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「刺す化粧品」でシワを消すことは可能か?ヒアルロン酸の分子量を考えたら無理(キッパリ)。

以前から気になってしかたが無かったネット広告があります。

オッサン向けのシワ治療が可能であるかのように思われるネット広告です。

ヒアルロン酸を含む「刺す化粧品」にシワを無くしたり、消したりすることは可能なんでしょうか?

医学的に見て、効果があるとは思えない「刺す化粧品」

一部上場企業だからどうした?モンド・セレクション金賞受賞だからどうした?皮膚に刺したら薬機法・医師法違反じゃん?との疑問はひとまずおいときます。

そもそもシワがどのようにして形成されるのか、できてしまったシワが「刺す化粧品」で改善するのか、含まれている成分でシワがビフォー・アフター画像のように消えちゃうのか、などを検証してみます。

厄介な男のおでこの横シワにはコレ

キャッチコピーは

老け感が刻まれた オデコにそろそろ手を打とう!東証一部上場企業が開発した オデコ専用商品にオトコたちの熱視線が集まる…

https://twitter.com/kaitekikobo/status/1275681979162406912/

しかし、これでシワが消えちゃうと信じ込んでしまう純情かつ素朴なオッサンって本当にいるのかねえ⋯。

そもそもシワは3つに大別できて、その中のどのシワに刺す化粧品は効果があるのか?

シワは大きく3つに分類できます。

  1. 小ジワ⋯浅いシワ、表皮の表在性の折れ線
  2. 大ジワ⋯深いシワ、真皮網状層まで表皮が折れ込んだ線
  3. 光老化で生じるシワ⋯光熱暴露によって生じる折れ線

以上日本皮膚科学会雑誌「シワの組織学」(今山 修平 https://doi.org/10.14924/dermatol.126.2069より)などを参考にしました。

刺す化粧品で使用されているシワは明らかに大ジワです。

https://www.odekodeep.com/pc/

まっとうな皮膚科医およびまっとうな美容皮膚科医は大ジワを無くす、あるいは大ジワを消すためには真皮網状層に手を加える必要があると認識しています。

しかし、刺す化粧品は薬機法や医師法に慎重に対応しています。ネット広告には※角質層までとの注意書きが添えられています。

https://www.odekodeep.com/pc/

そもそも角質層は皮膚のもっとも上層に存在するので、シワの分類であれば小ジワつまり浅いシワです。

おでこの深いシワにこの刺す化粧品が効果的にシワを改善するとか、シワを消すことは不可能だと判断できます。

刺す化粧品の成分でおでこのシワが消えるか?

化粧品の成分は含まれている量が多い順に記載するルールがあります。刺す化粧品の成分表示は

ヒアルロン酸Na、グリセリン、プロパンジオール、キバナオランダセンニチエキス、ベルノニアアペンジクラタ葉エキス、水、ペンチレングリコール、レシチン、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド、エタノール、レチノール、ポリソルベート20、合成ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1、リン酸K

となっていますので、主成分はヒアルロン酸ナトリウムですね。

ヒアルロン酸は保水性や保湿性に優れていることは今や常識だと言ってもいいでしょう。

しかし、ヒアルロン酸ナトリウムの分子量は約50万から390万!!

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「精製ヒアルロン酸ナトリウム」(https://www.pmda.go.jp/files/000162720.pdfより)

このようなめちゃくちゃ大きな分子が皮膚を構成する細胞内に浸透するとは、いくら「刺す化粧品」であっても不可能なのではないでしょうか?

ダルトン(dalton、単位としてはDaと表記)という単位があります。製薬メーカーは皮膚から薬剤を体内に入れ込む時にこのダルトンの壁と常に闘っています。

500ダルトン以下でないと薬剤は経皮的に吸収されない、との科学的医学的常識があります。「化学的および物理的吸収促進法を用いた難吸収性薬物の経皮デリバリー」https://www.jstage.jst.go.jp/article/dds/27/3/27_156/_pdf

ヒアルロン酸ナトリウムは約50万から390万ダルトンですから、経皮的に細胞に吸収されるワケが無いのです!!

刺す化粧品、効果があったら薬機法・医師法に抵触する可能性は無いのか?

ヒアルロン酸は高分子量ですから、皮膚の表面に塗っただけでは表面の保湿や保水効果は期待できたとしても、細胞内に入り込む可能性はありえません。

そこで、刺す化粧品は「刺す」という行為によって高分子量のヒアルロン酸が体内あるいは皮膚を構成する細胞内に入り込むかのようなイメージを作り出しています。

再度確認しておきます。「オデコディープパッチ」は化粧品です。医薬部外品でもありませんし、当然医薬品でもありません。

「しっかり浸透」との言葉を使用しています。

https://www.kaitekikobo.jp/odekodeep/

私には何がどのように浸透しているのか判然としませんけど、打ち消し表示として※角質層までと記載されています。

繰り返しになりますが、ビフォー・アフター画像は大ジワですよね。大ジワは真皮網状層に原因があります。真皮まで何らかの成分が浸透しないと大ジワに対する効果は現れません。

つまり、角質層までしっかりとヒアルロン酸が浸透しても大ジワを消したり、治したり、無くしたりすることは不可能なのです(小じわには効果あると思われます)。

もしも、刺す化粧品の主要成分であるヒアルロン酸ナトリウムが真皮まで浸透したら、化粧品ではなく医薬部外品・医薬品に分類されなければならないことになります。

「刺す」ことによってヒアルロン酸ナトリウムが真皮まで浸透した場合、他の問題も生じてしまいます。「刺す」行為は医師法第十七条の医業行為に抵触する可能性があります。

医師法上の疑義照会でこのようなものがありました。

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta0950&dataType=1&pageNo=1

まあ、このオデコディープパッチを買った人は自分で自分に「刺す」のですから医師法に抵触する可能性は無いとは思われます。この辺りに関しては法律の専門家の判断に任せます。

刺す化粧品の効果・効能の結論

消費者の心に刺さる広告表現は一定のルールのもとに許されています。一部上場企業であろうと、モンド・セレクション金賞受賞であろうと、それによって認知バイアスのひとつであるハロー効果を期待して広告するのも、テクニックのうちだと個人的には解釈してます。

しかし、科学的医学的事実を広告手法によって捻じ曲げることはNG。

北の快適工房さん、刺す化粧品で大ジワが改善できると主張するのであれば、ぜひ研究データ等をご提示いただけると幸に存じます。

大ジワは表情筋の動きによって刻み込まれます。

眉間やおでこのシワを無くすなら医療機関ならボトックス注射を使用します。

こっちの方が合理的であり、効果的であり、最終的には経済的だと思います。

詳細は当院のYou Tubeをどうぞ。

この広告、私はあえて踏みまくっているのですが女性向けバージョンもあるのかな⋯。

おまけ

ヒアルロン酸が含まれた貼る式のグッズ、かなり以前韓国製のものが美容皮膚科クリニックを中心に紹介されたことがあります。医療機関では今では見かけもしない「貼るヒアルロン酸」です。