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痛っつ!あそこをジッパーに挟んだ時の対応法「イグ・ノーベル賞」受賞のマジメな論文

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男性なら経験したことがある人がほとんどじゃないでしょうか?用を足して急いでジッパーをあげた瞬間に「痛てー!」ということが。私は泌尿器が専門ですので、そのような患者さんが来院することもあります。

ノーベル賞受賞??

あそこをジッパーに挟んだ

http://lifeinthefastlane.com/

世界中でもあわてんぼうの男性は多いようで、そんな患者さんに対しての正しい解決の仕方を論文に書いた人がいます。それは「ジッパーに挟まれたペ☓スの緊急処理」 (Acute Management of the Zipper-Entrapped Penis) という題名でThe Journal of Emergency Medicine,(Vol. 8, pp. 305-307, 1990)というまじめな論文がありあります。

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これが論文の実物です

ネット上では有名な話ですが、実際に元の文献を見て記事を書いているものは少ないようです。これがその論文の現物ですが、ネット上で公開されるは初だと思います。全部で3ページで文章は1ページにも満たないくらい。あとは大きな写真3枚と図が一つといった、ケースレポート状の簡単な論文です。

因みに執筆者のF. Nolan医師はノーベル賞じゃなかった、イグノーベル賞を受賞しています。イグノーベル賞といえば、ふざけた研究・役に立たないような研究に対して贈られるふざけた賞と思われますが、実はノーベル賞とイグノーベル賞の両方を受賞した人もいるのですよ。英マンチェスター大のアンドレ・ガイム教授は2010年にノーベル物理学賞を受賞しています。が、2000年にイグノーベル賞を磁気を使ってカエルを浮上させる研究で受賞しています。

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ダブルノーベル賞受賞のアンドレ・コンスタンチノヴィチ・ガイム博士http://jp.ibtimes.com/よりお借りしました

偶然にも本日、イグ・ノーベル賞を日本人が受賞したニュースが飛び込んできました。
「祝 イグ・ノーベル賞 「心臓移植を受けたマウスにオペラを聴かせ、その生存率を研究」の本来の内容」もご覧ください。

そんなふざけた論文って

ジッパーに挟まれた場合を検討した論文は結構多数あるのです。Acute management of the zipper-entrapped penis以外にも

  • The management of penile zip entrapment in children
  • A novel method for removal of penile zipper entrapment
  • Treatment of a delayed zipper injury
  • Releasing of zipper-entrapped foreskin: a novel nonsurgical technique
  • Penile zipper injury(Med Princ Pract. 2006;15 (4) :303-4.)
    ※これは日本の医師による論文です

などなど「あそこをジッパーに挟んだ場合」に対する論文は多数専門医学誌に掲載されています。

多数の論文がある理由⋯驚くべき数の男性がトラブルに!

なんでこんなに論文があるのか?とお思いでしょうけど、今現在でも多くの男性がこのトラブルに面してるのです。

最近ネット上で見かける「あそこをジッパーに挟んだことに関する研究」は泌尿器医であるBagga HS, Tasian GEらが発表したものをもとにしようです。彼らの所属するカルフォルニア大学サンフランシスコ校( University of California, San Francisco)は自分の病院と救急病院のデータを解析しました。これによるとなんと 2002 年から2010年までに17,616 人の患者さんがこの件で受診していたとのことです。

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(2013 BJU International | 112, E191–E194)
この論文は英国泌尿器科学会の学会誌に発表されました。

  • 0才―18才まで受診者は9054人(0歳児が自分でジッパーを締めるとは思えないのですが⋯。)
  • 19才ー65才までの受診者は8231人
  • 66才以上の受診者は331人

以上トータル17616人❗

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これだけ多くの被害者がいるのですから、論文が多数出ているのも納得できます。

彼らは「泌尿器科医はこれらの患者さんのために様々なジッパー着脱戦略に精通している必要があります。」と最後に記しています。ではどのようにこのトラブルから可哀そうな患者さんを救い出せばいいのでしょうか?

元祖トラブル救出法で

このジッパーに男性器を挟む問題を取り上げたブログをいくつかネット上に発見しましたが、複数の論文がごちゃ混ぜになっているようなので、今回はイグノーベル賞に輝いたF. Nolan医師の論文を中心にして緊急治療の方法をお教えします。

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上の図を説明すると
・挟まったペ☓スに局所麻酔をする
⇒まず、ジッパーをズボンからハサミで切り取る
⇒ジッパーの上げ下げする金具をthe jaws of a strong bone cutter(医療用の骨を切る道具)で裏表の二つのパーツに分解する
⇒患部を傷つけないように挟み込まれた皮膚をジッパーのギザギザの部分から引っ張りだす
⇒これで解決、傷ついた患部には適当な治療を施す
ということです。無理に引き抜かないことに注意をしなければいけません。

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これがthe jaws of a strong bone cutterです。決してペンチではありませんよ。

その他にジッパーに油をさす、ジッパーをもみほぐす、ペンチでジッパーを破壊するなどと記された記事もありますが、ノーベル賞(+イグ)に輝いた論文にはそのような記述はありませんでした。まずは、元祖の指示に従った方がいいと思います(笑)。

こんなトラブルを起こさないための心得

彼らによるとこのトラブルに見舞われた患者さんはパニック状態になっており、静止できないので非常に治療は困難であるとしています。この様な事にならないようにするための回避法は

  • 緩めのズボンをはくこと
  • ジッパーのついていないボタン式のズボンをはく
  • お酒を飲んだ時は特に注意を
  • 隣で排尿している人の目を気にしないで落ち着いてジッパーをあげる

以上が他の論文では提案されています。

とにかく、挟んだら泌尿器科を受診してください!

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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