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みなし陽性があるのなら「みなし陰性」もあるのか❓

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疑似症という聞きなれない言葉がお役所用語としてあります。この疑似症は「みなし陽性」という別名でメディアが取り上げることによって、一般の方だけではなく医師も混乱しています。

陽性があるのなら当然陰性もあるのか?という素朴な疑問が・・・。

お役所の通達はこんなにわかりにくいぞ!!

厚生労働省の通達文書にはこのように記載されています。

「みなし陽性」厚生労働省事務連絡

厚生労働省令和4年1月24日事務通達(令和4年1月28日一部改正)

これをメディアは「みなし陽性」とのワードで取り上げて騒がしい状態に先日からなっています。

みなし陽性があるのなら「みなし陰性」はあるのか?

https://www.fnn.jp/articles/-/309849

お役所の文章ってわかりにくいですし、断定はしないため自治体の方々も混乱しますし、その文書を入手したメディアも混乱しつつ「みなし陽性」とのワードを頻用しているように感じられます。

「みなし陽性」あるのなら、当然「みなし陰性」もあって良いような気がしませんか?

「みなし陽性」が誤診を招く可能性があるとの指摘もあります。そうなると「みなし陰性」は誤診となっちゃうことになりそうな・・・。

そもそも「みなし」の正しい意味は?

「みなし」とはどのような意味であるか確認しておきましょう。

デジタル大辞泉によれば

1 みなすこと。仮にそうであると想定すること。

2 そう思って見ること。気のせいでそう見えること。

となっています。そこで「みなす」の意味をWebilo辞書で調べてみると・・・

それとして扱う。実際には異なるものを、敢えてそうであるものとして扱う意味合いがある

うひゃーあ、実際には異なるものを強引に捻じ曲げてでも目的とするものとして取り扱うことになっちゃうじゃん。となると「みなし陰性」との判断も可能なような気がしちゃいます。

このような検査方法の結果を患者さんが提示したら医師は診断するか?

このような検査キットが存在します。

精度の信頼度が低いPCR検査キット

この検査キットの精度や信頼度に関するデータは不明(かなり怪しいと思うけど)ながら、検査結果を持参した方に対して陽性判定を下すのは躊躇してしまいます。もしも精度がいい加減であったら陰性例が続出してしまい、安心してウイルスを拡散しまくることになってしまいます。

ちなみに正しく検査を行うためには綿棒を下記のイラストのようにしっかり奥まで挿入する必要があります。鼻の穴に軽く差し込んでこちょこちょやっただけではNGだよ!!

PCR検査の綿棒による正しい検体採取方法

多数の患者さんに抗原検査・PCR検査を行うときに怒られました。「なんでこんなに奥まで入れるだよ!!以前検査した時は鼻の穴の入り口だけで陰性と判定されたんだぞ!!」って感じで。野良PCRと呼びたくなってしまう所以です・・・これは「みなし陰性」なんでしょうかねえ。まあ、普通は「誤診」と呼ばれると思いますけど。

全く無症状でも心配だから検査したら陰性、じゃあ家族も陰性?

占いのように民間のPCRセンターと呼ばれるところで検査を受ける人が後を絶ちません。当院でも「民間のPCR検査で陰性だったけど咳が出るんで」と受診して抗原検査キットで一瞬で陽性、確定診断的なPCR検査でももちろん陽性であった方は少なくありません。

「あなた陰性だったのね」と安心している「みなし陰性」的な同居人もいるのではないでしょうか?

「など」とかの文言は避けて欲しいなあ・・・。

新型コロナウイルス感染症が日本を席巻し出した初期に「微陽性」なる不思議なワードが話題になりました。

「微陽性」という不思議な医学風用語、医療分野の新しい生活様式では有効かも。

「微陽性」という不思議な医学風用語、医療分野の新しい生活様式では有効かも。

微陽性って、ちょっと陽性?それって結局陽性でダメじゃんって思う人がほとんどではないでしょうか。では微陰性ってあるのという疑問もありますが、ひょっとしたら、この微陽性という用語はこれからの新しい生活様式・ウィズコロナ時代には有効かもしれません。

みなし陽性や出回ると厄介な「みなし陰性」という白黒はっきりしない状況は避けたいと医療現場にいる私は考えています。一回の検査結果だけで「陽性」「陰性」を判定するリスクを避けるために、医師は複合的なデータを基として診断を下しています。

このような報道を見かけました。

ナビタスクリニックの久住医師は、「みなし陽性」の問題点を指摘しています。

 

「感染しています。線2本出てるでしょ。検査できましたよって線です。ばっちり見せると『しょうがない』と行動を考えようとするけど、疑似症(みなし陽性)ですよというと、“正確に診断受けているわけじゃない”という隙が生じる」

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000243738.html

「正確に診断を受けているわけじゃない」という考えをする人々は、陰性であることを確認するために検査を受ける人々とオーバーラップする可能性があります。お役所の通知では「同居する家族など」と言質を取られないために「など」という曖昧な言葉を使っているように感じています。

「同居する家族など」を拡大解釈して、咳や発熱の症状が出ている社員を近隣のPCRセンターや前掲のセルフ検査キットを使って検査をさせて陰性結果が出たらそれを根拠として、他の社員がゴホゴホしていても「当社はみなし陰性ですのでご安心ください」なんてことを言い出すオーナー社長とか出てくる予感がするんだよなあ(笑)

おまけ:キャッチ画像に使った画像中の「保健所から差し戻しの医師困惑」この医師って私のことなんだよね(汗)

医師の診断よりマニュアル至上主義の弊害、錯乱状態の保健所から発生届拒否の連絡が‼

医師の診断よりマニュアル至上主義の弊害、錯乱状態の保健所から発生届拒否の連絡が‼

保健所は厚生省管轄という形になってますが実態は地方自治体管轄。みなし陽性って言葉がメディアを賑わせてますが、その対応をめぐって国の方針と自治体の方針で食い違いを起こして結果的に医療現場に混乱を起こしています。何もかも国・政府のせいにしたがる(白黒・善悪はわかりやすい)人がいますが問題はそこではなくもっと複雑です。

このブログ記事を読んだメディアから取材を受けました。私の声などをお聞きになりたい方は⇨ テレ朝NEWS「みなし陽性」で現場の医師は困惑 保健所から“差し戻し”も をご覧くださいませ(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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