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群馬県伊勢崎市のトンデモ市議会議員こと伊藤純子氏に喧嘩を売られたっぽい。

更新日:

反ワクチン派と呼ばれる人々がいます。アクティブに活動している反ワクチン派の人数は予想以上に少ないと考えられています。議員という責任重大な立場にありながら、反ワクチン的発言を行っている伊勢崎市の市議会議員がいます。わたしのツイートがその市議を刺激したようで、ネット上ですが明らかに喧嘩を売られてしまいました。非科学的ニセ医学に惑わされた反ワクチン派の市議の主張がどれだけヘンテコなものであるかを解説します。

あの伊勢崎市のトンデモ市議会議員さんに「とやら」と見下された私ですが

私は産婦人科を専門とはしていません。医学を学んだものであれば、常識的にワクチンの効果に関しては、効果あり、と大多数は判断するはずです。

副反応がメディアを賑わした子宮頸がんワクチン(正式にはヒトパピローマウイルス?ワクチン 略してHPVワクチン)の効果も医学的には認められています。

しかし、伊勢崎市の市議会議員である伊藤純子氏はとにかく子宮頚がん予防ワクチンの定期接種に、断固、反対しています。

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https://twitter.com/110junkoito/status/1189809201930915840

ここで「とやら」と見下されているのは、当然私でございますね(苦笑)。これって、喧嘩を売られた、って解釈でよろしいでしょうか?

基本的にはスタッフを怒鳴ったこともないし、世の中では割と温厚との評価を受けている私ですが、やっぱりちょっとは「カチン」ときました。

ダニング=クルーガー効果だけじゃなく、バックファイア効果にどっぷり浸ったトンデモ市議会議員さんがどのように変なのかを解説してみます

なお、Twitterの場合、スクショを使用するのは推奨される引用方法ではないと考えていますが、どうも伊藤純子市議会議員はスクショを多用しているため、私も今回は時々URLを添えながら時々使用しますことをご理解くださいませ。

追記 タイトルで「伊藤順子」としてしまいました。正しくは「純子」さんです。

伊勢崎市の伊藤純子市議会議員はなぜ子宮頸がんワクチンに断固と反対するのでしょうか?

Twitterでヘンテコな事ばかり述べている伊藤純子市議会議員ですが、短文で書かざる得ないTwitterだと真意が測れないと思って、Facebookをのぞいて見ました。

https://www.facebook.com/junko.ito.31945/posts/1317415801759815はかなり長文なので、この投稿から引用して伊藤純子市議会議員の間違いを指摘すると共に、全く一次ソースを提示されない様子をお見せします。

まず、伊藤純子市議会議員はTwitterと比較して、Facebookのご自身のフォロワーは冷静に物事を見極める能力があるとの前置きを書かれています。

ちなみに、トンデモ案件ウォッチャーとしての私のFacebookへの評価は「トンデモさんが跋扈するソーシャルサイト、インスタよりはまだマシか」です。

インフルエンザや天然痘とは違い、感染はするも、実に99.9%の人は自然に排除され、がんにはなっていません。

伊藤純子 facebook

これはある意味で正しいですが、数を考えてみるとかなり多くの方がHPVに感染して、子宮頸がんを発症することになります。99.9%ががんにならないなら、0.1%はがんになります。

1000人の女性がいたら1人は子宮頸がんになることを踏まえて考えてみましょう。

日本人の人口は令和元年10月1日現在、1億2614万人です(総務省統計局 人口推移より https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html)。ざっくり半分を女性とすると6307万人、年齢とかは考慮しないでこの方達が全員一度はHPVに感染すると仮定すると

6307万×0.1%=6万3070人が子宮頸がんになってしまう計算になります

この子宮頸がんの大きな原因がヒトパピローマウイルスと考えられていますので(この市議さんは違うらしい。詳細は後述)、これを防げるHPVワクチン接種に対して断固反対する理由は疫学的なデータをもとにした判断とは言えません。

実際の子宮頸がん罹患率はこのようになっています。

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国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.htmlの子宮頸部のがんのデータベース

