熱中症対策にはポカリスエットとアクエリアスのどっちが有効なのか問題を医学的に検証しました。

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熱中症対策の為に飲む飲み物と言えばポカリスエット、いやいやアクエリアス、と意見が分かれることの多い2大巨頭。

ポカリスエットは体調が悪いときの栄養補給、アクエリアスは運動後の疲労回復とメーカーの商品コンセプトが異なります。

どちらも夏の熱中症対策に欠かせない飲み物ですが

ポカリスエットとアクエリアスでより効果があるのはどちらでしょう?

医師なので、どうしてもアドバイスを求められることが多いこの問題をまとめておきます。

熱中症対策にはアクエリアスよりポカリスエット?

この季節になると熱中症対策がメディアで喧伝されてきます。経口補水液のCMも大量に流れます。これだけ熱中症に気をつけましょうと大量に広報しても残念ながら、毎年多くの方が救急車で病院に搬送され、中には悲しい結果になってしまうこともあります。先日ある方からこのツイートが私宛に送られてきました。

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このツイートに関して吟味せよ、とのリクエストと思います。なお、このツイートをされた方は医学に関しては素人さんと思われますので、アカウントはモザイク処理させていただきました。

熱中症対策としては本当にポカリスエットの方がアクエリアスより優れているのか?

この医師的には盲点であった命題について医学的な観点から検証を行なっていきますが⋯早々に難問が出てきてしまいました。

熱中症対策とは熱中症予防方法なのか、熱中症治療方法なのか?という定義の問題などなど。では検証を始めますね。

熱中症の定義から始めましょう

熱中症に関しては日本救急医学会が出している「熱中症診療ガイドライン2015」[1]が一番エビデンスのあるものと考えらえますので、これを参考文献として使用します(これはどなたでも全文を見ることができます。P7に

熱中症の診断基準が書かれてます。熱失神(heat syncope)、 熱痙攣(heat cramps)、熱疲労(heat exhaustion)、熱射病(heat stroke)などとして表現されてきた 1,2)。本ガイドラインでは、これらの諸症状・病態を一連のスペクトラムとして「熱中症」として総称するものと定義する。

熱中症診療ガイドライン2015

これを簡単に整理すると

熱中症は熱失神・熱痙攣・熱疲労・熱射病の症状があるものの総称として熱中症が医学的には使われています。

しかし、これじゃ何か一般の方にはわかりにくいし、熱中症と思われる人を見かけたり自覚症状が出た時の対応が急を要するものなのか、様子を見て良いものかを判断するために日本救急医学会熱中症分類が作られています。

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医学書院「週刊医学界新聞」[2]

この表によって熱中症を思われる症状が出た場合、見守ることを選択するのか、あるいは医療機関を受診するのか、救急を要する重篤なケースなので救急車を要請するべきなのかがわかります。今回ツイートされた方は医療関係者ではないので、ここにおけるⅠ度の応急処置を見守りで対応できる場合として考えてみます。症状としてめまい・立ちくらみ・生あくび・大量の発汗・筋肉痛・筋肉の硬直があっても意識がハッキリしていれば、その場の対応が可能であるという内容です。

ここに口から水分補給をして塩分をNa(ナトリウム)を摂ることが対応策として書かれています

これが今回のお題としての熱中症対策としてベストな飲み物はポカリスエットか、アクエリアスか問題の論点と考えられます。

となると、ポカリスエットとの成分をアクエリアスの成分を調べればこの論争に決着が着くはずです。

ちなみにこの宿題と思われるの回答として私はこんな感じで引用リツイート。

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熱中症の治療としては水分補給とナトリウム、そして体を冷やすことが重要です

以前から熱中症対策、主に予防方法として水分補給に関してテレビ等でうるさいほどインフォメーションしていました。最近は水分にプラスしてナトリウム(Na) の重要性も付け加えられるようになってきたように思えます。

さらに体を冷やすことの重要性もみなさんに知っていただけるとうれしいです

さて、ポカリスエットとアクエリアスの成分の比較ですが⋯ポカリスエットは「ポカリスエット ペットボトル」「ポカリスエット 缶」「ポカリスエットパウダー」「ポカリスエット ゼリー」などのラインナップがあります。今回はみなさんが頭に浮かべると思われるポカリスエットのペットボトルにおける成分を今回の論議の対象としますね。

一方のアクエリアスは「アクエリアス」「アクエリアス冷凍ペット」「アクエリアスパウダー」「アクエリアスゼロ」「アクエリアス 1日分のマルチビタミン」などなど多数のラインナップがあります(さすが飲料メーカーってところですかね?)。ラインナップの豊富さが逆に自信の無さのような気がしてきましたが、これもポカリスエットと同様にペットボトルのものを対象とします。

ポカリスエットはNa (ナトリウム)が100mLあたり49mgとなっています(その他の成分に関しては今回は無視)。

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大塚製薬「ポカリスエット基本情報」[3]

