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マスクを外すと気になる「鼻毛問題」。鼻毛は身体防衛機能に本当に役立っているのか?

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マスクから解放されて、多くの人が気づくであろうトラブルの一つが「鼻毛」。ヘンテコな生活様式では人と会うことも少なかったでしょうけど、マスクを取ってしまう機会が増えると間違いなくご自身のボーボーに伸びた「鼻毛」が気になるんじゃないでしょうか?

そもそも鼻毛はなぜあるのか?

一般的に鼻毛の人体に対する機能としては、

  • ホコリなどが体内に侵入することを防ぐフィルター機能
  • 鼻腔内の湿度を一定にして乾燥を防ぐ

などの説明がされています。じゃあ、なぜ人々はせっかく人体の防衛機能の役目を果たしている「鼻毛」をカットしたり抜いたりするんでしょうか?人類の長い歴史によって作り上げられた仕組みを破壊してしまうのでしょうか?

そもそも本当に鼻毛は人体を守る機能があるのか、この辺りについて興味深い医学論文を見つけました。

鼻毛が減ると喘息発作の頻度が増加する

トルコの研究者たちは「Does Nasal Hair (Vibrissae) Density Affect the Risk of Developing Asthma in Patients with Seasonal Rhinitis?」(Int Arch Allergy Immunol. 2011;156(1):75-80. )との論文をInternational Archives of Allergy and Immunologyに投稿しています。

  • 対象は233人(どのようにして選ばれたのか詳細は不明)
  • 鼻毛の量(長さではない)によって3つのグループに分けた
  • 233人中喘息と診断された人は75人
  • 喘息の75人中鼻毛の密度は鼻毛密度高いが16.7パーセント、鼻毛密度中が26.2パーセント、鼻毛密度低いが44.7パーセント
  • 結論:鼻毛の密度が低いほど喘息になりやすい

鼻毛は少なくとも喘息発作を持病とする人たちにとっては生体防衛機能を果たしているようです(まあ、論文の要旨のみを読む限りではツッコミどころも無きにしも非ずだけどね)。

そもそも鼻毛はなぜ鼻の外に飛び出すのか?

鼻毛が生体をほこりや花粉などから守る働きがあるのなら、鼻の穴の中にびっしりと密生していればいいわけで、マスクを外した時に気になるであろう「鼻毛飛び出し問題」は発生しませんよね。

一方で髪の毛は放置すればどんどこ長くなるのに、鼻毛が三つ編みを編めるくらい長くなっている人を私は見かけたことはありません。

鼻毛にしろ眉毛にしろ耳毛にしろ、一般的にはムダ毛とされている陰毛や脇毛も毛周期というものによって毛が生え変わるようにコントロールされています。

なぜ毛周期があるのか?これまた不思議な現象なんですが、老化すると毛周期も乱れるためか、体毛全体は薄くなるけど、眉毛や耳毛がボーボーになっている高齢者を見かけることは珍しくはないようです。

体毛は女性ホルモンより男性ホルモンの影響を受けやすいため、男性の方が鼻毛も女性よりは長く密生する傾向があるのかもにしれませんね。

って、ことは女性ホルモンが減少してしまう高齢の女性は鼻毛も伸び放題になって、喘息はもちろんのこと風邪もひかないようになることを裏付けるクオリティの高い医学論文は見当たらないけどなあ・・・。

正しい鼻毛の処置方法

マスクから解放されて伸び放題になった鼻毛に気がついた老若男女の多くは鼻毛を抜くか切るかすると思われます。

鼻毛を抜くことは鼻前庭炎、つまり鼻の入り口付近の炎症のリスクファクターであることが、「 Nasal vestibulitis: etiology, risk factors, and clinical characteristics: A retrospective study of 118 cases」(Diagn Microbiol Infect Dis . 2017 Oct;89(2):131-134. )によって明らかにされています。

脱毛といえばレーザー脱毛が思い浮かびますよね。以前、当院の美容部門でもレーザー脱毛を行なっていたのですが(エステやめちゃ格安脱毛クリニックの出現により今はほとんど行なっていません)、鼻毛の処置を希望する方もいなかったわけじゃないけど、99.99%の方がレーザー脱毛の熱刺激によって途中で断念していたと記憶しています。

鼻毛専用除毛クリーム

米国のAmazonより

鼻毛ブラジリアンワックスはTV番組でも度々登場していますね。海外でも、除毛クリームと思われる鼻毛専用のワックスが販売されているようですが、効果・効能および副作用に関しては危なっかしい気もします。なぜなら、先日消費者庁は「若者の除毛剤による皮膚障害に注意! 」との見出しで除毛剤による皮膚障害やその商品の販売方法に警告を発しています。

除毛クリームによる脱毛は危険

消費者庁ウェブサイトPDFより

そこには「顔面には使用しないでください」とも付記されています。鼻の穴が顔面に含まれるかについては議論の余地があるかもしれないけどね。

飛び出した鼻毛の正しい処置方法・処理方法としては地道に小さめのハサミでカットするのが良いようですが、老眼である私としてはかなり厳しい難易度の高い作業のように思われます。

鼻毛を隠すためにマスクをしている人は、まず居ないと思われれますが鼻毛がほこりやアレルゲンや微生物から身体を守ってくれるのであれば、マスクなど必要ないじゃん、との考えも派生してくるからかなり面倒な鼻毛問題とも言えるんじゃないでしょうか(笑)。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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