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母乳って完全な栄養食だと信じ込むとこんな落とし穴が⋯ビタミンD不足になる⁉

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ビタミンDって体に必要な栄養素なのは間違いありませんが、過剰に摂取しても意味がありません。太陽にあたる機会がなかったり、ビタミンD不足な人が、摂取することは意味がありますが、普段から十分に摂れている場合は心配無用です。

母乳だけだとビタミンDが不足する、と日本の研究者が発表❗

母乳神話というものが母親たちの間で流布しています。素直に考えれば母乳は安全であり、自然な育児方法であり、栄養学的にも完璧、って普通は考えてしまいます。しかし母乳だけで育つ乳児の75パーセントがビタミンD不足❗との衝撃的な研究結果が先日の第27回日本外来小児科学会で発表されました。

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こんな研究結果が日経メディカル(医療関係者しか見られない?)の2017年9月6日号に掲載されていました。上記グラフは発表された順天堂大学小児科の中野聡さんのオリジナルなので、著作権等の問題がありましたら削除いたします。

育児は母乳でなければならないとのプレッシャーに苦しむお母さんも多数だと思われますので、今回の発表はぜひ多くの方に知ってもらいたい医学研究結果です。

ビタミンD欠乏で起こりうる病気

ビタミンDはビタミンD2とビタミンD3の二種類があります。ビタミンD2はサプリメント等に含まれていることが多いものです。一方のビタミンD3は日光を浴びた時に人体の皮膚内で作られるもので、乳製品や魚等の食品からも摂取可能です。

昔から日光浴をしないとビタミンDが不足して、骨が丈夫にならないことは知られています。例えばくる病という今ではあまり見かけない病気ですが小説の登場人物などでご存知の方も多いのではないでしょうか?今回の研究でもくる病の乳幼児はいませんでしたが、母乳だけで育てた赤ちゃんと粉ミルクなどの人工乳で育てた赤ちゃんを比較すると、母乳だけで育てた赤ちゃんは明らかにビタミンD不足であることが判明したのです。

一般の方がいつでも見ることができる信頼たる医学健康情報サイトであるメルクマニュアル(現在はMSDマニュアルと名前が変わっています)に寄ればもともと母乳はほとんどビタミンDを含んでいないために、母乳で赤ちゃんを育てる場合はビタミンDのサプリメントを与えるべきと記載されています。

母乳神話に取り憑かれた方って自然派嗜好が強いはずですが、赤ちゃんにサプリメントを与えることに抵抗はないのかな、とちょっと疑問を持ちました。

「母乳神話」母乳で育てると赤ちゃんはもちろん、ママの病気も防ぐ、でも疑問だらけ。

「母乳神話」母乳で育てると赤ちゃんはもちろん、ママの病気も防ぐ、でも疑問だらけ。

母乳で哺育した母親は乳がんのリスクが低下する、母乳で育てた赤ちゃんの方が知能が高くなる可能性といった眉唾な情報がありますが、信じない人が大半とはいえ、一部の母乳こそ至高とする隔たった考えを持った人たちが母乳で育てないママさんは母親失格と決めつけるので医学的にきちんと批判しておきます。

母子手帳の日光浴の記載が外気浴に変更されている

紫外線による皮膚障害がクローズアップされたためと思われますが以前は日光浴を推奨していた母子手帳も現在は「外気浴をしましょう」と変更されています。

もちろん紫外線の浴びすぎは将来的に皮膚がん等のリスクを高めますが、あまりにも紫外線の悪い部分だけに注目を集めてしまうと、赤ちゃんがビタミンD不足になりかねません。

紫外線は強い日差しでなくても浴びることが可能ですが、過剰に紫外線を遮断する工夫をしすぎるとビタミンD不足を招く可能性があります。じゃあ、ビタミンD不足にならないようにサプリメントを赤ちゃんに飲ませる方法も考えられますけど、ビタミンD過剰症といった問題が出てきちゃいます。ビタミンD過剰症は血清中のカルシウム濃度とリン酸濃度が高くなるので、腎臓の石灰化という問題が発生してしまいます。ちなみにビタミンDの摂取基準は生後0-5ヶ月だと5.0μgで6-11ヶ月も同様です(ビタミンD解説 – 「健康食品」の安全性・有効性情報より)

おまけ:母乳神話をすすめるサイトで不思議な団体を発見しちゃいました

母乳で育児をしたくても仕事の関係でできない、あるいは母乳が出ないために粉ミルクに頼るしかない方もいます。世の中に母乳神話という嫌な風潮が子育て中の母親を混乱に巻き込んでいるように感じられます。

母乳関連キーワードで検索していたら「母乳育児支援ネットワーク」というサイトにぶち当たりました(http://bonyuikuji.net/?p=281)。このサイトは下の方に参考文献がずらっと書かれているので、一瞬まともなサイトだと思ったのですが、よくよく調べて見るとなんかヘン。「さらに詳しく知りたい方はユニセフのサイトを」って記載されているのですがそのユニセフのサイトがヘンです。

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ユニセフって正式名称はUnited Nations Children’s Fundであり略称はUNICEF、ドメインは「www.unicef.or」です。母乳支援サイトに記されているユニセフのドメインは「www.unisef.org」(クリックしちゃダメだよ)、となっておりCがSになっています。これだけでこのサイトの信頼度は著しく低下しますよね。だって飛び先はこんなですから。

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上に「The domain unisef.org is for sale」って書かれていますので、本当のユニセフとは一切関係のないサイトのような気がして来ました。こんなもっともらしいサイトによって母乳神話を広めようをいう考えを持った一派が存在するのかなあ。熱心に母乳に関して調べる真面目な母親を餌食にしようとでも考えているのでしょうかねえ。

もしも、TYPOでしたら早々に正しいURLをお願いいたします⋯多くの支援者がいたとしたらこの単純なミスに気がつくはずなんですけど、この母乳支援団体はそれほど支援者がいないマイナーな団体なんでしょうか?日本での責任者の名前等も書かれていないようなサイトだし⋯ちょっと神経質になり過ぎだとは思いますけど。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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