応えて続け20年以上経ちます。こんな私の強みは、施術後、時間が経つと一体どんな影響を及ぼしていくのか、その未来について予測ができること。医師としてこれまで患者さんと向き合ってきた経験を現場で活かすだけでなく、読者の皆さんにとって少しでも有益な情報になるよう情報発信に努めてまいります。

松下洋二(医師)への相談窓口

0120-70-5929

10:00~18:30※日曜日•祝日は休診

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