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危険行為??「炭水化物抜き」批判を批判する・・・意味不明な女性向け美容・健康記事

過度の炭水化物抜きダイエットの危険性を警告する女性向け情報サイト

美レンジャーという女性向けの情報サイトがあります。時々というかかなりの頻度で???と思う記事が掲載されています。

糖質制限・低炭水化物ダイエットは血糖値・体重減少に効果はあるけど、死亡リスクは逆に高めるかもしれない、というのが現時点での医学論文ベースの結果になっています。糖質制限、低炭水化物ダイエットに対して「危険!!」として批判すればそれなりに話題性は高まるでしょう。

美レンジャー___もはや危険行為!実は太るし生理痛も…「炭水化物抜き」5つの危険_-_美レンジャー
下記「美レンジャー」より

しかし、今回、見つけた記事はあまりにも内容がテキトー過ぎる、というか意味不明なので「炭水化物抜き」を批判する記事を批判します。批判の対象とする記事は美レンジャーの『もはや危険行為!実は太るし生理痛も…「炭水化物抜き」5つの危険』です。

女性に人気のあるサイトの記事を批判することは、やっと女性ファンが増えた私自身にかなりマイナスです。でも、間違っていることは明らかなので。医療関係者以外の勘違いは、批判の対象としないことを基本的なポリシーとしてきましています。今回取り上げる記事の著者はパーソナルトレーナーであり、食生活の指導も行っているようなので、内容の正確さを検証してみます。またサイトの管理は小学館ですから、弱いものイジメではないと判断します。

炭水化物を抜くと生理不順や生理痛の原因になる??

初っ端から勘違いしています、著者は。「脳や神経は、特別な場合を除き、炭水化物が分解してできるブドウ糖しかエネルギー源として利用できません。」と書かれています。特別な場合ってなんだろう?

それより、脳が果たして炭水化物由来のブドウ糖しかエネルギー源として利用できない、という話は本当でしょうか?脳は脂肪酸を代謝してケトン体をつくって、そのケトン体が脳のエネルギーになる、ということは生化学の教科書には書かれているはずです。純粋なエネルギー源であるグルコースの代替エネルギーとして、脳の活動を維持します。ですから、内分泌系に悪影響を与えて、生理不順や生理痛の原因になる可能性は医学的に因果関係は無い、と考えます。
多分、このケトン体の働きをご存じないようで、炭水化物を抜くと記憶力が落ちる現象を「物忘れ、集中できなくなる」として書かれています。人の名前が出てこない、物事を覚えにくくなる、というメカニズムは糖質制限とは関係ないです。糖質を制限することによって「ケトーシス」状態にはなりますが、重症の「ケトアシドーシス」状態が長く続くことはありません・・・生理不順になる前に死んじゃいます。

糖質制限はうつ病になる??

美レンジャーの記事では「低血糖症になりやすく、うつ病のような症状や糖尿病などに発展するケースもあります 」と記されています。糖質制限ダイエット・低炭水化物ダイエットを行なっている方は「うつ病のような症状」になるんですか?低血糖=うつ病のような症状、と解釈できますが、うつ病の改善に高血糖食が効果的、なんて話聞いたことないのですけど。

血糖値が急激に落ちて、またマイナス思考に」とも記されています。プラス思考、マイナス思考の判断基準はなんて、小難しいことを言わないでも、炭水化物を控えていて、食事をすると急激に血糖値が下がるメカニズムが不明です。血糖値を下げるにはインスリンが重要な働きをします。炭水化物・糖質を制限してもインスリンの感受性には影響がないことが判っているんです、今の所(「Effects of High vs Low Glycemic Index of Dietary Carbohydrate on Cardiovascular Disease Risk Factors and Insulin Sensitivity」JAMA. 2014;312(23):2531-2541. )。

この記事をみてうつ病を改善するために、糖質を含む食品をバンバン食べちゃう人がでないことを祈ります。

炭水化物抜きだと逆に太りやすくなる??

一般的にダイエットして、少しでも油断すると「リバウンド」と言う問題が発生します。美レンジャー中の記事によれば「太りやすくなる」、その理由として

副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌され始めます。そして、筋肉を分解し、エネルギー源にする反応を起こします。筋肉が分解されると代謝が悪くなり、逆に脂肪がつきやすくなり、太りやすくなります。

前述『美レンジャー もはや危険行為!実は太るし生理痛も…「炭水化物抜き」5つの危険』より

とあります。これは全く解釈不能です。まず、何の代謝が悪くなるんでしょうか???基礎代謝率が落ちるために、太りやすくなるのか、このような健康記事特有の老廃物の代謝(デトックス?)が落ちるのでしょうか?例えば医師国家試験で

血糖を増加させないのはどれか
1:サイロキシン
2:パラソルモン
3:アドレナリン
4:コルチゾール
正解
1:○代謝促進の一環として、糖代謝も促進させ、血糖を増加させる
2:×パラソルモン(副甲状腺ホルモン・PTH)は、血中Ca2+濃度を上昇させる
3:○肝臓でのグリコーゲン分解により、血糖を増加させる
4:○糖質コルチコイド(コルチゾールなど)は、特に、糖代謝を促進させ、血糖を増加させる

という問題がでることが予想されています(国試を極める!より)。コルチゾールは糖代謝を促進するので、血糖値は上がりますけど、「糖代謝」は促進させます。ここで使われている「代謝」という言葉は医学的な生理的・生化学的な代謝のことでは無いようです。極端なダイエットはどのような方法でも「基礎代謝」は落ちます・・・これは人類が飢餓に対応するために、獲得した生理機能です。

たぶん「代謝が悪くなり」という表現は基礎代謝あるいは、老廃物の代謝をこの記事では指している可能性が大です。健康情報で多用される「代謝が悪くなる」という表現、かなり気をつけないといけません。

低炭水化物ダイエットは老化を早める??

美レンジャーの記事では低炭水化物ダイエットだと「早く老ける」となっています。炭水化物に含まれる繊維質が足りないと腸内環境が乱れて、悪玉菌が増えるので老化しにくい、というロジックです。腸内細菌の状態が健康面に大きな影響を与えていることは間違い無い、と現時点で判断はできます。世界中の研究者が腸内細菌叢・腸内フローラについて日夜追求を行なっています。

最近も「NHKスペシャル 腸内フローラ 解明!驚異の細菌パワー」という番組が放送されました。これにインスパイアされて、腸内細菌の乱れ=悪玉菌増加=老化が早まる、という解釈をされたんでしょう、多分著者は。ブルガリアでヨーグルトが多く食べられていて、そこの住民が長寿であった、という話から腸内細菌の善玉菌が長寿に繋がる、という説の始まりです。

実はブルガリア人の平均寿命って世界銀行のデータによれば74歳程度であって、日本人の平均寿命より明らかに短いんですけど(医療水準の問題が大きく影響している、と普通は考えられています)。

Life_expectancy_at_birth__total__years____Data___Graph
http://data.worldbank.org/より

なにも美レンジャーという一般向けの健康情報サイトに対して、批判をする必要もないという大人の解釈もあります。しかし、今回の記事はあまりにも杜撰すぎやしませんか?

せめてご自分の考えを医学的裏付けがある風な記事にする場合は、その理論を公表している引用先あるいは元ネタを記載するべきです(論文である必要はありません)。医学についてはAという意見があれば、反Aという意見が必ずでます。情報を発信するのであれば、興味をもった読者が情報源を確認しやすい記事にしてくださいませ。


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