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ヘンテコな新型コロナ感染症対策分科会メンバーの意見、それを持ち上げるメディア。

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ご存知のとおり、新型コロナ感染症対策における検査方法については、意見が真っ二つです。

とにかく対象を拡げるべきという拡大派と、対象をある程度絞って検査をするべきでとの慎重派・抑制派による議論がメディアで取り上げられています。

この度、政府が医療や経済や法律の専門家によって構成される新型コロナ感染症対策分科会を立ち上げました。しかし、メンバーの中にはヘンテコなご意見の持ち主がいます。そのヘンテコな意見を取り上げるメディアもあるため、新型コロナ感染症禍対策はさらに混乱してしまうのではないでしょうか?

何度でも繰り返します、むやみに検査をしまくることは意味が無いです。

新型コロナ感染の検査のやり方・方針に関して世論が二分されています。とにかく検査をやりまくれ❗と推進する検査拡大派、そして検査乱発のリスクと無意味さを訴える検査抑制派です。

検査拡大派の主張で必ず出してくる「ニューヨークでは⋯」「韓国では⋯」というフレーズ。日本以外の各国はPCRを数多く行うことによって、新型コロナの感染拡大抑制に成功している、というものです。少し前までは、2週間後には日本もニューヨークみたいになる、と危機を煽りまくっていたのにね。反対に、検査抑制派の考え方はPCRはあくまで診断するための検査であり、PCRは治療ではないし致死率を減少させるわけではないというものです。

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https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200717/k10012519701000.html

尾身茂先生もヘンテコな人が新型コロナ感染症対策分科会メンバーに紛れ込んで、間違った考えを拡げるメディアにはほとほとお困りだとお察しします。

最近になって、PCRの偽陽性が人権侵害に繋がるためにPCR検査を厚生労働省が意図的に抑制しているのである的な意見があります。よりによって、政府の新型コロナ感染症分科会のメンバーでさえ、日本ではPCR検査の少なさは偽陽性問題を恐れる一派の圧力である、との非論理的な思考に至っていることは大問題だと考えます。

【モーニングショー】検査拡大阻止の理由は、「人権問題になるから」は大間違い❗

【モーニングショー】検査拡大阻止の理由は、「人権問題になるから」は大間違い❗

テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」は検査拡大推進派の急先鋒です。検査を抑制しているのは、偽陽性者を隔離することが、人権問題となり裁判になることを恐れている厚生労働省の陰謀である、とモーニングショーは考えています。むやみやたらな検査を行うことに、まっとうな医師が批判的な、どなたでも分かるようにお伝えします。

私は医師ですが、感染症の専門家でもありません。医療統計学や公衆衛生のプロでもありません。でも、医学を専門とするものでなくても、紙と鉛筆と電卓を用意すれば分かる明らかにヘンテコなロジックが、検査拡大派の中で唱えられていて気になってしかたないのです。

多数のPCR検査を行ったら陽性はゼロ、だから偽陽性はいない?

新型コロナ感染症分科会のメンバーである経済学者小林慶一郎氏を高木徹 NHKグローバルメディアサービス国際番組部チーフ・プロデューサーがインタビューした記事でかなり気になる点がありました。

Jリーグの発表では3000人以上の選手や関係者のPCR検査をすでに2回行い、いずれも陽性者は1人も出ていない。つまりのべ6000人以上の結果である。プロ野球でも選手や監督、コーチ、球団スタッフ、審判員2000人以上をPCR検査し、やはり陽性はゼロ。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/73968?page=4

日頃から検査に関わっている人間はこの場合、PCRの感度を考慮して、見逃してしまった人、つまり感染しているのに陽性と判定できなかった可能性を検討するのですけどね。

あるいは、もともと新型コロナに感染している人は滅多にいない、と解釈しませんか?

