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生活習慣病は低所得国でも増加しているという報告に絡んでみました(怒)

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先進国の豊満な食生活が原因で運動不足がそれに拍車をかけているのが、主な原因とされている生活習慣病を世界単位で調べてみたら、なんと低所得国でも生活習慣病が蔓延しだしているという調査結果がでています。

生活習慣病って贅沢病じゃないんだ、低所得国でも増えてるんだから

論文自体に先進国のおごった、読み方によっては偏見に満ちた論文でしたので、お時間のある方はお付き合いください。

Circulationという医学専門誌ですが、この専門誌はインパクトファクターも15点くらいあり、かなり格調高いものといえます。「The global cardiovascular risk transition: associations of four metabolic risk factors with national income, urbanization, and Western diet in 1980 and 2008」(Circulation. 2013 Apr 9;127 (14) :1493-502, 1502e1-8)という題名の論文です。

グローバルに見た都会型の食生活と心血管系リスクと国民所得をからめて考察した文献です。

BMIは国民所得と関係ないということは所得格差が原因とはなっていない

BMIは肥満度を測る指数として皆さんもご存じだと思います。健康診断などでBMIが25を超えると肥満気味と診断され、30を超えると積極的な治療が必要と指示されます。

果たして25が肥満判定の基準として適正化という議論はまたの機会にしますね。

因みに計算式はBMI=体重㎏÷身長m÷身長mで割り出されます。ちなみに私は体重63.8キロ 身長171センチですから63.8÷1.71÷1.71=21.8の普通体重になります

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http://www.baomoi.com/

BMI30以上だと左の感じになります。

BMIを世界中199か国で調べました。するとBMIは所謂西洋型の食事とは全く関係がありませんでした。西洋型の食事をとるには低所得国では非常に贅沢なものになりますので、あまり一般的な食生活といはいえません。

つまり、低所得国の食事であってもBMIが高い国があったということです。

BMIは国民所得と西洋型の食事とは関連しない、独立した事象であったと統計学用語では表現します。

生活習慣病の中でも、血圧はとんでもない結果がでた!

生活習慣病の代表的な高血圧症ですが、1980年代ころから高所得国で増加が見られており、国が豊かであるために引き起こる現象と認識されていました。

いわゆる現代病とか贅沢病の一つとして考えていたのが一般的です。

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http://nursingcrib.com/

しかし、女性の拡張期血圧、よくいうところの下の血圧に関しては低所得国の方が、高所得国より高い傾向が見られたのです。

この研究者を悩ませた問題は心臓の病気

1980年から2008年の間に199か国で調べた結果をもとに心血管系の危険因子を割り出そうとこの研究者らは膨大なデータを解析しました。

当然BMIや血圧、コレステロールは所得の高い、都会型の国がリスクが大きいと思い込んでいたようです。確かに1980年のデータ単独で解析すると国民所得と心血管系のリスクファクターは正の関係があったのです。

2008年のデータを解析したところ血圧が低所得国で高所得国を上回っただけでなく、BMIにおいては中所得国の方が多くなっていたのです。

高コレステロール血症はかろうじて?高所得国が上回っていました。

唯一この問題を説明できる仮定

すこし話はめんどくさくなるのですが、低所得国でも高所得者が多く住むと予想される都市人口のその国に占める割合が多くなると、BMIは増加する傾向が認められたのです。

つまり都会に住むと肥満になる、ということです。

その説明として以前のブログで書きました。今回の研究でBMIが高いと空腹時血糖値が高い傾向が認められましたので、車の使用と糖尿病は関連がありそうです。

日本では食生活が欧米化したことによって糖尿病が増えています

http://www.kyouritu.or.jp/kyousitu/slide009/kyousitu009.html

車の使用頻度が高くなると肥満になる傾向がある、というデータがあればこの問題はすっきりしますが、今の時点では見つけることができませんでした。

中所得国ってどんな国だ?

かなり私見を交えた独断で今回の研究を評価してみます。

文献を漁ったところ中所得国って中南米が多い様です。アメリカのジャンクフードが溢れ返っているような国です。自然に囲まれ穀物類は豊富にありますし、都心部には旧宗主国の白人系が多く住んでいます。もちろん肉食中心であることは間違いありません。

治安の問題もあり移動は車中心であることが予想されます。

つまり、今回のデータはジャンクフードに囲まれた、豊富な食生活を送っている旧宗主国の人が平均BMIを高めていて、心血管系のリスクを高めているのではないか、などど邪推をしております。

血圧の問題も高所得国は血圧が高ければ治療している可能性が高いので低めで当然です。

高所得国だと肥満を気にする余裕もあるのではないかな、低所得の人はジャンクフードで空腹を満たしているのはアメリカの情勢を考えると理解できると思います。

低所得国の問題はそんなことじゃないぞ!

低所得国の女性の血圧が高いのも多分アフリカを中心にした国のデータであることが予想されます。有色人種は塩分が血圧に影響を与えるリスクが高いことが知られていますから、過酷な労働に耐えるために多めの塩分を摂取していて血圧が高めになっているのではないでしょうか?

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http://ftcj.jugem.jp/

この論文にどうしても気になるコメントがあったので上記のような考えをしてしまいました。

そのコメントは「低所得国は今後、高所得国が悩ませられている生活習慣病の問題を避けるために、飽和脂肪酸の代わりに不飽和脂肪酸の摂取を薦める」だって。

そんな問題より明日の食べ物にも困って、飢餓状態に陥っている低所得国の人がいるのに、そんな健康フェチ的発言がカチンときた論文でした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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