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ニキビに悩む10代の若者の3分の1に自殺願望、治療する医師側に問題あり!追記あり

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※注意 この記事を書いた当時はまだ日本のニキビ治療に使用できる薬は極々限られており、世界基準とはかけ離れていたのです。

その後「ディフェリンゲル」「ベピオゲル」「デュアック配合ゲル」「ゼビアックスローション」などの海外では当たり前のニキビ治療薬や広く使われために抗菌剤の効果がなくなったニキビに対して新しい抗菌剤が使用できるようになりました。しかし、難治性のニキビで悩んでいる方はまだまだ多いのです(2016年5月28日追記)

ニキビに関するショッキングな報告はオーストラリアの学会誌

「Australasian Journal of Pediatrics and Child Health」に掲載されていたものです。

ニュージーランドに住むニキビに悩む子供の24%がうつ症状を併発していて、なんと30%以上の子供が自殺を考えたことがある というセンセーショナルなものです。

ニキビに悩む10代の若者の3分の1に自殺願望

なぜ、いまさらニキビについて私が述べるのか?

16年間に渡って町医者として、ニキビに悩む方を治療してきて感じていることを何回かに分けてお伝えしていきたいと思います。

今、一部の医師の間で不毛な論争が起きています。ニキビ治療に対して皮膚科医師が内科医師が抗菌剤を乱用しているから、薬の効果が落ちたとか、長期に内服させる皮膚科医を内科医が非難したり、患者さん不在の不毛の論争が一部で起きているからです。

にきびは身も心もクタクタにする病気と認識して治療に当たれ!

ニキビは青春のシンボル、できて当たり前、「顔を良く洗って、塗り薬を塗っとけばよろしい」なんて寝ぼけたことを言っている医師が未だにいるのは事実です。

患者さんは唯でさえ精神的に不安定であり、初めて異性を気にしはじめる思春期の子供そんな言葉を掛けていいのでしょうか?

少なくともニキビができるメカニズム、どのくらいの期間で治っていくのか、どんなことに注意をするか、ぐらいは説明するべきでしょう。

毎日毎日鏡を覗きこみながらため息をついて、身も心もクタクタになっている患者さんであると深く考えて治療しなければいけません。

日本でもありました

タイトルにあるのはオーストラリアの学会誌に発表されたシドニーで行われた調査の結果です。

ニキビが原因で精神に不調をきたし、自殺してしてしまった患者さんの存在を知らない皮膚科医はいないのではないでしょうか?

実際に自殺してしまったニキビの患者さんは日本でもいるのです。

また、ニキビが原因となって不登校になったり、うつ病になった患者さんは開業医であれば他科の医師でも経験していると思います。

ニキビの出来方

にきびは医師によって全く違う考え方をする傾向がある

当院ではニキビの治療にあたって「ニキビの原因は4つしかない、でもその4つに影響するものが複雑なのでニキビは治りにくい」と説明しています。

複数の他院を巡り巡って当院にいらした患者さんはほとんどの方が、初めてニキビの原因を説明されたといいます。原因を教えないでどうしてニキビと戦えるのでしょうか?

  1. 皮脂の過剰な分泌
  2. その皮脂が酸化する
  3. 角質が詰まる
  4. 細菌に感染する

この4つしか原因はありません。

しかし1~4に影響するのがホルモンであったり、生活環境であったり、思春期のホルモンバランスの崩れであったり、老化、化粧品類などなど多数に渡るので治療は複雑になります。

皮膚が入れ替わるいわゆるターンオーバーも3~4週間としている教科書、ネット情報が多いのですが、私の経験によると25歳くらいまで若い方でも6週間は必要と考えています。つまり一回や二回の来院処方でなおるわけがないのです。その説明を怠る医師が多いので、こっちで治らなかったからあっちで治そうと,いわゆるドクターショッピングをしている患者さんを責めるより医師の説明不足を改めるべきです。

ニキビ治療に健康保険として使用できる薬は極々限られています。

抗菌剤系のぬり薬が2種類、今までと違った系統の塗り薬が一種類、昔から使われているプロアクティブ類似の薬一種類と貧弱なラインナップでニキビと戦わないといけないのです。

そこでニキビの効果があるが保険診療上は使用が認められていないホルモン系の薬を処方する医師もいます。この場合私たちの間で「保険病名」といわれる保険請求上の病名をいれる行為が行われています。

処方する医師側は善意で行っているのでしょうが、行政上は違反となります。

実際に私が経験した症例

その患者さんはニキビに10年以上悩ませられていて、 10数件のクリニックを受診後当院に来院しました。

顔は「とにかく保湿が大事」と聞いたため、美容液でベトベトの状態。正面から診察されることを拒否して、横顔しか見せてくれません。

さらに治療前の状態をカルテに記録するため写真撮影をお願いしても絶対拒否。とにかく人に見られたくない、との一点張りでした。

通常の会話は普通の表情で行えるのですが、いざ核心のニキビの二の字をこちらが言った瞬間に厳しい表情、それこそ悪魔が乗り移ったのではないかと思える程の形相に変わります。

非常に珍しい患者さんだと思われて読んでいる方がほとんどでしょうが、ニキビに悩んでいる方の精神状態はこのようなものであり、院では特に珍しい診察風景ではありません。

それほどニキビは重大な問題を抱えた疾患なのです。

ほかにもいろいろ義務として伝えなければいけないニキビ治療については、治療薬の副作用や生活上の注意点、意外に気が付かない悪化原因などいろいろありますので何回かに分けてお伝えしていくて予定です。

とにかく,ニキビは患者さんの身も心もクタクタにし、自殺さえも招く病気であるとの認識で医師は治療に当たらなければいけません。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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