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目から紫外線が入ると体にシミができる、日焼け止めを塗っていても勝手にメラニンが活性化する⁉

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UVケアを抜かりなく行っても、どうしても焼けてしまう❗高級なハイスペック日焼け止めを塗っても焼けてしまう⋯ひょっとしたら、この原因は目にあるのかも??というお話です。世紀の大発見かもしれません❗それはさておき、きっと、なるほどって思っていただけるかと。

目に紫外線が当たると白内障になるのは知っていると思いますけど

先日、理系のオッサン友達に「紫外線が目から入って網膜に当たると日焼け止めを塗ってても体がシミを勝手に作っちゃうの知ってる?」と聞かれました。そのオッサンはシミが出来ないようにサングラスを買ったとのことでした。一部の眼鏡屋さんがそんな話をしていた(私、老眼なので眼鏡屋さんのお得意様なのです)記憶があるのですが、PCのブルーライトと同様に売らんかな的なものだと解釈していました⋯老眼用のサングラス買ってしまいましたが。

ネットで検索すると大阪市立大学の教授がそんな説を唱えているということがわかりましたが、ネット独特の裏付けのない話が勝手に拡散している可能性がありますので、理系医学系の私が早速ネタ元を調べました。

サングラスの役目–サングラス_【和真メガネ】

あのnatureから出ている科学誌に勝手にシミ作る説がありました。

ネット上に見つけた医学・科学の突飛な説はかならず元の論文が記載されているかが信憑性を確認するために必要なことです。どの眼鏡屋さんのサイトにも元となる論文は併記されていませんので、私が調べましたよ、診療のあとに夕飯も食べずに。「Ultraviolet B Irradiation of the Eye Activates a Nitric Oxide-dependent Hypothalamopituitary Proopiomelanocortin Pathway and Modulates Functions of a-‘Melanocyte-stimulating Hormone-responsive Cells」という長ったらしいタイトルでJournal of Investigative Dermatologyという、あの小保方さんSTAP細胞を掲載したNatureと同じ発行元から(J Invest Dermatol. 2003 Jan;120 (1) :123-7.)、業者の皆さんも面白い学説をサイトで使用するときは元の論文の番号を記載するようにしてね!

この論文は眼の紫外線B照射は、メラノサイト刺激の経路を変調機能に影響を及ぼす、というような内容で目に入る紫外線が肌を黒くする可能性があるよ、と言うことです。

STAPねつ造写真ではありません、組織の写真を見せられても

この論文が元ネタであることは間違いありません。目に紫外線を当てた動物(マウス)の皮膚でシミの原因であるメラノサイトがふえていることがこの写真からわかります。

Ultraviolet_B_irradiation_of_the_eye_activates_a_nitric_oxide-dependent_hyp_othalamopituitary_proopiomelanocortin_pathway_and_modulates_functions_of_al_pha-melanocyte-stimulating_hormone-responsive_cells_pdf(2_5ページ)

人間であっても目から紫外線が入ると、皮膚のメラニン細胞が刺激されて黒くなるかの可能性がでてきます。目に紫外線UVBを当てると皮膚のメラノサイトが増えることはこのグラフからもわかります。

Ultraviolet_B_irradiation_of_the_eye_activates_a_nitric_oxide-dependent_hyp_othalamopituitary_proopiomelanocortin_pathway_and_modulates_functions_of_al_pha-melanocyte-stimulating_hormone-responsive_cells_pdf(2_5ページ)

UVBを眼と耳と背中に当てて、その後、耳の皮膚のメラニンがどれだけ増えていたかをグラフにしたものです。耳のメラニンが一番増えているのは当然ですが、なぜか眼にUVBを当てると耳の皮膚のメラニンが増えていました。比較するために背中の皮膚のメラニン量も測定していますが、あきらかに眼に当てた方が増えています(なぜか、ここの日本語訳を間違えているサイト多数あります、コピペ?)。

論文の内容も私が目を通した限りはトンデモてきな考えの飛躍やインチキ臭い自分勝手な考えに固執した部分は全くありませんでした(眼科の専門医が見たら違うかもしれませんが 汗)。

こんな大発見の後追いの実験や論文が見当たらない

以前、磁気治療器の理論が厚生労働省に認められて医療機器として認められた経緯が実はとんでもない論文がもとになっていることはブログでお伝えしました。たった一つの驚きの論文がもとになって世界中を駆け巡ることもありますので、とにかく元ネタを探すことはネット社会においてはインチキにダマされないためにも絶対的に必要な基礎的力の一つなのではないでしょうか?

この論文は2003年に投稿されましたがその後、検討を加えられ追加の試験やこの理論を補強するような論文が見当たらなかったのは私の調査力が至らなかった為なのか、眼科の世界では定説とされているのかは謎です。少なくとも環境庁が出している「紫外線環境保健マニュアル」にはこの話は載っていませんでした。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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