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緊張すると、おしっこに行きたくなる理由はこれ❗

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緊張すると尿意を催す、例えばこれから試験が始まるっていう時・面接の直前などに急におしっこに行きたくなる経験した方って多いのではないでしょうか?

緊張すると、なぜオシッコをしたくなるのか?その理由を考えてみます

おしっこが溜まる → 尿意を感じる → おしっこをする

日頃は深く考えていない排尿という自然な行動、それがなぜか緊張するとおしっこに行きたくなっちゃう現象を深く掘り下げてみます。

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日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG180FL0Y1A110C2000000?unlock=1より

尿が溜まって、尿意を感じて、排尿するまでの仕組み

交感神経と副交感神経、これは自律神経とひとくくりにされて、リラックスするのが副交感神経、緊張させるのが交感神経、と考えている人が多いのではないでしょうか?

世の中の風潮として、交感神経が高ぶっているのは健康によくない、副交感神経を高めることが健康のコツである的な説明がされていることが多いです。

しかし、おしっこ関連で考えるとこの話は間違っていることになります。なぜなら、おしっこを膀胱に溜めるためには交感神経が重要な働きをしているからです。

交感神経がゆっるゆるになっていたら、おしっこはジャジャ漏れになってしまいます。

なぜならば、交感神経は膀胱の出口を締め付ける作用があります。つまり交感神経がその逆の働きをする副交感神経より優位になることによって、膀胱から外におしっこが漏れ出ないようにしつつ、膀胱におしっこを溜めています。

試験前などで緊張した時に、尿意を感じてしまう現象を単純に交感神経と副交感神経の働きだけで説明することは不可能なのです。

おしっこが我慢できる仕組み

水分を摂取して、身体中をその水分が駆け巡った後に人体の余分な物質を濾過して必要なくなった物質と水分が一緒になって、おしっことして膀胱に溜まります。膀胱におしっこを溜めている間には、交感神経という神経が働くことによって膀胱の筋肉をリラックスさせて膀胱を膨らませています。

おしっこを外にだす仕組み

一般的に大人の場合は膀胱におしっこを300〜400mL程度溜めることができます。150〜200mL程度おしっこが膀胱に溜まってくると脳へ、「そろそろおしっこを出しましょう」と命令がボチボチでます。

先程説明したように、自分の意思に反しておしっこが出てしまわないように交感神経が活躍することによって、おしっこを我慢できているのです。

ここで話はかなり複雑になりませんか?試験前などの緊張した場面でおしっこがしたくなってしまう現象、緊張することは交感神経が副交感神経より強まることと一般的に解説されています。

緊張したら、逆におしっこは我慢できるのではないでしょうか?

原因はホルモンバランスの乱れ説は間違いだと思われます

以前から気になっていた、緊張とおしっこの関係の説明があります。緊張するとおしっこを濃縮させるホルモンであるバソプレシンの分泌が抑制され、尿の量が増えるのでおしっこがしたくなるとの説明です。

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緊張すると脳の下垂体にも影響がおよび、おしっこと関係する「バソプレシン」というホルモンの分泌が抑制される。このバソプレシンは利尿作用を抑えるはたらきをもっているので、バソプレシンが分泌されないと利尿作用が促進されてしまい、いつもより早く膀胱がおしっこでいっぱいになる、というわけだ。

2019年7月17日 ダ・ヴィンチニュース 「さっき済ませたのに!」緊張するとおしっこに行きたくなる理由/【下半身にまつわるちょっと残念な雑学】

バソプレシンは日内変動といって、1日でも分泌量が変わってきます。

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「ミニリンメルト」尿量を減らす抗利尿ホルモン誘導体です https://find.ferring.co.jp/minirinmelt/aboutmin.php

ダ・ヴィンチニュースの説明のように緊張して交感神経によって脳下垂体から急激にバソプレシンの分泌が現象して尿量が増えるのでしょうか?

バソプレシンの抗利尿作用の継続時間、つまりおしっこの量を少なくする効果は6〜8時間程度、一回緊張して交感神経が優位に働きバソプレシンが分泌されなくなると、6〜8時間もドンドンおしっこが作られ続けてしまうことになっちゃうんだけど⋯。

そもそも、びっくりしたり、恐怖で失禁するにはバゾプレシンの分泌が少なくなるからなの?バソプレシン減少によって尿量が増えるにはかなりの時間がかかるんだけどなあ⋯。

ダ・ヴィンチニュースが取り上げた書籍の著者であるお医者さんにこのあたりのことのレクチャーを受けたいと強くの希望しまーす。

バソプレシンの感受性は男女差があるとされています。いまのところ染色体のなんちゃらって部分の違いで説明されているのですが、これが調べれば調べるほどわけがわからない状況に。ここ数ヶ月、このバソプレシンの感受性に関してドツボにハマっている私の本業は泌尿器科医です。

緊張すると尿意が強くなるのは、脳が勘違いしているからです

排尿のメカニズムはとにかく複雑です。まあ、だからこそ私たち泌尿器科医の存在価値があるんですけどね。話を元にもどしますね。緊張するとおしっこがしたくなる現象、これの主原因は脳にあります。

寒かったり、冷たいものを触ると急におしっこをしたくなることを経験したことがあるんじゃないでしょうか?「寒い」「冷たい」を感じることによって体温が調節されています。この体温を調節する脳の部分と緊張した時に刺激される脳の部分が同じなのです(脳にある視床下部と呼ばれる部分)。

緊張すると視床下部が反応して、心臓がどきどきしたり、血圧が上がったり、なかには食欲が急激にダウンする人もいます。試験前に緊張すると心臓バクバク、頭がカッカする仕組みと同じ様に、おしっこがしたくなってしまうと説明することができます。

視床下部は生物の進化の過程としては、古い脳であり、試験でフル活動を要求されるのは進化の結果として人類が得ることができた新しい脳である大脳皮質前頭前野です。「試験」という緊張によって新しい脳の機能より、古い脳の機能の方が刺激されてしまって、おしっこに行きたくなる現象がおこると考えることができます。

受験生の皆さん、試験前におしっこを済ませておけば、試験時間ごときで膀胱がおしっこでいっぱいになることはありません。大脳皮質前頭野をフルに動かしてくださいね❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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