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乳酸菌が100億個❗ところでどうやって数えてんだ??

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実は乳酸菌っていう医学用語は無いんです。

エッ⁉っと思われたかもしれませんね。大腸菌とか黄色ブドウ球菌とかバイキンは必ず固有名詞が決まっているのに乳酸菌は違うのです。

じゃあ、乳酸菌ってテレビでも雑誌でも大企業から弱小のサプリメーカーまでが使ってるのはウソ?、、、いえ、そういうワケではございません。乳酸菌と呼ばれるバイキンが食品類や腸管に入り込むことによって、「乳酸」を作り出す細菌類を「乳酸菌」と称しているのです。

よって善玉と称される腸内細菌が多いと健康的な排便ができることに間違いはありませんし、女性の場合は陰部周辺を乳酸菌が悪い細菌から守ってくれていることも間違いありません。

乳酸菌は体に良いのは間違い無いと思います

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乳酸菌を含んだ健康食品で「コップ一杯で乳酸菌が100億個❗」とか「このサプリ1錠に乳酸菌が10億個も❗」的な表現はインフォマーシャル(番組風のCM)で、オバさま方のの「あああー」「えーーー」と言う声がチョッとウザい通販番組でよく使われるています。乳酸菌が100億個って、いったいぜんたいドンだけ凄いのかを、私のホントウの専門である泌尿器科領域で女性が罹りやすい「膀胱炎」と比較して検討して参ります⋯お食事中の方にはご迷惑をおかけします。

腸はもともとバイキンがイッパイいます、でも膀胱は無菌状態なんですよ

まずは細菌の数え方から始めます。コップ一杯に入っている乳酸菌を100億数えるのは時間の浪費です。細菌類の数の多さ、少なさを考える場合の基準としてColony Forming Unit(CFU) という単位を使用します。

1ml、あるいは1g中にどんだけ細菌が入っているのか?

を表すので、当然このCFUが多ければ多いほど善玉であれ、悪玉であり(この表現もホントウの医学用語ではありません)細菌がイッパイ入っているということになります。

コップ一杯を200mlと考えると100億個の乳酸菌を含む健康食品は2億CFU/g (ml) ということになります。二億を数字でかくと200000000CFU/g (ml) と長ったらしくなりますから、理系では2×10の8乗という表現を使います。もしもこの乳酸菌が腸管内で増殖し続ければ倍々ゲームでお腹イッパイの善玉菌が腸を占有してしまいますね。

残念ながら多くの乳酸菌は胃酸によって死んでしまいますので、如何に生きたままの乳酸菌を腸管に届けるのか?とういうことが乳製品メーカーやサプリメント業者の重要案件となっています。現在では理系のオジさん達にたゆまぬ努力の結果、乳酸菌を腸まで届かせる技術や細菌の開発が成功しています。

一方、女性に多い膀胱炎について検討します。膀胱炎はスクリーニング検査でマイナスでも、オシッコを培養すると原因菌が発見されることがある、敏感な方は「痛い」「残尿感がある」と訴える病気です。軽い症状の場合は飲水を増やして洗い流す的な方法で症状が治まります。でも、ちょっと排尿を我慢すると相手は細菌ですから倍々ゲームで増えてしまって、抗生物質(今では抗菌剤という呼び方をする場合が多くなっています)のお世話にならないと治すことができなくなります。細菌性膀胱炎の定義は

病原菌≧10の5乗CFU/g (ml)

の場合を細菌尿としていますので、100000CFU/g (ml) VS 200000000CFU/g (ml) となり、乳酸菌がメチャクチャ多いってことが理解できます。

乳酸菌をわざわざ100億個を数えるわけではありません❗

細菌の数をイチイチ数えていると時間が掛かって仕方がありませんので、理系のオジさん達は実際は膀胱炎の場合は1000倍に薄めた尿を顕微鏡で覗いて1視野に1つ細菌が見えたら病原菌≧10の5乗CFU/g (ml) 、と認定しています。ということは200億個の乳酸菌をカウントする場合は同じ方法を用いたとしたら、1視野に20万個も乳酸菌が見えてしまいますので多分他の方法でカウントしてることが予想されます。乳製品メーカーやサプリメーカーのお客様相談室に電話をして、乳酸菌の数え方を尋ねようと思いましたが、クレーマーとして認識される可能性と「そんなのググれよ❗」との受ける可能性がありますので、ググりました。具体的なカウントの仕方は膀胱炎の判定と同様に薄める方法と
カウント専用の検査機器を使用するらしいのですけど、大問題が発生しました❗なんと乳酸菌のカウントの仕方は

生きている乳酸菌も死んでいる乳酸菌も同時に数えていた❗

という驚愕の事実が判明したのです。つまり、腸内で増殖することが全く期待できない死んだ乳酸菌も数に入っている可能性が大なんです。

「ヤクルト400」は乳酸菌であるシロタ株を1本(80ml)あたり400億個含んでいるんで、5億CFU/g (ml) ってことになりますので、コップ一杯で200億個の乳酸菌❗よりはカウントするのに時間がかからないでしょうし、「生きたまま腸内に到達」が売りですから、死んだ乳酸菌と死んだ乳酸菌をどのように選別してカウントしているのかを尋ねようと思っています(今日は日曜日なので明日以降の宿題とします)。

あっ、そうだ、私は医師なんで乳酸菌の代表選手であるビフィズス菌を含む「ラックビー」を作っている製薬メーカーの学術部門に聞けばいいんだ❗MRさん、明日電話しますんで、宜しくお願いしますね。

2014年10月29日 追記 その後、乳酸菌が1000億個ってとんでもない数の広告を発見しました。誤字脱字を訂正しつつ追記とさせていただきます。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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