スカイツリーからの電磁波が「不妊症」や「がん」の原因⁉東京の酸素濃度は13パーセント??

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医学が進歩しても、人間の脳についてはまだまだわからないことだらけ。そんな脳の不思議な作用や仕組みをマスメディアで面白おかしく教えてくれる人たちは「脳科学者」と呼ばれています。

初めて脳科学者という名称を知ったのは、苫米地英人さんがディスカバリーチャンネルのCMに出ていて、「脳科学者」と紹介されていた時だと記憶しています(茂木健一郎さんの方が先だったか?)。てっきり脳外科あるいは神経科の医師だと思っていました。

脳科学者が唱える電磁波の恐怖⁉

脳科学者という名称の方が結構いい調子でトンデモ系の本などを出版していたり、脳の不思議をテキトーにテレビで紹介しています。医師じゃないから脳のことを語るな、という考えは一切ありません。逆にいえば医師である山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞した方が不思議であり、生命の神秘などについては生化学や理学系の研究者の方が優れた業績を持っています。「IH調理器がヤバイ」という与太話に対する考察をブログで書いたときに、苫米地氏の著作も参考にさせていただきました。今、改めて読み直すと脳科学者苫米地さん、恐るべし❗です。

東京スカイツリーは原子力発電所より危険❗

という論調で著作をお書きになっています。「あなたは常識に洗脳されている」(出版 大和書房)は2010年に出版された苫米地さんの本なので、2011年3月11日以降の福島原発事故を経験した私たちとしては、スカイツリーによる健康被害に十分注意を払わないといけませんね。

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https://asp.hotel-story.ne.jpより

スカイツリー周辺にがんが多発??

苫米地さんによれば、スカイツリーからは強力な電磁波が発生するために、不妊症やうつ病、そしておきまりの「がん」が増えるそうです。

高圧線の近隣の住民に白血病やがんにかかってしまう方が多いのではないか、という疫学調査があり(データの処理方法等について問題点多数)、「電磁波が病気の原因となる」という考え方は100パーセント否定はできません。携帯電話やIH調理器の電磁波(本来なら電磁界と呼ぶのが正解だと考えます)が健康に直接悪影響を及ぼすとは考えません。スマホの長時間使用による睡眠不足・睡眠障害とか、眼睛疲労が原因となる健康被害は大いにあります。

でも幾ら何でもスカイツリーから発生する電磁波(電磁界)ががんや不妊症の原因となっているとは⋯普通は考えませんので、「常識に洗脳されている」可能性もあるので苫米地さんの主張を整理してみます。

うつ病増加⋯原因は酸素濃度の減少と電磁波の増加??

私の読解力不足かもしれませんけど、この本ではうつ病が増加した原因として東京の酸素濃度が減少していること、携帯電話(2010年当時なのでスマホではなくガラケー)の電磁波の影響をあげています。うつ病を訴える人が増加していることは間違いありません。その大きな原因の一つとして、うつ病によって自殺者が増えているために、早期発見が抑制効果があると考えた行政が大々的に広報活動したことが理由と考えられます(これも常識に洗脳されている、って言われたらどうしようもないけど)。

うつ病増加 厚労省_-_Google_検索
みんなのメンタルヘルスより

陰謀論者が喜びそうな話ですけど、うつ病の治療薬が大手製薬メーカーによって次々に開発されたことも、少なからずうつ病患者さんを増やしたことは否定できませんけどね。一方、酸素濃度ってそんなに減少しているんでしょうか?産業革命以降CO2が増加して、それによって地球温暖化が進んでいると考えらえています(これを否定する人もいますけど)。二酸化炭素と酸素は密接な関係があるので、CO2が増えたなら02が減る、という理屈は理解できます。でも、

東京都内の酸素濃度は、13%くらいしかない可能性さえあります

ってどこからのデータなんだ??通常の空気中の酸素濃度は21%前後です。確かに産業革命以前は24%以上あったという説もありますので、酸素が減少に向かっているという話は理解できるのですけど、いくらなんでも13%じゃあ東京に住んでいる人は慢性的に酸欠状態ってことになります。

常識的な医学では大気中の酸素濃度が13%近くになってそれを吸い込むと、通常の生活を送ることは無理で、這って歩くのがやっと、下手すりゃ酸欠で死亡あるいは脳に障害を残すのですけどね。

常識に洗脳されている、というタイトルの凄さ❗

スカイツリーから発せられる電磁波がどう考えてもがんや不妊症、そしてうつ病の直接的な原因と考えることができなくても「それは常識に洗脳されているからだよ!」と言われると、反論できなくなってしまいます。

都心の酸素濃度が13%に減少しているなんて、医学的常識に考えられないと言っても「それは常識に洗脳されているから」で済まされてしまいます。

苫米地さんはそんな理論を振りかざす一方で入念に著作では予防線をはっているのです。文章中に「可能性さえあります」「あるかもしれませんが」「いわれています」という表現を使っていて、言い切ることはしていないのです、恐るべし脳科学者の知恵❗

この本はこんな考え方もあるんだよね、と著者がつぶやいていると解釈して読むべきものだったようです。「スカイツリーは原発より危険」という今では虚しい主張をされた脳科学者さんでした。でも、ここは「常識に洗脳されないで」スカイツリーの危険性を再認識しないといけないんだろうな、と堂々巡りの世界に突入してしまうのです。笑

追記 苫米地英人さんの肩書きは公式サイトによると「認知科学者(機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学)」となっておりました。現在はビジネス本・自己啓発本を中心にお書きになっています。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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