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ヒアルロン酸で失明❗って基本的な解剖学的知識が担当医にはなかったのか!?

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ヒアルロン酸をほうれい線や額のしわに使用することが、かなりポピュラーになってきているところにまたもや残念なニュースが飛び込んできました。

台湾でヒアルロン酸注射のトラブルでなんと失明をした症例がでてしまったのです。

今度は台湾でヒアルロン酸で失明!

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詳細は聨合新聞網またはYouTubeをご覧ください。(微晶瓷隆鼻噩夢 女術後右眼幾全盲 三立新聞台)

鼻のプチ整形にヒアルロン酸を使用したらしい

今回のトラブルは安全だと思われているプチ整形で鼻を高くする治療にヒアルロン酸を使ったのですが、同時に脂肪吸引もしていたために「麻酔が覚めたら目が見えなくなっていた」という悲劇が起きてしまったのです。

通常鼻にヒアルロン酸を注入する時に意識がなくなる様な麻酔はしませんので、少しでも異変が起これば「先生、イタいです」とか「先生、なんか目が変なんですけど」と言えますが、この台湾の女性の場合は麻酔から覚めたら左目が全く視力を失っていたということでした。

実は韓国でも同じ医療事故が起きていました

以前、ヒアルロン酸で鼻の一部が壊死した医療事故についてブログを書きましたが、写真としては鼻のものしか使用しませんでした。韓国で失明した症例写真はかなり酷い状態のものですので、お手間ですが詳細は「Ocular Ischemia With Hypotony After Injection of Hyaluronic Acid Gel」(Ophthalmic Plastic & Reconstructive Surgery November/December 2011 – Volume 27 – Issue 6 – pp e152-e155)で検索して論文を入手してくださいませ。

実は韓国でヒアルロン酸を注入したことにより失明したという症例報告が論文として少なくとも勉強をしっかりしている美容外科医、美容皮膚科医は不注意なヒアルロン酸注入の危険性を十分認識しているはずなんですけど、残念ながら台湾の医師は知らなかったのでしょうね。

今回の医療事故は回復は不可能です

不注意なヒアルロン酸注入によって鼻の一部が壊死した場合、ベテランの形成外科医であれば皮膚移植などの手術を行うことでカバーすることが可能です(そんな事故自体をベテラン医師なら起こしませんけど)。

しかし、今回のヒアルロン酸で失明してしまった患者さんの場合、眼球に栄養を送っている血管が詰まることによって起きてしまった医療事故ですから、眼球の移植は現在の医療技術では不可能なため、視力を回復することは難しいと考えます。

だからいってるでしょ、ハイドロキシアパタイト入りのヒアルロン酸は危険だって❗

ヒアルロン酸を美容医療に使用することは、画期的な治療を可能にしていますが、副作用が全くないとは言い切れないので、以前ブログで「ヒアルロン酸の効果と副作用」について書きました。

ヒアルロン酸によるエイジングケア治療は基本的な解剖学的知識をもっている医師であれば医療事故が起こるわけがないほど、ある意味で簡単な治療方法です。ですから「プチ整形」にボトックスとともに多用されているのですが、この両者に共通点があります。

効果は一生ではない!ということです。ボトックスの場合、効果の持続は3ヶ月から半年くらい、ヒアルロン酸も半年くらいで自然に吸収されてしまいます。自然に吸収されるということが人間の体に取って異物として認識されないで副作用もなく、安全に使用出来るのです。しかし、中には少しでも効果を持続させようと異物をヒアルロン酸の中に混ぜ込んだ製品がでまわっています。

固有名詞は避けますが、効果が18ヶ月~24ヶ月と持続期間が長いことを売りにしている注入剤は「カルシウムハイドロキシアパタイト」という成分が入っています。このハイドロキシアパタイトは化学式だとCa10 (Po4) 6 (OH) 2 と表されて、人体の皮膚の成分としては異物になってしまいます。骨や歯の再生には役立つハイドロキシアパタイトですが、効果を長持ちさせるために注入剤の成分にしてしまうのは、自然吸収されるから安全であるヒアルロン酸に期待される効果と相反するものになってしまいます。

プチだから安全だとか、簡単だとか考えないで、十分な説明を受けて安全面と万が一の副作用を理解してから美容医療は受けてくださいね。しかし、やっと美容医療が一般的に認識されてきているのにこんな単純なミスをしてしまう困ったちゃん医師が日本でも増殖していないことを祈ります。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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