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今年のインフルエンザワクチン不足の原因は何?どうして不足するの?

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10月1日から区が補助している高齢者のインフルエンザワクチン予防接種が開始しました。そのインフルエンザワクチンが昨年に続き、今年もいきなり不足しています❗

去年に続き、インフルエンザワクチンが不足している今年の本当の理由は何?

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日本赤十字社 古河赤十字病院サイトより

昨年、インフルエンザワクチンの配給が滞っていた理由はワクチン製造会社にトラブルが発生して、規格を合格することができなくワクチンを供給できなかったことが理由として、少々のタイムラグで知ることができました。

今年のインフルエンザワクチン不足の本当の理由は何なのでしょうか?10月初旬にインフルエンザの予防接種をした老婦人の不気味な一言が気になります

今年のインフルエンザの予防接種は2回受けなきゃいけないんですよね〜❗

成人の場合は一回で十分と判断されている予防接種ですが、その方にその理由を尋ねると、ある一定の層の方の間でインフルエンザワクチンは今年は2回受けなければ効果なし、との都市伝説が流布しているようです。

インフルエンザワクチンは2回打たなきゃ効果が無い説の発生源はテレビの情報バラエティ

テレビ番組でどっかの医師が10月にワクチン接種をしてもワクチンの効果が期待できる期間は4ー5ヶ月であり、春先のインフルエンザの流行時期には予防効果が無くなっている、という話をしたようです。そこからワクチンは2回打たなきゃ効果なし、という世間を混乱に巻き込む説が高齢者(多分、その時間にその情報バラエティ番組を観る時間を確保できる層)に拡散していることがうかがわれました。

昨年のインフルエンザワクチン不足の原因はこれだけど、今年のワクチン不足の原因は不明です

昨年2017年の季節性インフルエンザ向けのワクチンが初っ端から不足しました。その原因としてインフルエンザワクチンの製造に不可欠な「株」の決定が遅れたために、ワクチン製造自体のスタートが遅れた、とのことでした。

インフルエンザワクチンは世界中の流行の動向を伺いながら、その年のワクチンが狙うインフルエンウイルスの遺伝子の違い(これを株という)に対応できるように製造されています。今年はどんな遺伝子型のインフルエンザが流行するかの判断が遅れたために、ワクチン製造が遅れワクチン不足を招いたことの納得のいく説明です。さらに狙いを定めたインフルエンザワクチンのある株(A/埼玉/103/2014)が思うように増殖しないで、ワクチン製造に追いつかなくなったのです。

これじゃ今年のワクチン接種時期に間に合わないと判断され、大急ぎで別のA/香港/4801/2014(X-263) 株を含むワクチンを作り直しました。これじゃあ、インフルエンザワクチンの製造は遅れに遅れ、供給不足になるのも当然ですね。

一方で今年はインフルエンザワクチンの不足は無いはずなのですが⋯厚生労働省の通達を見てみましょう。

今冬のインフルエンザシーズンのワクチンの製造予定量は、平成 30 年8月 31日時点で、約 2,650 万本(1mL を1本に換算)の見込み(別添1参照)であり、10 月当初の供給可能量(例年並みの約1千万本)(別添2参照)、近年の使用量等から、ワクチンを適切に使用すれば、不足は生じない状況と考えられる。

https://www.mhlw.go.jp/content/000352485.pdf

となっています。

厚生労働省は今年のインフルエンザワクチンは不足しない❗と言っているのに現実は不足している❗

なんでこんなことがおきているのでしょうか?ある方のブログでこんなことが書かれていました。

原則1回と言われたインフルエンザの予防接種

間下このみさんのアメブロ

この説明で納得するママっているんでしょうか?

インフルエンザワクチン不足だから小さな子どもは原則接種は1回⁉

ってことですよね。じゃあ、今まで13才以下は2回予防接種を受けて下さいと言われていたインフルエンザワクチンはなんだったんだ?と多くの方が思ったのではないでしょうか?

今年のインフルエンザワクチン不足の原因はこれ⁉

厚生労働省はインフルエンザワクチンの供給は例年通りで不足することは無いよ、と述べています。でも明らかに11月に入っても希望者の量を確保できている医療機関は少ないと思われます。なんでそんなことになっているかというと、ひょっとしてどっかの医療機関が江戸時代の悪徳商人のように買い占めしているの??なんて話をする患者さんもいます。医師の中にも変なやつはある一定数の割合で混じりこんでいるので、そんなことがあったとしたら薬問屋さんが供給を制限しそうなものです。

ここからはあくまで予想

どっかの医師がTV番組で二回接種を推奨した(?)為に、今シーズンは早めにワクチンを打つ人が増えた

9月に季節性インフルエンザが流行したことが報道され、なかには学級閉鎖もあったので、早めに多くの人が接種を希望している(実は毎年8-9月にそれなりにインフルエンザは流行るんですけどねえ)

本年は麻しん、そして風疹が大流行している状況を受けて多くの人がワクチン接種の重要性に気づいた

などなどが考えられます。

当院も本年はやむなくインフルエンザワクチン接種は予約制としました

当院の近隣には小児科があるために、インフルエンザワクチンを接種する方のほとんどは高齢者であり、今までワクチンが極端に不足するような事態は経験していません。しかし、今年は初っ端からワクチン不足に悩まされ今までは行っていなかった予防接種の予約制を採用せざる得ません

当院における一般の方のインフルエンザワクチン接種はたぶん高額、その理由として自治体が高齢者のワクチン接種に対して医療機関に支払われる金額を基準としています。そのために一般の方がワクチン接種を希望されるときは「うちは高いですよ、近所の内科で打つことをおすすめします」と周囲の開業医さんとのバランスを考えた気配りをしてまいりました。

そのために当院でインフルエンザワクチンのシーズン中の総接種数はかなり少ないはずなのに⋯やっぱり今年はインフルエンザワクチン不足。

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インフルエンザワクチンご予約をお願いします。

不本意ながらこんな掲示をさせていただいています。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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