一方のアクエリアスはNa(ナトリウム)が⋯書かれていないぞ❗と衝撃的な結果になっているかと思えば

一般人を混乱させる食塩相当量0.1gという不適切な表記になっています。

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日本コカコーラ 製品情報「アクエリアス」[4]

ポカリスエットは医師受けが良いプロっぽい電解質濃度とかmEq/lなんて単位を使用しているのに、アクエリアスは食塩かよ❗これをナトリウム換算する手間をかけさせやがって、やっぱり熱中症対策にはポカリに軍配だあ、なんてことは思わないで食塩相当量をセコセコと計算しましたよ(怒)。

アクエリアス100mLに含まれるNa (ナトリウム)は40mgってことになるんです(食塩の40パーセントがナトリウム量に相当)。

それが前掲の私のツイートということです。

実は以前は熱中症対策としては明らかにアクエリアスはダメでした

問題提起をしてくれて私も非常に勉強になった「熱中症対策はこの2つで比べるならばポカリスエットです」はある意味で正解というか正解だった時期があります。

基準は、100mLあたり40-80mgのNaを含んでいること

参考文献「熱中症診療ガイドライン2015」のP10に「熱中症の予防・治療には何を飲めばよいか」という項目があります。そこで推奨されている熱中症対策の飲み物の条件として「市販の飲料水であれば Naを100mLあたり40-80mg含んだものが適当」と書かれています。

ですから、私のツイートにあるようにポカリスエットもアクエリアスも十分合格していることになるんです。

しかーし、

以前発売されていたアクエリアスのナトリウム量は40mgに達していませんでした❗

この詳細は2009年の日経トレンディ「熱中症予防の新基準、スポーツドリンクの正しい選び方とは?」をお読みくださいませ。2009年時点で発売されていたアクエリアスのナトリウム含有量は34mgでした⋯これじゃあ日本救急医学会の熱中症ガイドラインの基準を満たしておりません。この日経トレンディの件はある方にSNSで教えて頂きました。ご教示ありがとうございます。

ポカリスエット49mgVSアクエリアス40mgの結果は⋯

医師である私が素人さんのツイートを批判しているワケではないことをご承知ください。ナトリウムを含む量がアクエリアスの方が少ないから熱中症対策してポカリスエットの方が優れていることを証明するためには、熱中症の患者さんに対して一方はアクエリアスを、もう一方はポカリスエットを同じ量を飲んで頂き熱中症の症状の改善状態を比較する必要があります(比較試験)。

さらに両者の効果を明確にバイアスを除くためにはプラセボとポカリスエットとアクエリアスを飲む患者さんも医師らの与える側もどれがどれだかわからなくして、その治療効果を判定する二重盲検法を取り入れた二重盲検無作為化比較試験を行う必要が出てきます (詳細は「今更聞けない医学統計の基本」等を参照してください)。

現時点で販売されている普通の

ポカリスエットとアクエリアスの熱中症対策における有効性はどっちもどっち

と判断して問題ないと考えます。

アクエリアス経口補水液といった新製品やポカリスエットイオンウォオーターなど色々ありますがスタンダードな製品の場合とします。

熱中症かなあ、と思ったらとにかく近くにある水分をなんでもいいから体を冷やしながら飲むことだと考えています。この時に無理やり飲ませると誤嚥の可能性も出ますのでご注意くださいね。

お時間がある方はこちらも合わせてお読みくださいませ。

熱中症に注意❗脱水の応急処置で「点滴お願いします」は大間違いです。

熱中症に注意❗脱水の応急処置で「点滴お願いします」は大間違いです。

熱中症による脱水症状で死亡する人が多数出ますが、脱水とヒトコトで片付けるのは危険です。脱水にも種類があるのです。点滴が一番効くと信じている人も多いので、きちんと医学的に正確な情報を解説しておきます。脱水の重症度には見分け方があるのです。

ぜひぜひ予防を心がけてください。

おまけ

日本救急医学会は水1リットルに食塩を1-2g溶かし、それに砂糖をおさじ2-4杯加えたものが予防(治療じゃないよ)になるとガイドライン中でアドバイスしています。

ポカリは製品ラインナップがシンプルですが、アクエリアスは様々なバリエーションが発売されています。2022年現在、アクエリアス経口補水液なる製品があります。

アクエリ経口補水液の成分

https://www.aquarius-sports.jp/ors/

相変わらずの食塩相当量表記ですが、Na換算すると100mLあたり98mg!熱中症診療ガイドライン2015推奨の100mLあたり40-80mgをオーバーした高い数値になっています。経口補水液と言えば大塚製薬のOS-1が有名ですが、そちらはさらに高い100mLあたり114.96mgとなっています。

参考文献・参照資料

  1. 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン2015」PDF
  2. 週刊医学界新聞「在宅現場で遭遇する熱中症への対処――予防がポイント❗」(三宅康史)
  3. 大塚製薬「ポカリスエット基本情報
  4. 日本コカコーラ 製品情報「アクエリアス
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