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「よく眠れる牛乳」が大ヒット❗その使用方法に驚いた❗

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よく眠れる牛乳と称する商品が大ヒットしているようです。よく眠れる⋯この意味は通常熟睡をだと思うのですが、どうも眠ることのできるミルクつまりよく眠れる牛乳は睡眠導入剤的な使用がされている様子で、それも子供に対して❗らしいのです。

よく眠れるミルク、果たしてのその成分と使用方法は?

実際、日本の子供は睡眠不足であることが公的資料によって指摘されています。このよく眠れるミルクの話はしらべえ「『よく眠れる牛乳』が英国で大ヒット 子供に飲ませる親が続出する理由がスゴい」(https://sirabee.com/2018/07/04/20161694522/)で知りました。

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彼女彼たちに十分な睡眠時間を過ごしてもらうために、このよく眠れる牛乳が英国では使用されているかと思ったら、なんと

バカンスを楽しむために移動時間に子供をしっかり眠らせるために飲ませている❗

と日本人的な発想とは違った理由で使用されているんです。そこで気になるのがよく眠れる牛乳に含まれる成分。

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平成26年度児童生徒の健康状態サーベイランス事業報告書

ちなみ世界的に見ても日本人は睡眠時間が短いですね。健康上の問題として何時間眠れば良いかの明確な答えはまだ出ていませんし子供は何時間眠るべきであるとの答えも出てはいません。このよく眠れる牛乳に含まれている成分とその驚く使用目的に驚いたので、余計なお世話とは思えますがこの海外での話をちょっと医学的な視点から評価してみます。

よく眠れる牛乳の成分はセイヨウカノコソウ(バレリアン)という薬草です

このよく眠れる牛乳の話は英国のことですが、海外ものに弱くかつ薬は嫌だけど的な人が飛びつく話題なので、きっと近いうちにこのよく眠れる牛乳をどのようにしたら日本にいながらゲットできるかを研究というか、検索し出す人が出てくるんじゃないでしょうか。ハーブって自然のもだから安全安心と思いがちです、でもよくよく考えてみりゃ「薬草」なんですから、薬的な効果・効能があるんです、当然。

このよく眠れる牛乳に含まれているのがバレリアンと呼ばれるもので、植物の名前としてはセイヨウカノコソウです(一部ではヴァレリアンと表記されることもあります)。このセイヨウカノコソウって古くから薬草としてそれなりの利益を人類にもたらしてくれています。例えば「Valerian for sleep: a systematic review and meta-analysis」(Am J Med.2006 Dec;119 (12) :1005-12)によればメタアナリシスによってバレリアンが睡眠改善効果があることが示唆されています

睡眠改善に効果があるとされるバレリアンですが、「Herbal medicine for insomnia: A systematic review and meta-analysis」(Sleep Med Rev. 2015 Dec;24:1-12.)では同じくメタアナリシスによって効果なしと判定されています

こうなると誰でもこう考えるはずです

バレリアン、効果が有るのか、無いのか、ハッキリしろ❗

よく眠れる成分としてのセイヨウカノコソウ(バレリアン)の効果はまだ明らかになっていない、と考えるべきかもしれませんね。

プラセボであってもそれなりの効果があるなら、と思われる方はここで注意が必要となってきます、だって薬草って薬の原料にもなるんですから当然副作用・健康被害も気になりますよね。このセイヨウカノコソウ別名バレリアンの副作用というか健康被害もちょっと調べてみました。

セイヨウカノコソウの副作用はあるのか?

セイヨウカノコソウ別名バレリアンは私の手元にある医学書等では1ヵ月程度の使用であれば副作用というような問題は発生していません。それを毎日毎日飲んで数年間というデータは見つかりません。英国の使用例の旅行の移動時間に子供をゆっくり寝かせるレベルでは重篤な副作用はあまり心配する必要はなさそうです。

特殊な例として海外では三か月間バレリアンを含むサプリを服用したところ肝機能障害が起きた例が報告されています(「A case of valerian-associated hepatotoxicity」(J Clin Gastroenterol. 2008 Sep;42 (8) :961-2)が見つかりました。

さらにちょっとこれは怖いぞレベルの副作用として、フランスで13歳の子供が大量に長期間服用したことによって、最終的には肝移植を受けた例などがあります(「Fulminant hepatic failure after herbal medicine ingestion in children」Therapie. 1998 Jan-Feb;53 (1) :82-3.)。

大量に長期間にわたって服用しなければ、まあ安全であると考えられるバレリアンを含むよく眠れる牛乳と考えて良さそうです(この牛乳の正確なバレリアンの含有量は調査中です)。

はたしてぐっすり眠れる牛乳は日本でも一般的になるのか

この商品名「Sleep Well Mil」が国内で入手できないとなると、自分で作ってみようを考える人がでるのではないでしょうか?そうなると当然丁寧な生活を推奨していると思われるサイトや雑誌がこの件を「子供を連れて海外旅行に行くとに忘れてはいけないポイント」とかのタイトルで手作りセイヨウカノコソウ(バレリアン)入り牛乳を取り上げることが予想されます。そういえばこんなことが先日ありましたね。

さようならクロワッサン、発酵食信仰をこじらせたようですね。

さようならクロワッサン、発酵食信仰をこじらせたようですね。

和食文化は発酵と深い関係にあります。ですが発酵と腐敗は同じで、人間が生きていく上で有用な場合は発酵、害になる場合を腐敗と呼んでいるにすぎません。おにぎりは美味しい発酵食という話があります。知らない人が握ったおにぎりは食べられない人は少なくありませんが、なぜ嫌悪感をもってしまうのか?そのヒントは発酵と腐敗にある!?

こんな感じの雑誌やサイトでそのような記事を見かけたら⋯

手作りよく眠れる牛乳に手を出すのは控えることをお願い致します

なぜならどのくらいの量を牛乳に入れれば安全にセイヨウカノコソウ別名バレリアンの効果を得られるのか、医学的な結果はまだ出ていませんからね。

最後にちょっと言い訳を:今日、いつも使っているPCじゃないものでこのブログを書いています。キーボードのタッチも違うし、画像の取り込み等も思い通りになっていませんし、書きたいことを書き留めたエバーノートへもアクセスできなくて重要なポイントを書き逃した可能性があります。後日、いつものPCにて加筆修正する可能性をご承知おきいただければうれしいです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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