しかし、高木氏は多くのPCR検査を行っても陽性判定とされる人がいなかったことを受けて、偽陽性者が出ることは少ないのではないかと考えています。NHKグローバルメディアサービス国際番組部チーフ・プロデューサーがこのレベルで番組を制作していたとしたら大問題です。

高木氏はPCRの特異度(感染していないものを正しく感染していないと判定する割合)を99%と仮定して話を進めています。実際上、PCRはほんの少しのウイルスの遺伝子は数億倍に増幅させることで診断する仕組みであるため、特異度は99%よりかなり高くなることが知られています。例えば既に死んでしまったウイルスの死骸であっても、PCRは敏感に反応します(ウイルスが死ぬ、との言葉は科学的にヘンな表現ですが⋯)。

特異度は感染していないものを正しく感染していないと判定する割合、一方でPCRには感染しているものを正しく感染している割合を示す「感度」があります。世界中の検査結果から確認されているPCRの感度は70%程度です。実際に感染している人が100人いたとしても、PCRの場合、正しく感染していることを判定できるのは70人であり、残りの30人に対しては「感染していない」との結果を出してしまいます。

本当は感染しているのにPCRで陰性判定された人は当然、自分はウイルスをもっていないとの確信をもって今まで通りの生活を送ることになります。これこそ、感染拡大の大きな原因になってしまいます。

そもそも偽陽性であったことを後日証明することは不可能です

小林慶一郎氏のインタビューをもとに構成されたワイドショーがありました。そこに登場するヘンテコかつ取り憑かれたように検査拡大を新型コロナ感染症禍初期から涙目になって訴えていた医師ではない女性がいます。

テレビ出まくりのその女性は効果が不確かな、ひょっとして感染予防効果があるかもしれないとされたアビガンを「早く医療従事者全員に配布するべき」との珍妙な訴えをお茶の間の皆さんにご開陳しました。

アビガン、アビガンと有効性が明確になっていない薬を押しまくるモーニングショー。

アビガン、アビガンと有効性が明確になっていない薬を押しまくるモーニングショー。

抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)が新型コロナウイルス治療薬として期待できるとメディアを賑わせていますが、懐疑的な見方をする専門家も多数です。午前中のワイドショーではぶっちぎりの視聴率を誇る番組におけるアビガン推しに対して、医師として疑問に思う点をあげておきますね。

このヘンテコな女性は人権侵害になる可能性がある偽陽性問題に関して、またもや珍妙なご意見を述べていました。

偽陽性と判明して国が訴えられたら裁判で負けるから、PCRは官僚等によって抑制されている、との主旨の発言は明らかにヘンテコです。

なぜなら、後になって偽陽性であったことが明確になるのであれば、そもそも偽陽性者が出てしまうことを防げるのでは無いでしょうか?どのような方法をつかって後になって、PCR検査で自分は本当は感染していないのに陽性と判定されたことを証明するのか?自称ウイルスの専門家であるコメンテーターはご提示くださいませ。

なーんも分かっていない専門家と称する人々が混乱を招く

小林慶一郎氏は経済の専門家だから、感染症問題に意見を述べるな、なんてことは一切思っていません。医療を優先させれば経済が停滞し、経済を優先させれば感染拡大してしまう、この難問ついては医療の専門家だけでは解決は不可能であることは明らかです。

小林慶一郎氏はご自分で紙と鉛筆と電卓を用意して、検査の感度と得意度の定義を把握してから、偽陽性問題を考えていただきたいと思います。ウイルスの専門家と自称しているテレビ出まくりの女性は次のようなヘンテコなことを言っています。

偽陽性問題は防ぐためには数日後に再度PCRを行えば良い⋯これは一見もっともらしい偽陽性防止策のように受け止めた視聴者も多いかと思われます。このご意見は実際に紙と鉛筆と電卓を用意して熟考したものとは言えません。以前、同じテレビ番組で、PCRは感度が高くないことをカバーするためには検査を繰り返せば良い、とかなりヘンテコなご意見を披露したコメンテーターがいました。

新型コロナウイルスPCR検査は感度だけじゃなく、特異度も考えないとダメ

新型コロナウイルスPCR検査は感度だけじゃなく、特異度も考えないとダメ

PCR検査をすれば良い、とは限らないというのが医師としての見解です。検査に関してお伝えしいのは感度だけでなく特異度をしっかり考慮する必要性です。特異度を無視した検査の繰り返しは医療崩壊を引き起こす可能性が高いのです。その点について詳しく解説いたします。

なぜなら、検査を繰り返せば偽陽性が減ったとしても、今度は確率的に偽陰性と判定される人も出てきてしまいます。

検査拡大派の方々は抗原検査やCT検査という他の診断方法をご存じないのかな⋯。

かなり偏った考え方に支配されている人が新型コロナ感染症対策分科会メンバーに入っていること、そして半可通の自称専門家やじっくり物事を考えているとは思えないコメンテーターが日本の新型コロナ感染症対策を混乱に陥れているのではないでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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