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おしっこ (尿) に血が混じる (血尿)

血尿とは赤い尿だけではありません

血尿は、赤っぽい色のついたおしっこだけではありません。色がついていなくても血が混じっている場合があります。

症状

おしっこに血が混じる状態を「血尿」といいます。そのまんまです。ただし注意しなければならないのは、尿が赤〜黒っぽいなど目で見て明らかに分かる場合と、目で見て分からないものの、検診で尿に血が混じっていることで分かる場合があるという点です。

日本泌尿器科学会によると、日本では約500万人の患者さんがいると推測され、血尿は年齢と共に増え、男性よりも女性に多い傾向があります。健康診断や人間ドックではおよそ10%の方に血尿が見つかります。

血尿に伴う他の症状としては、おしっこが近くなり回数が増える、排尿時の痛み、背中やわき腹の痛みなどがあります。他の症状の有無にかかわらず、目で見て分かる赤い尿が1回でも出た場合は医師に相談してください。

原因

おしっこに血が混じる「血尿」の原因を大きく分けると、腎臓で尿ができる時に血が混じる場合と、尿ができた後に尿管や膀胱で血が混じる場合の2通りがあります。

原因として最も多いのは、強いわき腹の痛みを伴う尿路結石です。これは、腎臓、尿管、膀胱など尿の通り道に小さな石が形成されることで起こります。肉類などの動物性脂肪を取り過ぎたり、アルコールを飲み過ぎたりすると結石ができやすくなります。尿管は細いため、結石が尿管内で尿の流れを妨げたり粘膜を傷つけたりすると、痛みや「血尿」の症状が出ます。

おしっこが近い、回数が多いといった頻尿の時や、トイレに行った後も残尿感を伴う時は、膀胱炎などの尿路感染症が疑われます。体の抵抗力が落ちた時に膀胱に細菌が繁殖する急性膀胱炎は女性に多く、おしっこに血が混じる「血尿」が見られることもあります。膀胱の中の表面は、柔らかい粘膜でできています。膀胱炎になるとその内側の粘膜が炎症を起こし、ひどい場合は出血することがあります。

疑いのある疾患

上部尿路結石(尿管)・下部尿路結石(膀胱)

尿路結石は、腎臓から膀胱までの尿の通り道(尿路)に結石が生じる病気です。腎臓や尿管にある結石を上部尿路結石、膀胱や尿道にある結石を下部尿路結石といい、上部尿路結石が全体の約95%を占めます。

症状は、疝痛発作(せんつうほっさ)といわれる、わき腹から背中にかけての激しい痛みと血尿です。その他にも下部尿路結石では頻尿や残尿などの膀胱を刺激する症状が多く見られます。腎臓内にできる結石は症状が現れることなく経過することが多いので、検診で偶然発見されることがあります。

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍のほとんどは悪性腫瘍、つまり膀胱がんです。男性に多く、60〜70歳が発症のピークです。膀胱がんの原因の1つとして喫煙が知られており、膀胱がんの7〜8割は、膀胱の内側表面にとどまる悪性度の低い膀胱がんです。

膀胱がんの最初の症状としては、目で見て分かる血尿が一番多く、血尿が持続するのではなく、しばらくすると止まることもあります。痛みを伴わないため放置しがちですが、血尿を見たら医師に相談することが大切です。

膀胱がんについてはつくる尿細管(にょうさいかん)の悪性腫瘍を腎細胞がんといいます。

50〜60歳代の男性に多く、原因としては肥満と喫煙が知られています。その他には化学物質や、遺伝性があるため親族の病気歴などが発症のリスクを高くするといわれています。

初期には特徴的な症状がないため、検診などで偶然発見されることが大半です。病気が進んでくると、血尿やお腹のしこりに気付くことがあり、全身の症状として発熱、貧血、高血圧、血液に含まれる赤血球量が増加する赤血球増多症が出ることもあります。

腎盂・尿管腫瘍

腎臓でつくられた尿は腎盂(じんう)、尿管を通って膀胱にためられます。この尿路にできるがんを腎盂・尿管がんといいます。原因としては、喫煙、化学物質、家族歴があるといわれており、男性に多い傾向があります。

