メンタリストDaiGoさんのYou Tubeが薬機法違反では、との話が話題になっています。病気を治す薬や機器は薬機法という法律で厳しく管理されています。メラトニンでダイエットが可能のような表現をDaiGoさんはしています。サプリであってもアロマオイルであっても「治る」「効く」との表現は避けるべきと考えられています。
本記事の内容
メンタリストDaiGoが薬機法違反⁉⋯使われている言葉の意味が分からないぞ!という方へ
ライブドアニュースでこのような記事を目にしました。
この記事のタイトルを読んで、私は「メンタリスト」と「DaiGo」の意味が分からなかったし、一般の方は「生理痛に効くアロマオイル」がなぜ文中の「薬機法違反」になる可能性があるのか分からなかったのではないでしょうか?
海外ドラマの「メンタリスト」は観たことあるけど、日本でメンタリストなる職業があることを知りませんでした。DaiGoという方はそういえば新聞の書籍広告で見かけたような記憶があったかも。
メンタリストDaiGoさんをAmazonの図書で検索してみると、「心理学を使って心理を操って人をどうのこうのして幸運になりましょう」という活動をしているようですね(個人的には胡散臭い)。
生理痛に効果があるアロマオイルを販売すると、薬機法違反に抵触する可能性は医師である私は十分理解できますが、一般の方はそのあたりが明確になっていないと勝手に予想して、余計なお世話的に解説していきますね。
そもそも人体になんらかの影響があったら薬なんじゃないの?
薬機法という言葉、耳慣れないと思ったのではないかな?これは以前は薬事法と呼ばれていたもので(これなら聞いたことあるでしょ)、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」と正式には言います。
要するに薬や医療機器を取り締まる法律であり、医薬品の場合は効能効能は認められていないものを薬として販売したら違法、医薬部外品に分類される化粧品で効能効果において、効果が確実であることを伝えていたら違法、とされています。
アロマオイルといえども、医薬品的な効能効果を広告したら違法と解釈されています
詳細は東京都福祉保健局「医薬品医療機器等法に関わる不適表示・広告事例集」(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/smph/kenkou/iyaku/sonota/koukoku/huteki.html)や「薬機法違反に関わる違反表現・広告事例集134選」(https://www.yakujihou.com/content/4-C.html)をご覧下さい。
ライブドアニュースの記事によれば、以下のように述べているとのこと。
「副作用も少ないし、身体にも非常に良いというサプリが見つかったということで、痩せるし、身体にもいいというサプリをご紹介します」
親戚の叔父さんやとなりのオバちゃんが「これって痩せるのよ~」とサプリとか健康食品を薦めてくれても、薬機法違反とはならないでしょうね。というのも、これは「広告」では無いと判断されるからです。
しかし、メンタリストDaiGoさんは本も出しているし、テレビにも出ているし、メンタリストと称してなんとなーく立派な心理学方面というか醫學方面のプロっぽいイメージもあるので、そんな方がネット上でサプリとはいえ、体に対して何らかの影響を及ぼすものを推奨していれば、広告としてみなされてしまうのではないかな。
メラトニンはダイエット効果があるのか?医学的には効果なし、とされています。
メラトニンは脳の一部である松果体という臓器から出ているホルモンです。メラトニンは睡眠や覚醒に何らかの影響を及ぼしている人体の内分泌系の関連している物質であり、確かに海外ではサプリメントとして販売されています。
メラトニンは睡眠障害などを改善することが期待されているために、日本の法律では薬として取り扱われています。
メンタリストDaiGoさんが取り上げているメラトニンは薬ですということになります。動画上で直接サプリとしてメラトニンを販売しているワケじゃなくても、食品としてでさえ日本では販売が禁止されたいるものを紹介するという行為は批判されて当然なんじゃないかなあ。
そもそもメラトニンを飲んで痩せること、つまりメラトニンがダイエットに効果があることを明確に示した質の高い医学論文は少なくとも私が調べた範囲では見つかりませんでした。
逆に食欲不振で体重が減少しているがん患者さんにメラトニンを摂取してもらっても体重に変化が無かった、との論文が見つかりました。
「Effects of melatonin on appetite and other symptoms in patients with advanced cancer and cachexia: a double-blind placebo-controlled trial.」(J Clin Oncol. 2013 Apr 1;31 (10) :1271-6.)はDaiGoさんが主張するのとは真逆の「メラトニンはがん患者さんの体重減少や食欲不振を軽減させるではないか?」との考えから行われた研究です。
このメラトニンが体重減少に何らかの影響を及ぼしているとことを実証しようと試みられた研究は以下の結果になっています。
After interim analysis of 48 patients, the study was closed for futility.
つまりメラトニンを使用した体重に関する研究は途中で、無益であるために中止❗になっています。
先日、芸能人の方々が全く効果がないだけでなく、リスクが否定できない「血液クレンジング」をソーシャルで拡散して、国会でも問題になりました。
もしも本当に効果があったら、薬と考えられ医師でも薬剤師でもないメンタリストDaiGoさんが販売していたら、誰が見ても薬機法違反だろうし、効果が無くても薬機法違反ってことになりますね。
前門の虎後門の狼的な窮地に立たされてしまっているメンタリストDaiGoさんの今後のゆくえ、目を離せません。
アロマオイル(これマルチで使用される傾向あるので、取り扱い注意案件)に関しては、話が長くなってしまったので続報を書きますね。

アロマ系飲料を飲んでウンチが緑色にならないと病気、って話が怪しすぎる。
アロマが女性の間でちょっとしたブームになっています。アロマの香りを楽しむことによって、気分をリラックスさせる効果は多くの医学的研究によって確かめられています。しかし、アロマによって病気を治すはちょっと誇大表現気味。なかにはアロマオイルを飲むことによって健康状態がわかる、という怪しげな商法まで出現しています。
とか

インスタ界隈でワクチンを拒否するための印籠が出回っている⁉
人工的に作られたものを摂取することに抵抗感ある人は多いはずです。好んでサプリを摂る人もいますが、薬漬け生活を好む人はいないでしょう。ですから反ワクチンな考えは理解できます。それをビジネスに利用する悪い人(医師)がいます。しかも全国でセミナーを開催し、ワクチン拒否の証明書を有料で発行していました。
とか

「発達障害を食の改善で治す」と称するニセ医学ビジネスについて
「○○を食べて病気を治す」こんな感じのセミナー、講演会、一般書籍、webサイトが溢れかえっていますが、多くはニセ医学が主ですので要注意です。特に現在の標準治療で治すことが難しい病気に関しては、解決方法がないので非科学的なデマであっても希望が持てるだけでもよい情報になりえますが、そんなニセ医学ビジネスは許せません。
こんな感じでアロマっていろいろな意味で危なっかしいのです。
追記:こんなの書きました。

メンタリストDaiGoさん、副作用無しでアロマで生理痛が治る、とは本当でしょうか?
メンタリストDaiGoという有名人がいます。You Tubeで生理痛に効くとの表現をつかってアロマオイルを勧めていることが、ひょっとすると薬機法に抵触する可能性があります。ラベンダーのアロマが生理痛に効果があることを証明した論文がある、と述べています。しかし、その論文は医学の世界で高く評価されているとは限りません。
まあ、困ったメンタリストさんです。