以前から職業によっての寿命が違うことがささやかれていました。
実際に生命保険料なんかも私たち医師は数十年前は危険な作業をおこなう労働者の人と同じくらい若死にする職業とされていました。その大きな理由は「感染症」です。患者さんと接することにより、なにかの病気を移されてそれによって死亡率が高い、なんて言われていた時期があったようですBY おじいちゃん医師。
日本人の職業別の死亡率が判明
今回北里大学の先生たちによって職業別の死因や死亡率が検証されました。
4大死因で死亡する管理職が増加!
1980年から2005年は日本では急激な経済成長を経て、バブル経済時代を迎えその崩壊、そして長引く不況・経済危機と大きな変化があった期間と考えられます。そんな経済状況の浮き沈みと男性の死亡率との関連をしらべた「疫学的な研究」がこの論文です。
方法は過去のデータを調べ上げる「後ろ向きコホート研究」ですので、原因と結果つまり「因果関係」ではなく、関連性があるか、無いかを調べたものですからご注意ください。
30歳―59歳の男性について死亡原因を4大死因と呼ばれる「がん」「心臓疾患」「脳卒中」「不慮の事故」と「自殺」と大きく分けました。対象は1980年から2005年の間に厚生労働省が調査してまとめた職業別死亡データを基準としています。
職業は
・専門職(技術職を含む)
・管理職
・その他(事務,営業・販売,サービス,保安,農業・漁業・林業,運輸・通信,生産・労務)
・非就業
という分け方をしています。これは国際標準職業分類というのに従ったそうです
その結果
・自殺の増加率は「管理職」で急激に増加しておりその数なんと271%アップ
・のがんの死亡リスクが上昇
・全体の死亡率も「管理職+専門職」で70%アップ
景気と死亡リスクの関係
景気が低迷しはじめた2000年から管理・専門職の死亡リスクが,その他の職業・職種の死亡リスクより高くなり、職業別の全死亡・死因別死亡パターンは劇的な変化となっています。
それは仕事量の増加やストレスなどの影響が当然考えられています。
一方、景気の良かったとされる1980年から1995年は「販売,事務,生産・労務職」の人たちの全死亡率が急激に低下傾向にありました。
つまり、死亡原因と死亡リスクは景気とつよい関連があると言えるのです。
(因果関係ではありませんよ、相関関係があるということです)
アベノミクスによって経済は上向いたか?
経済成長を表す指標として金利・消費動向・GDP・雇用統計・物価上昇率などがあります。オッサンの死亡率は上記の調査期間を通じて全死亡率・全がん死亡率・虚血性心疾患死亡率・脳血管疾患死亡率・不慮の事故による死亡率は殆ど変化が在りませんでした。
でも、2000年以降は自殺が急増しています。
職業別死亡率も「その他」に分類される人は低下傾向が続いていますが、「管理職+専門職」は増加傾向にあります。
景気が良くなると増える死因は今回の研究では認められませんでした。安倍首相、どうにかオッサンの寿命が延びるように景気を一刻も早く回復させてください!
大学生諸君、早死にしたくなかったら職業は「その他」につきましょう!
私的には「非就業」に分類される方についてですが、心ならずも職を失った方はお気の毒なことですが、「ニート」もこの分類に入るなら「失業」と「ニート」と今後は分類してもらいたいです、総務省さま。