サウナって脳卒中の原因になりそうだけど⋯逆に予防になるらしい

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烏の行水的な入浴方法が身についてしまっている私ですが、先日ひょんなきっかけで日本温泉気候物理医学会なる学会に入会して以来、温泉三昧の日々を送っています(遊びじゃないよ、医学的研究の一環だよ❗)。

常々気にはなっていたのですが、多くの温泉にサウナが併設されています。温泉はその成分等によって効果・効能が表記されています。それだけで十分に健康増進作用が期待できるのに、なんでわざわざ設備費がかかるサウナを併設しているのだろうと不思議に感じていました。

サウナって血液ドロドロで脳卒中の原因になりそうなんだけど

サウナが健康に良さそうな可能性があることは以前お伝えしました。

サウナは寿命をのばす効果がある❗回数と時間に注意も必要です。

サウナは寿命をのばす効果がある❗回数と時間に注意も必要です。

サウナ発祥の国フィンランドの研究者が、定期的なサウナで長生きできるという発表をしています。とはいえサウナ後の水風呂や食事後のサウナの使用など心血管系への影響を考慮すると注意すべきポイントがありますので、長生きするためのサウナの利用の仕方について考えてみました。

ところがどっこいさらにサウナで脳卒中のリスクが減る❗という医学論文が発表されました❗

サウナには申し訳ないのですが、なんとなーくサウナというと場末のスナック的なイメージを私はなぜか持っていたからです。というのも、サウナって今はそうでもないのでしょうけど、以前は繁華街で多くかけられイメージ的には焼肉をたらふく食べたパンチパーマ界隈のオッサンがビール腹を撫でながら、ウンウンと修行僧のようにサウナのひな壇で胡座をかいて水風呂に直行した後に再び生ビールをゴキュゴキュ風の光景がみられたもんです(いつの時代だよw)。

サウナで脳卒中のリスクが減るという医学論文はこれだよ

ネット上においても雑誌においてもテレビにおいても、目新しい医学健康関連情報を伝える時に一次ソースを表記することは非常に稀です。私が目にしたAFPの記事も「サウナで脳卒中リスク低減か、頻繁に利用で 研究」と報じておきながら元となる米国神経学会の学会誌「Neurology」の論文のタイトルや論文の番号はもちろんのこと、リンクさえありません。

一般の読者の多くはここで脱落して元となった論文を探そうとはしないと思い、余計なお世話でしょうけど元ネタを捜索しました。これがこの記事の元ネタです→「Sauna bathing reduces the risk of stroke in Finnish men and women A prospective cohort study」(Neurology. 2018 May 2) 。このサウナは脳卒中のリスクを減らす論文の内容をざっくり紹介すると

  • 対象は平均年齢63才のフィンランドの男女1628人
  • サウナを利用する回数を聞き取り調査した
  • 対象とした人を15年間フォローアップ
  • 155人が脳卒中になっていた
  • 脳卒中になった人とならなかった人を比較すると週に4ー7回サウナを使用していた人は脳卒中になるリスクが極端に減少していた

以上からサウナは脳卒中の危険性を低下させる可能性あり❗との結論が導き出されています。

でもさー、サウナに入っていて脳卒中になった人の話って聞いたことありますよね〜、これってどうなんでしょう?

画像

http://www.afpbb.com/articles/-/2746670?pid=6054575

本場のフィンランドでもこんなことありましたから⋯。

サウナで倒れた有名人の方々のイメージが強いけど

今の若い人には馴染みがないかも知れませんが、私たちの世代のアイドルであった西城秀樹さんがサウナに入っていて脳梗塞になったことがあります。詳細はyomiDr.「歌手 西城秀樹さん 脳梗塞の再発(1)48歳で最初の異変」をどうぞ。さらに最近ではこんなこともありました。週刊現代「二所ノ関親方も倒れた「サウナと水風呂」ヒートショックの恐怖」。

これは両者ともに、どうみてもサウナに入ったことがきっかけだと思われます。

今回取り上げたサウナは脳卒中のリスクを減らす論文のキモとなっているのは、サウナによる血圧を下げる効果

脳卒中のリスク因子として、高血圧症・糖尿病・高脂血症の他に喫煙・飲酒があります。このリスク因子とサウナにおける脳卒中の関連はどうも激しい血圧の動きと推測されます(エビデンスは無いよ)。ということはフィンランドの場合サウナに入ることで高血圧気味の人が血圧をうまい具合にコントロールできたから、脳卒中になることが予防できたとも考えられます。 ってことは、高血圧を防げば脳卒中のリスクが軽減されるというゴクゴク当たり前の結果ってことなんでしょうね、多分。

別に脳卒中予防のためにサウナに入らなくてもいいような気がしちゃうけど

脳卒中の危険因子である糖尿病も高脂血症も喫煙も動脈硬化と密接な関係があり、高血圧症の原因でもあります。

サウナの脳卒中軽減作用が高血圧の改善であったとすれば、温泉に浸かることでも血圧は下がりそうですし、家庭内でしっかり入浴することも高血圧の改善に役立ちそうなものです。まあ、その前に喫煙や深酒のどうみても健康に良く無い生活習慣の見直しが必要なことは当然ですけどね。西欧人の場合、日本のように湯船に浸かるのは一般的な入浴方法ではなく、シャワーのみって方も多いそうです。その代わりに利用しているのがサウナであると考えると、今回のサウナは脳卒中のリスクを減らす説を日本人に適応すると湯船にゆっくり浸かる人は脳梗塞のリスクが低減するってことになるんじゃないでしょうか?

日常はバタバタしていてゆっくり湯船に浸かる時間が確保できない人はぜひ週末は温泉に行きましょう、という結論を導くためにだらだらとブログを書いてしまいました(わあっ、日本温泉気候物理医学会、入会手続きはしたけど会費まだ払っていなかった。明日、振り込みます❗)

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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