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処方箋なしで処方薬を買うことができる「零売(れいばい)」って知っていますか?

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処方箋が必要なクスリを、処方箋なしで買うことができる?そんな裏技あるの?違法じゃないの?

普通はそう思われますよね。「れいばい」というシステムがあるのです。世の中のほとんどの方が、ご存知ないであろう、このシステム。解説いたします。

処方箋が無くても医療用薬品は買うことができます。

「零売」という専門用語があります。この「れいばい」と呼ばれるシステムを知らないで、処方箋を持っていないと医療用薬品、いわゆる医療機関の処方薬を購入できないと思っている人が多分世の中の99.99パーセントなんじゃないかと勝手に予想しております。

なんでこのような抜け道的な販売方法が許されているのか、医療業界の複雑な絡み等の問題もあるのでしょうけど、忙しくて平日は医療機関を受診できない、あるいは一般の診療時間にクリニック受診なんて無理、と考えて処方箋が必要ないOTCや雑貨屋が製造販売しているような古臭い市販薬で誤魔化している人には朗報なんじゃないでしょうか?

処方箋なしで処方薬を購入できる零売(れいばい)というシステムは違法ではないので、どうしても医療機関の診療時間に間に合わない方は知っていて損はないと思います。

こんな記事を目にしました。

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https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190329-00000096-asahi-soci

なぜか医師会等はこの緊急避妊薬の処方に対してリアル診察の必要性を訴える意見の持ち主がいます。しかし、緊急時であり一般の診療時間では対応しきれない薬の処方に関してはもう少し緩やかな判断基準で対応しても良いのでは、と私は考えます。このような薬こそ零売で対応できれば良いのではないでしょうか?

「零売」のメリットとデメリットはこれ❗

お年寄りに大人気の湿布薬「モーラステープ」近年は一回の処方数に縛りができましたが、これは零売で手に入れることが可能です。モーラステープでは満足のいかない人に処方されることがある「ロキソニンテープ」これも零売で手に入れられます。

どう見ても皮脂欠乏症でもアトピー性皮膚炎でもないのに、なぜかやりくり上手な主婦に大人気の「ヒルドイドローション」これも零売で購入可能です。美容使用目的が見え見えなのに、ついつい患者さんの言われるがままにヒルドイドローションを処方してしまっている医師も「ヒルドイドローションを美容目的で使用するなら零売で買ってね」と告げることが可能です。

怒号飛び交う「ヒルドイド逆ギレおばさん」?どうして処方してくれないのよ❗?

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医療用保湿剤「ヒルドイド(成分名:ヘパリン類似物質)」を美容目的で使う人が急増し社会問題化しましたが五本木クリニックでも「わたしは客よ、出しなさいよ」的な勘違い女性に突撃されました。なんと子供を使った悪質なケースもありましたので紹介します。患者さんはお客様ではありません!美容目的のヒルドイド処方は不正行為です。

零売を利用すれば無理くり時間を調整して医療機関を受診して、長い長い待ち時間を過ごして処方箋をもらう必要がなくなり、患者さんにとって価値のあるシステムだと思います。

零売を患者さんに利用してもらえれば、レセプトに恐る恐る「皮脂欠乏症」と記載して、社会保険支払基金から怒られるんじゃないかとビクビクしないで医師は日常を過ごすことが可能になるのですから、医師にとっても嬉しいシステムです。

見つけちゃった→医師による保険薬の適応外処方?ヒルドイドを化粧水代わりとお薬手帳に明記❗

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ヒルドイドを美容目的で使用するために、あの手この手で処方してもらおうとする患者さんサイドのモラルの問題もありますが、処方してしまう医療サイドが大問題なのです。処方しなければ社会問題にはなりませんから。そんな健康保険を使用して美容液代わりにヒルドイド処方している医療機関があるとのタレコミがありましたので紹介します。

しかし、零売という言葉やシステムを知っている人は日本人のうち0・001パーセントですから(※個人の勝手な予想です)、コンビニより数が多いと言われている調剤薬局も零売を採用すれば今なら一人勝ちができるんじゃないかな、なんて余計なお世話的な思考も私の頭の中をグルグル駆け巡っております。

これから医師もニコニコ、患者さんもニコニコ、支払基金もニコニコ、処方箋数の減少にお悩みの調剤薬局もニコニコであるはずの零売、やっぱり欠点がありました。

零売、便利なんだけど利益が出ないのではないでしょうか?

大量に薬を処方する医師はとかく金儲け主義と言われがちです。でもこれは大間違いで診療報酬は薬の数が増えれば増えるほど減点となるシステムになっています。

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院内処方の場合は内服薬が7種類以上になると薬剤料が10パーセント減額にもなります。大昔は薬価差益が医療機関の収支に大いに貢献していたそうですが、薬価差益は大手調剤薬局を除けば微々たるものであり、デッドストック一発で一瞬にして薬価差益は吹っ飛びます。

零売の場合、医療機関発行の処方箋料が必要ではないので患者さんはその費用を負担する必要がないのは魅力といえば魅力なんでしょうけど⋯零売は当然保険診療の対象外となるので、薬代は100パーセント自己負担という点が零売が一般的にならない、やりくり上手なちゃっかりママ御用達の健康関連素人ライター記事のテーマにはなりにくいようです。

零売を行う薬局側も保険診療の時に請求できる調剤技術料や薬学管理料が受け取れない点でも、金銭的なメリットは少ないことが予想されます。しかし、保険外での薬の販売なので薬価基準にそった価格で販売する義務もないはずなので、自由な価格設定ができるのでビジネスとしてはなんらかのモデルを構築すれば、それなりに有利に運営できるような気がしないでもありません。

まあ、この辺りは薬剤師さんを対象としたコンサル等がなんらかのアイディアを生み出せば解決するんじゃないかなあ。

零売、便利なんだけど普及はまだまだのようです

4月5月は10連休があります。うっかり薬の処方を受けるのをお忘れになった方は「零売」を扱っている薬局にご相談して、「薬がない、やっペー」と不安を抱えて連休を過ごさないようにしましょうね。

東京といえども零売の薬局って少ないようです。

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処方箋なしで病院の薬が買える「オオギ薬局」http://ogiyakkyoku.com/informations/4gatueigyoubi/

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お医者さんにかかれない時、処方せんなしでも医薬品購入できる薬局<「池袋セルフメディケーション」http://www.self-medication.co.jp/
注意

全ての処方薬が零売で購入できるわけではありません。零売で購入可能な薬は処方箋医薬品以外(医療機関で処方される薬の約半数程度)の医療用医薬品です。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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