最も多いのは、目で見て分かる血尿です。尿の通り道がふさがることにより、腎臓に尿がたまってしまい、腰や背中、わき腹に痛みが起きることもあります。また、検診で腎臓が腫れていることから、無症状のまま発見されることもあります。

前立腺がん

男性のみにある前立腺にできるがんが前立腺がんです。もともと欧米に多い病気ですが、日本でも患者数は増加しており、社会の高齢化や、食生活の欧米化により高タンパク、高脂肪の食事が増えたことがその一因と考えられます。

病気が進行すると、尿が出にくい、排尿時の痛み、夜間におしっこの回数が多いなどの症状がみられることがあります。初期の特徴的な症状はほとんどありませんが、PSA検査という血液を採取する検査が普及し、早期のがんの発見されるようになりました。

尿道腫瘍

膀胱からおしっこが排出される通り道を尿道といいます。長さは男性で約20cm、女性で約4cmです。尿道がんはまれな病気ですが、早期から周囲の組織に広がる傾向があります。原因としては、膀胱がんの病歴、繰り返す性感染症などがあります。

早期のがんでは症状は全く出ないことがあります。病気が進むと尿道から膿が出る、おしっこに血が混じる、排尿時に尿が出にくい、夜間に頻尿がある、会陰部や陰茎のしこり、足の付け根のしこりなどに気付くことがあります。

尿道カルンクル

閉経後の経産婦に見られ、尿道ポリープともいわれます。更年期以前にはほとんど見られません。良性の炎症性の腫れ物で、尿道出口にでき、米粒大から大豆大の腫瘤で、紅色や赤褐色をしています。

小さく無症状のものは治療の必要はなく、経過観察となります。大きくなると、下着とこすれることで容易に出血したり、痛みが出たり、尿が出にくくなることがあり、局所麻酔で切除する治療が行われます。

腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎臓でつくられた尿がたまる場所を腎盂(じんう)といいます。尿道から入った細菌が尿の通り道をさかのぼり、腎盂の中で細菌が繁殖して起こります。免疫が低下した状態や、尿の流れが悪くなる病気があると、かかりやすくなります。

排尿時の痛みや頻尿、残尿感などの膀胱炎の症状や38度以上の発熱、わき腹の痛み、腰や背中の痛みが出ることが典型的な症状です。その他、悪寒、震えを感じたり、吐き気や嘔吐(おうと)が出たり、全身がだるくなることもあります。

細菌性膀胱炎

肛門や膣などの細菌が尿道を逆行し、膀胱の中で繁殖することが原因で起こる膀胱の炎症です。健康な状態では細菌は繁殖しないのですが、冷えやストレス、病気などで体の抵抗力が落ちると起こりやすくなります。

頻尿になり、1日10回以上トイレに行きたくなることがあります。排尿時に痛みを伴うことが多く、尿が白く濁ったり、血尿になったりすることもあります。熱は出ても微熱程度で、高熱になることはありません。

放射線性膀胱炎

がん治療の1つである放射線治療の合併症として起こる膀胱炎です。例えば、前立腺がんの治療のために前立腺に放射線をあてると、前立腺に接して膀胱があるため、膀胱にもある程度の放射線があたり、炎症が起きます。

血尿が主な症状で、尿の回数が増加したり、尿が出にくかったり、排尿時に痛みがあることもあります。場合によっては、放射線治療の数年後に症状が現れることがあります。症状が軽度の場合は、治療なしでも徐々に改善することが多いです。

間質性膀胱炎

通常の膀胱炎は細菌感染によるものが多いのですが、間質性膀胱炎は細菌によって起こるのではなく、尿自体はきれいなので抗菌剤は効きません。膀胱内側の粘膜のバリアが何らかの原因で壊れることにより起こります。

尿が膀胱にたまってくると痛みが強くなり、排尿すると痛みが軽くなることが多いようです。痛みを感じる前に早目にトイレに行くため、頻尿になります。柑橘類などの酸性の強いものや、コーヒーなどカフェインを多く含むものを食べると症状が強く出ることがありますが、個人差が大きいようです。