そして、子宮頸がんで死亡する方の年齢別分布はこのようになっています。

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国立がん研究センターがん情報サービス「最新がん統計」より

産婦人科学会のサイトによれば、年間約1万人が子宮頸がんと診断され、年間約2900人の方が命を落としています。

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http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

伊勢崎市のサイト(https://www.city.isesaki.lg.jp/shisei/isesaki/profile/4400.html)によれば人口は約22万8800人、半分が女性だと仮定するとフェルミ推定的にざっくり計算してみると

99.9パーセントが自然に排出されるHPVだとしても、

11万4400人×0.1%=114人の方が子宮頸がんになっている、あるいは将来なる可能性があります

伊勢崎市選出の市議会議員さんとしては、この数字はあまり気にならないのでしょうか?

ここまでの子宮頸がんになる可能性の計算は本当にざっくりですから、年齢等は考慮していませんし、あくまでの目安です。この辺りの詳細な計算は統計学の専門家のご意見を尊重してくださいね。

これだけの子宮頸がんの患者さんの原因であるHPVワクチンになぜ断固と反対するのかワケがわかりません。

副反応が起きてしまった場合の救済体制が整備されていない、との話の根拠を教えてください

前掲のFacebookでこのようなことを書かれています。

副作用被害者の救済、治療体制が整備されていない状態でのワクチン勧奨に、私は断固、反対です。

伊藤純子 facebook

これはあり得ないのではないでしょうか?

HPVワクチンの予想以上の副反応に対して、各自治体は救済体制をとっています。例えば予防接種健康被害救済制度の仕組みはこのようになっています。

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厚生労働省「予防接種健康被害救済制度」(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/kenkouhigai_kyusai/

給付の内容もこのようになっています。

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実際に副反応被害を受けた方にとっては満足のいかない内容であったとしても、救済制度の体制はできています。

確かに行政の対応が後手後手になったのは事実です。また副反応に苦しむ方に対する心ない発言が当時あったことも事実です。しかし、現時点で、できる限りの対応は国や自治体はしているように思えます。

ひょっとしたら、伊勢崎市の医療行政になんらかの問題があったのであれば、伊藤市議は具体的に信頼できるエビデンスなりうる情報やソースを提示すれば、問題提起を上手く多くの人に知らせることができると思います。もしも副反応被害者の方々があまりにもひどい扱いを受けてしまっていたのであれば、堂々と公表をするべきです。

例えば、この症例を提示されたらいがかでしょうか↓

4才以下の子供が子宮頸がんで亡くなった症例をご提示ください

伊藤純子市議会議員は前述のFacebookでこのようなことを述べています。

性交によるヒトパピローマウイルスの感染だけが原因で子宮頚がんになるのだとしたら、4歳以下の子供が子宮頚がんで亡くなっている事実をどう説明できると言うのでしょうか?

伊藤純子 facebook

これが事実であったとしたら、医学界はパニックになります。

私は様々なキーワードを使って4歳以下の子供が子宮頸がんで亡くなった事例を内外問わず探しまくりましたが、検索能力が至らないのか、発見できません。こんな特殊な症例が仮にあったとしたら、間違いなく難しい論文でなくても、地方会レベルであったとしても報告されているはずです。

悪魔の証明的に考えると、今まで伊藤純子市議会議員を批判してきた医師を黙らせるには、

4才以下の子供が子宮頸がんで死亡したことを明らかにした一次ソースを提示すれば良いだけなんです

ぜひぜひ勉強不足の医師たちをギャフンと言わせてくださいね。

タミフルをグラクソは販売していないけど

伊藤純子市議会議員は信頼できるフォロワーがいると信じているFacebookの他の投稿でこんなことを述べています。https://www.facebook.com/junko.ito.31945/posts/1319401444894584

そこにはこんな単純な間違いが記載されています。

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タミフルを販売していたのはスイスに本社があるロッシュであり、日本では中外製薬が販売元になっていました。HPVワクチンをグラクソは販売していますが、

