「接種者保護」ってつまり何だったの? 〜トンデモ発言をトンデモバスター医師が全力解読してみた〜

更新日:

私は昔から、ある言葉や表現が気になると、それがずっと頭の中に引っかかってしまう性格でして──言い換えれば、「気になることがあると、それを自分なりに言語化しないと気が済まない」悪い癖があるんです。

だから、以下に書くような内容も、別に誰かの揚げ足を取りたいわけではなくて、自分の中で「なんでこの人はこう書いたんだろう?」という違和感を、整理しようとした結果にすぎません。

最近X(旧Twitter)で話題になった、ある候補者のポスト

岩本まなシェディング投稿

https://archive.md/9hxMi

mRNAワクチン政策の見直し、シェディング対策、非接種者保護──これらの法案を本気で国会に出そうとしているのは、医師であり候補者である私、岩本まなだけかもしれません。

2:14 PM · Jul 16, 2025 @mana_iwamoto 𝕏
……いや、いろいろツッコミどころが多すぎて、どこから手をつければいいのやら。 でもまあ、とりあえずこのポストは削除されました。で、出てきた訂正文がこちら。

岩本まな訂正文

https://archive.md/YaTWT

【訂正とお詫び】
文中、「非接種者保護」とありますが、「接種者保護」の誤りです。

Last edited 5:46 AM · Jul 22, 2025 @mana_iwamoto 𝕏

とのこと。ふむ。じゃあ、この訂正文を信じるとして、改めて読み直してみましょうか。

「mRNAワクチン政策の見直し、シェディング対策、接種者保護──」

……うん、やっぱり意味が破綻してる。

そもそも「シェディング対策」って何ですか?

はい、ここがキモです。

「シェディング」という言葉は、反ワク界隈(ワクチンし接種慎重派ではないです)では「ワクチンを打った人から、何か有害なものが“放出”されて、未接種者が被害を受ける」という謎理論としてよく語られています。

当然、科学的根拠はありません。シェディングは都市伝説。そう、信じる者だけが見える幻のオーラみたいなもの。

だからこそ、この文脈で「保護」という言葉が出てくると、私たちが普通に想像する「感染弱者の保護」とは、だいぶ違うイメージが浮かぶわけです。

「接種者保護」って、隔離ですか?

一般的な公衆衛生の文脈で言えば、「接種者保護」とは例えば以下のような話です。

  • 健康面の保護:ワクチンで重症化や感染リスクを減らす。
  • 社会的配慮:接種証明で入場制限の緩和や特典を受けられるケースも(例:ワクチンパスポート)。
  • 法的・倫理的配慮:接種者が差別されず、不利益を受けないようにする考え方。一方で未接種者との扱いの差が問題になることも。

でも、今回の投稿にはそんな医学的文脈は微塵も感じられません。

むしろ文脈はこうです。

  • mRNAワクチンは見直すべき
  • シェディングは起きている
  • だから、接種者から誰かを保護しなければならない

……って、これ「接種者を守る」んじゃなくて「接種者から守る」話では?

だから、最初に「非接種者保護」と書いたのは、実は彼女の“素直な”本音だったのではないかと、つい勘繰ってしまうのです。

訂正文にさらなる謎が追加される

実は訂正文には続きがあります。

岩本まなトンデモ発言

シェディングが起きることは科学的に証明されている事象です

……いや、それ言っちゃう?

どの論文? どの機関? 少なくとも私の知る限り、厚労省もWHOもCDCも、そんな事実は確認していません。というか、シェディングがあるなら、どうしてあなたは「接種者保護」と書き換えたのですか?

もしかして、ワクチンを打った人こそ危険だから「保護」されるべきだと……?

もう、頭の中がぐるぐるです。

削除の理由は「誤記」か、それとも…

あくまで私の推測ですが、「非接種者保護」という表現を見て、党本部反ワク支持幹部から「隔離するなら接種者のほうでしょ!」という反応があったんじゃないでしょうか?

で、それに応じて「誤記」という形で訂正。ポストは削除。なんなら、削除理由は「意味が破綻していたから」と解釈するのが一番自然です。

「誤記」というより、「深く考えてなかった」。

そしてこの「深く考えていない」まま、ワクチン政策を語り、国会に行こうとしている、そして実際の参議院議員として当選しました。

正直、ゾッとします。

まとめ:言葉って、怖い

岩本氏が「非接触者保護」を「接種者保護」と訂正した本当の理由は、私たちにはわかりません。

でも、彼女の過去の言動や反ワク的立場を踏まえると、「科学的な意味での接種者保護」ではなく、何らかの陰謀論的メッセージがそこに込められているのでは?と思ってしまうのも無理はありません。

だからこそ、こうした言葉の“行き違い”を放置してはいけないのです。

「シェディング」や「保護」といった曖昧で誤解を招く用語が、政治の場で使われてしまう時、私たちはいったい何を守り、何を失ってしまうのか──。

最後にあえて軽く言わせてください。

「文章力の無いトンデモさんの文章を、読解力のないトンデモバスターの医師が全力で解読した結果、ますます謎が深まりました」

……でも、だからこそ検証を止めてはいけないんですよね。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

Affiliated Medical Institutions

主な提携医療機関

一般診療
診療日
月・火・水・金
9:30~12:30/15:00~18:30

土 9:30~12:30
休診日
木・日・祝
受付時間
9:00〜12:15/14:30〜18:15

泌尿器科・内科・形成外科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7000

美容診療
診療日
月・火・水・金・土
10:00~18:30

※完全予約制です。ご予約はお電話ください。
休診日
木・日・祝
受付時間
10:00〜18:30

美容外科・美容皮膚科

フリーダイヤルがご利用になれない場合は03-5721-7015

© 2023 医療法人社団 萌隆会 五本木クリニック