カネボウの白斑被害は完治するのか?どう見ても保険診療では無理です。治療方針さえハッキリ示されていません

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白斑治療は確実な方法は残念ながら確立されていません。

もちろんどんな病気でも自然治癒というのは起こりえますが医療として確実な治療法はありません。カネボウの化粧品による白斑問題を解決するために医師に何ができるのかを考えていきます。

皮膚科学会の発表に対する疑問

HP上でだれでもが閲覧できる日本皮膚科学会の「ロドデノール含有化粧品の安全性に関する特別委員会」が掲示している内容に少し疑問を持ちました。

Q13「脱色素は回復しますか?」という質問に対しての回答ですが「半年から一年で回復したという症例が多く経験されています⋯・」となっています。回復したという症例は今回のカネボウ化粧品のものと読み取れますが、少なくとも一般的に「白斑治療」を経験した医師ならこの回答に疑問を持つはずです。

白斑治療は確実な方法は残念ながら確立されていないと考えていいのです。もちろんどんな病気でも自然治癒というのは起こりえます。薄く白くなってて範囲が小さいものでは「目立たない状態」レベルになることはあります。以前より良くなっているので回復したという表現を取るのかもしれませんが。今回の被害では首など広い範囲に白斑が点在している方、首の30パーセント近くに白斑ができてしまった方もいます。

もし、日本皮膚科学会で白斑が完治した、あるいは回復したと判断している症例があったら治療前後の写真を公開することによって、被害者の方は少しでも安心できるのではないでしょうか?

女性の肌ですので、それくらいの配慮があっても良いと私は考えています。

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この様に首筋に広く白斑が拡がっている方もいます。

この患者さんは他の疾患で当院を受診していて、ニュースで初めて自分が使用している化粧品が対象になってたことを知りました。6月ころから痒みが有ったので、日焼け止めでなっていると考えカネボウの化粧品は使い続けていたら、白斑が拡がってしまったのです。早く情報が公開されていればここまで酷くならなかった可能性が大きいのです。

さらに「回復している患者さんが多いことを提示して希望を持ってもらうことは大切ですが⋯・」との文言もあります。本当に回復している患者さんは多いのでしょうか?

カネボウのインフォメーションの不十分さ

カネボウの「医療関係者の方へ」との注意書きには、2011年から2013年にかけ、39症例に肌がまだらに白くなったということをカネボウは把握していました。

14症例が回復、15症例が未回復、10症例が未確認とされています。

ひょっとして14症例が回復していることによって、日本皮膚科学会の「回復した症例が多く経験されています」になるのでしょうか?またここでいう回復というのは薄くなった・目立たなくなったレベルなのか、全く他の正常な皮膚と同じ状態になったという意味でしょうか?

しつこいですが、これらの症例の写真の提示が必要なのです。

果たして保険適用の一般的な治療で完治するのか?

健康保険で適応されている治療法

  • ステロイドの塗り薬に使用
  • フロジン液の使用

塗り薬はこれくらいしか有りません。

  • 少し積極的に皮膚科光線治療法というものがあります

長波紫外線療法と中波紫外線療法を尋常性白斑の治療に使用することは可能です⋯しかし、これで完治した症例写真を見たことがないのは私たちに情報収集能力が低く、勉強不足のためでしょうか?

皮膚科学会も言っています「炎症を伴わない症例では光線療法が行われている症例は存在します。治療効果については明らかにされていません」となっています。

効果は明らかにされていませんということは、治療して回復した14症例にはカウントされていないわけですね。ではどんな方法で14例は回復したのでしょうか?全く提示されていませんし、調べても出て来ません。

健康保険で許されている皮膚レーザー治療は

  1. 色素レーザー
  2. ルビーレーザー
  3. アレキサンドライとレーザー

の3機種に限られています。しかし、こりゃどれもアザなどで色が着いてしまった病気に使用するもので、白斑には全く逆効果じゃないですか。

自由診療でつまり保険が効かない治療法ではエキシマレーザーというものが白斑にわりと効果がみられる、とされていますが私たちが収集できた情報内の症例報告では「完治」と呼ばれる状態まで回復したものは残念ながらありませんでした。

ジャーナリストが感じたカネボウの対応

今回ロイター通信のロイターテレビから取材を受けました。記者の方は東電の件でも活躍されてた方です。記者さんに尋ねられて困ったのが「治りますか?」です。彼がネット上で検索しても白斑が治った症例は見つけることができなかったそうです。

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取材撮影に応じていただいた患者さんの怒りはカネボウの対応に向かっていました。患者さんの訴えは、症状を公表してほしいということと当院の治療経過も発表して欲しいとのご希望がありますので、今後のブログで書かせていただきます。

今回のロイターの記者さんから聞いたカネボウの対応

  • 出荷本数はどのくらいなのですか?「わからない」との驚きの回答
  • じゃぁ、誰に尋ねればいいのでしょうか?「誰が把握しているのかわからない」
  • 海外への被害状況は?「通販とかで買う人もいるだろうから把握できない」

この記者さんのお話によると台湾や香港でもカネボウの化粧品によっての被害報告がでているとのことです。患者さんの治療経過やカネボウとのやり取りは、患者さんサイドの希望もあり、公開していく予定です。企業の責任・行政の責任・医療サイドの受け入れの不備など多数の問題が提起された事件ですので、皆さんのご意見をぜひお聞かせください。

追加の記事です「3人中2人は治らない!カネボウ白班事件の元は論文の誤解釈」2013年11月20日追加しました。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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