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医療はブラック企業 当直明けの医師の勤務時間は連続で30時間以上です

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ある調査によれば(医師だけが見られるサイト)、当直前は100%近く、当直後は80%以上が通常の勤務をしています。

病院は入院患者さんがいますので、当然医師が不在って訳にはいきません。外科系の医師の場合、手術があるとお腹を閉じてさあー帰りましょう!とはなりません。術後の患者さんの様態がある程度落ち着くまでは、担当医はベッドサイドに張り付いていないとしても、院内にはいるはずです。

長時間におよぶ医師の勤務時間

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東京大学医科学研究所 附属病院内科助教 湯地晃一郎氏の「勤務医の過重労働:酷使される勤務医の実態と、その解消策」より
当直という制度があって入院患者さんの急変に対応したり、救急で搬送される患者さんの処置をします。一部の病院では内科系と外科系がそれぞれ1人づづ交代でその任務をこなしています。

大学病院などの規模の大きいところでは各科で中堅どころ一人、若手一人という体制を取っていますが、当直明けは当然休みになるのが一般企業でしょうけど、医療の場合はそのまま次に日の診療に当たることがほとんどです。その為に、当直の回数が多くなってしまう産婦人科や小児科を今の若手は避ける傾向にありますし、定時に帰宅することがほとんど不可能な外科系も人気がありません。

医療はある意味「ブラック企業」と言えます。

医師の自殺と過労死

とある某大学病院で研修医(26歳)が過酷な労働時間が原因となって過労死したという事件がありました。これに対して親族が労災認定がなされましたが、この例に実は不思議な気持ちをもった医師も多数当時はいたんです。

この事件では研修医が労働者であるという明確な判断がなされたために「労災」が認定されましたが、研修医もたしかに医師として仕事をしてはいますが、どちらかと言うと昔の「丁稚」のように私たちの世代は研修医を捉えていました。私学で研修を行っていた友人の場合は給与は数万円と聞いたことがありますが、私は公立の大学病院で研修医をしましたので給与は公務員の規定によって10万円くらい頂いていました。

当時は公務員は長年勤務すればするほど給与がアップするシステムでしたので、教授がエレベータで乗り合わせた掃除のおばさんのことをさして「俺より給与が高いし、退職金なんて比較にならないくらおばちゃんは貰えるんだよ。」と話してた記憶があります。過労による医師の自殺が騒がれた時期もあります。

医師の自殺率って普通のひとより30%高いというデータもあります。このような医師の過酷な労働環境に対して、過労死・自殺などがクローズアップされたことにより労働環境の見直しが行われているはずなのに、未だに当直明けその後の一般診療が恒常化しているのです。
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http://medical.nikkeibp.co.jpより

当直明けの医師に当たった患者さんの立場は?

私は医師の労働環境の改善を訴えるつもりは一切ありません。手に職があるのですから、一生食いっ逸れはないでしょうし、通常のサラリーマンよりは給与も良いはずですし、「先生」と呼ばれて全く裏付けのないことなのですが、尊敬される立場ですから。中小企業でバリバリ仕事をしている人の方が労働時間は長いですし、重圧も半端じゃないでしょうから、過労死・自殺率も高いのです。

当直明けで眠気と戦っている医師に担当された患者さんはどうなちゃうんでしょうか?前述の調査によると当直が原因と考えられるミスやヒヤリハットは三分の一の医師が経験しているとの結果がでています。

当直のない町の開業医を受診した方が患者さんは安全?

当直によって睡眠不足・疲労でクタクタの大病院の医師に診察してもらうより、私の様な町医者にかかった方がヒヤリハットも少ないですから、重大な病気でないのならぜひかかりつけ医を見つけることを皆さんにはオススメします。患者さんの家庭環境や仕事内容も把握しておくことは診察を行う上で非常にプラスになります。そんな気遣いは大病院の医師には難しいので、町医者がおすすめです。

追伸 私の場合、ブログを書いたり、講演会をこなしたり、勉強会に参加してかなり長時間労働になっています。これで過労死しても労災は下りませんし⋯この状態を「セルフブラック」と呼んでいます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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