DHCのサプリメント「有機ゲルマニウム」って効くの?気になる安全性は?

本業以外でお騒がせの化粧品やサプリメントを販売するDHC。DHCの商品の中で有機ゲルマニウムなる商品を見つけてしまいました。

ゲルマニウムってからだに良さそうな気もするけど、本当に何らかの効果があるのか良く知らない方々もいらっしゃるのでは?からだに何らかの効果があれば、当然副作用等も考えなければいけません。DHCの有機ゲルマニウムサプリメントについてちょっと調べてみました。

そもそも本当に期待するような効果があったらサプリメントには分類されない

サプリメントは薬でもありませんし、医薬部外品でもありません。そのために薬機法(旧薬事法)によって厳格なルールが決められていて、簡単に言えば医薬品のカテゴリーに入ってしまうと無承認無許可医薬品と判断されかねないのです。

サプリメントは医薬部外品や薬とは違って、からだに対する作用は緩やか・弱いことがサプリメントがサプリメントである所以です。サプリメントと呼ばれる健康食品は基本的に「効く」とか「治す」との文言を使うと薬機法に抵触するために、ユーザーのイメージを膨らませる絶妙なキャッチコピーが使われています。

例えばDHCの「パワー有機ゲルマニウム」だと、以下の2つがキャッチコピーです。

  1. 安全性が認められた唯一のゲルマニウム
  2. 内なるパワーでリスクを遠ざける

素朴な疑問、有機ゲルマニウムとは?

有機の反対の意味として、「無機」があります。簡単に言えば有機は炭素(元素記号C)を含むもので、無機は炭素を含みません。そこから発展した考え方で、高校の化学で学ぶ「有機化合物」と「無機化合物」があり、有機化学は炭素を含んだ化合物であり、無機化学は炭素を骨格としない化合物です(ダイヤモンドは炭素から成り立っていても、無機化合物)。

生物が作り出す化学物質を有機化合物と古くは分類されていましたが、科学の進歩によって人の手で有機化合物が生み出されることによって、「有機」と「無機」の分類は厄介なものになってしまいました。

一般的な解釈は有機化合物は生物に由来する「生命」を起源とするものであり、無機化合物は生物に由来しないもの、なのではないでしょうか?

ゲルマニウムの元素記号は「Ge」で原子記号は32、普通の状態だとダイヤモンド的な構造になっていて、半導体に使われてきたのですが、免疫機能が向上したり(いわゆる免疫力アップね)、疲労回復効果があったり、抗加齢作用があるんじゃないかと、以前からその可能性が模索されてきました。

なぜDHCの有機ゲルマニウムは「安全性」が強調されているのか?

DHCの有機ゲルマニウムサプリメント、「パワー有機ゲルマニウム30日分」の主成分であるアサイゲルマニウムは動物実験でも人に対しても安全性が確認されている有機ゲルマニウム化合物であることが広告では強調されています。ゲルマニウム自体は水にも普通の食材にも微量含まれていることが知られてはいても、人間が生命活動をする上でマストな化合物とは考えられていません。健康のためにサプリメントとして有機ゲルマニウムを摂取して、副作用的に健康を害してはならないのは当然のことなので、安全性を強調しているようにも思われます。

実は昭和63年に厚生労働省は「食品中に含まれるゲルマニウムに関する専門家会議」で話し合われたことを、各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あてに通知という形で伝えています。

酸化ゲルマニウムを含有させた食品の摂取と、同食品を継続的に摂取した者に散見される人の健康障害との間には、臨床的データから強い因果関係があることが認められ、また、動物実験においても、酸化ゲルマニウムを継続的に動物に投与することにより人と同様の健康障害が発生することが認められる

https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/hokenkinou/4b-3.html

続いて、

動物実験において予め腎臓機能障害を起こしておいた動物に酸化ゲルマニウムを投与した場合、腎臓機能障害が悪化するとのデータがあり、特に注意を要する

と書かれています。つまり酸化ゲルマニウムを長期にわたって摂取すると健康被害が起きてしまうのです。

だからこそ、DHCが販売している有機ゲルマニウムサプリメントは安全性を強く訴求しているのですね(DHCの有機ゲルマニウムサプリメントの主成分であるアサイゲルマニウムの臨床試験結果などの詳細は後日お伝えします)。

有機ゲルマニウムの効果は極々一部で認められているの事実です

B型慢性肝炎の治療に使われる「セロシオンカプセル」(一般名プロパゲルマニウム)という薬があります。効果・効能としてはHBe抗原陽性B型慢性肝炎におけるウイルスマーカーの改善が確認されていても、添付文書等によれば、かえって症状が悪化することがあるために肝機能検査を2週間ごとに行うことが推奨されている管理の難しい薬なのです。

処方薬であるプロパゲルマニウムとアサイゲルマニウムはゲルマニウムが含まれていても、別物であり人体に対する影響に違いがあるのかもしれません。そうなると、やはりアサイゲルマニウムが人に対して行われた臨床試験結果を入手して、検討する必要が出てきちゃいました。

ゲルマニウムの有効性についての症例報告

「Complete remission of pulmonary spindle cell carcinoma after treatment with oral germanium sesquioxide」[1](PMID: 10669709)というタイトルの症例報告があります。肺がんの患者さんにゲルマニウム化合物を摂取してもらったところ、症状が改善したとの驚きの報告です。この患者さんは健康食品店でゲルマニウムサプリを入手して飲み続けたところ、肺がんが改善して42ヶ月は臨床的には治った、と診断されています。

しかし、ゲルマニウムのサプリメントで何らかの病気が治った、と確認できる医学論文はこれだけしか私は見つけることができませんでした。

少なくとも無機であろうと有機であろうとゲルマニウムをサプリメントとして摂取することが、なんらかの効果があり人体にとって有益であることを明確にした医学論文は無い、ということです。特に皆さんが期待する効果である「免疫力アップ(笑)」や疲労回復効果や抗加齢は無理っぽいようです。

ゲルマニウム入りコスメなんてものもあります。

参考文献

  1. Mainwaring MG, Poor C, Zander DS, Harman E. Complete remission of pulmonary spindle cell carcinoma after treatment with oral germanium sesquioxide. Chest. 2000 Feb;117(2):591-3. doi: 10.1378/chest.117.2.591. PMID: 10669709.

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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