グラクソはタミフルとは全く関係なく、この陰謀論的な話は成り立たないことになります

どうも伊藤純子市議会議員は一次ソースを確認するという習慣が無いのかもしれませんね。

伊藤純子市議会議員がそもそも言いたいことはこれらしいけど

伊藤純子市議会議員はこのようにご自分のお考えを明確に述べています。

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https://twitter.com/110junkoito/status/1189381051207913473

彼女の論点は「あくまで子宮頚がんワクチンが必要か」とのことです。そう言えば、こんなことを述べていましたっけ。

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https://twitter.com/110junkoito/status/1187256669782212614

子宮がん検診を行っていれば、子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)接種は必要ない、というロジックですよね、それ以外の解釈が出来る場合はお知らせください。

私はこんなに優しく注意喚起をしているのですよ。

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https://twitter.com/kuwamitsuosamu/status/1187548358681825281

ちょっと嫌らしい言い回しだったかも。

とにかく子宮頸がん対策はまずはHPVワクチン接種であり、その後も検診もマスト事項であることに対して、日本だけでなく世界中が揺らぐことはありませんし、揺らいでではなりません。

そもそも、伊藤純子市議会議員のヘンテコなご意見への私の批判はここから始まりました

各地に悲惨な被害をもたらした台風で、昨年と本年に訪れた八ッ場ダムのことを調べていたら、伊勢崎市の伊藤純子市議会議員が八ッ場ダムの功績を称えたツイートにぶち当たり、この方の存在を知りました。

その後、伊藤純子市議とのHPVワクチンをめぐる不毛なやりとりが、TLに大量に流れ込んできました。伊藤純子市議会議員と遣り合っている人のほとんどが、医師で特に産婦人科を専門とする先生が目立ちました。

伊藤純子市議会議員のツイートを見てみると、とにかくヘンテコなご意見が多く、医学的な知識もなさそうな変な人と見過ごしていたのですが、このツイートを見た私は怒ってこんなツイートをしました。

「おい‼」とちょっと乱暴な声かけをしてしまったのは良くなかったと反省していますけど、この伊藤純子市議会議員の発言を読んだ多くの医療関係者は怒りを抑えるのに苦労したでしょうし、

闘病中のがん患者さん、がんサバイバーの方、がん患者さんのご家族は怒りと共に悔し涙を流されたと思います

まだまだ伝えたいことは山盛りあるのですが、どうも伊藤純子市議会議員はまともな文献をお読みになっていない様子なので、もし万が一目に入ってくれれば良いなあ、とほのかな期待を寄せながらブログにしました。

ちなみに産婦人科医のきゅーさんはこんな感じのメールを伊藤純子議員に出したようですが、長文のためか返信はもらえていないようです。→伊藤純子議員があんまり酷いから、伊勢崎市議会にメールしちゃったよ

きゅーさん先生、返事がきたらぜひ教えてくださいね。

ナイスタイミングでこんな記事もありました。

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https://news.yahoo.co.jp/byline/katasekei/20191029-00148750/

あと、私が落とし所と言ったのは、意固地にならないで間違いは間違いと認めることです。他のご意見にあるような議員辞職ではありませんよ。

私は一昨日の夜に誤解を招きそうなツイートをして、自分の軽率な行動に対してこんなブログを書き反省しています。

大失敗、危うく炎上の可能性もあった、私のステロイドに関するツイート。

大失敗、危うく炎上の可能性もあった、私のステロイドに関するツイート。

SNS大好きで宣伝しまくりな医師がいる一方で、SNSを避ける医師のが多く、その大きな理由の一つが炎上です。炎上を恐れないで医師も積極的に参加してもらいたいと筆者は強く考えていますが、私自身もあわや大炎上ということがありまして猛反省をしました。炎上寸前のところを日頃SNSで交流のある医師に救われた経験をお伝えします。

Twitterのプロフィールによれば「正論」路線を踏襲する真正保守であり、公式サイト(http://www.isesaki.ne.jp/junks/profile/index.html)によれば、素晴らしい経歴をお持ちであっても、間違ってしまうことはありますから、早めにご自分の間違いを認められた方がよろしいかと。

まだまだ、間違いというか誤認というか一次ソースを確認していない様子がわかる発言がてんこ盛りですが、長文になるのでこの辺りで本日はやめておきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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