出血性膀胱炎

肉眼で分かるほどおしっこに血が混じって発症する膀胱炎です。原因として、ウイルスや細菌、抗がん剤などの投与、放射線治療が挙げられます。原因は、子供では夏場の屋外プールなどで感染することがあるアデノウイルスによるものが多いとされています。

目で見て分かる血尿のほか、排尿時に痛みがあり、頻尿や残尿感、微熱程度の発熱がある場合もあります。膀胱の粘膜の一部からというよりは全体からの出血が特徴的で、重症例では血の塊が見られることもあります。

尿路結核

肺の結核になった箇所から、血液の流れに乗って結核菌が腎臓に到達し、その後尿管や膀胱まで感染が及ぶもので、これらの総称が尿路結核です。初期にはゆっくりと進行し、尿中に結核菌が排出されるようになります。

黄白色に濁ったおしっこがられみます。頻尿、排尿時の痛み、残尿感など、普通の膀胱炎と同様の症状が現れます。また、進行すると腰や背中の痛みを来すこともあります。

のう胞腎(多発性のう胞腎)

腎臓の中に液体がたまった「のう胞」という袋が無数にできます。加齢と共に大きくなり、数も増える遺伝的な病気です。一方、腎臓に1個あるいは数個ののう胞が見られることがありますが、これはのう胞腎とは異なります。

のう胞が大きくなってくると、腎臓がはれるため、お腹がはることがあります。一部が破れ血尿が出て気づくこともあります。徐々に腎臓の機能が悪くなり、食欲の低下や疲れやすい、だるいなどの症状が現れます。

腎梗塞(じんこうそく)

大部分は不整脈や、心臓にある弁が機能障害を起こす心臓弁膜症などが原因で、血の塊が腎臓に入り、腎臓の血管をふさいでしまうことにより起こります。その他にも、外傷が原因で腎臓の一部、または全体に血が流れなくなることにより起こることもあります。

太い血管が閉じて血液が流れにくくなってしまうと、腹部や腰などに急に激しい痛みが出現し、悪寒、発熱、嘔吐(おうと)、血尿などが出現し、おしっこの量が少なくなることもあります。

腎動静脈瘻(じんどうじょうみゃくろう)

非常にまれな疾患で、腎臓の動脈と静脈の間に異常な連絡通路ができることによりさまざまな症状が現れます。生まれつきのものが約23%、手術、外傷などで生じるものが約75%といわれ、原因不明のものも約1%あります。

最初の症状としては目で見て分かる血尿が約70%と多く、その他、わき腹の痛みや動いた時の息切れ等の心不全の症状が現れたり、高血圧になったりすることもあります。腎臓の血管に造影剤(ぞうえいざい)を入れて画像診断します。

特発性腎出血

特別な原因がなく、腎臓内の細かい血管が破れることにより、腎臓から出血し尿路に流れ出ます。20〜30代の若年の男性に多く見られます。治療方法は、まず安静と止血剤の内服で、自然に治ることも多いです。

原因がないにも関わらず、突然、見た目で分かる血尿がでます。1度だけのことも、数日続くこともあります。血尿の原因をいろいろと検査しても原因不明な時には、特発性腎出血と診断されることが多いです。

外傷

転落や交通事故、スポーツなどによる体の外側からの圧迫や傷などにより、腎臓に外傷を負うことがあります。腎外傷のほとんどは、それらによる腹部への鈍的外傷によるものです。出血や尿漏れを起こす場合があります。

わき腹、腰、背中の痛みや血尿が見られます。後方からの圧迫により、腎臓付近の肋骨下部の骨折を伴うこともあります。出血が多ければ貧血や低血圧になり、意識がなくなる可能性もあります。

【大きな誤解】泌尿器科って恥ずかしいし、痛い検査されるし、と受診を控えている方へ

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病気になっても受診したくない科目ベスト3入りが確実な(※n=5)である泌尿器科を専門としてしまった医師が、受診を躊躇している人々が泌尿器科に対して抱いているであろう誤解を解いてみます。オシッコのことで悩んでいる人、泌尿器科を受診するのは恥ずかしくないし怖くないし痛くないんだよ!ってことをお伝えします。

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著者

桑満おさむ医師

このページの文責:桑満おさむ(医師)
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区で五本木クリニックを開院。

患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指し、とくに日帰り検査・手術に力を入れています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

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