偽医療・ニセ医学の典型「ホメオパシー」とはどのような治療方法か?その3 英国王室御用達、どっからそんな話が?

ホメオパシーは全く非科学的なニセ医学であることをブログに書いてきました。引き続きホメオパシーを取り上げます。

「ホメオパシーは英国では王室も取り入れている、つまり英国王室御用達なんだ」とホメオパシーを広めているグループやホメオパシー信者さんは主張します。これは本当のことなんでしょうか?手に入る情報によれば確かにチャールズ皇太子はホメオパシーをバックアップしています⋯というか後押ししていました。

ホメオパシーは英国王室御用達って本当かよ??

まずは英国御用達の定義をはっきりしましょう。英国王室の御用達は「Royal Warrent」と表現されます。御用達という言葉を使用できるのは女王陛下とご主人のエディンバラ公、そしてチャールズ皇太子です。故ダイアナさんであれ、ケイト妃であれ御用達という用語は使用できないのです。王室に3年間無料提供して、王室御用達委員会で認めらえたものが初めて「英国王室御用達」と認定されますhttps://www.bask-kobe.com/user_data/history)。

つまり日常に使用されている物品・食品に対して英国王室御用達が認められるので、治療方法であるホメオパシーが英国王室御用達、ってことになるはずがありません。

チャールズ皇太子はいわゆる代替医療に関心が強く、さらにご自身で関連のビジネスを行っているとも言われています。

チャールズ皇太子はホメオパシーを後押ししているから、英国ではホメオパシーが保険医療の対象になっている?

英国ではホメオパシーが真っ当な医療として考えられているので、保険適用になっているし、チャールズ皇太子は他の代替医療も積極的に応援している、なんてことを強ーく訴えているホメオパシー信者さん、ホメオパシー啓蒙組織があります。じゃあ、なんでこんな報道がされるんでしょうか?

ホメオパシーのためにロビー活動を行っていると批判されているチャールズ皇太子

https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/he-s-at-it-again-prince-charles-accused-of-lobbying-health-secretary-over-homeopathy-8723145.html

タイトルだけだと、チャールズ皇太子がホメオパシーのためにロビー活動を行っている、と感じますが、詳細はチャールズ皇太子がホメオパシー推進のために、保険担当大臣と会談を行い、書簡のやり取りに対して労働党が問題化させているのです。

チャールズ皇太子がホメオパシーに対する論争に参加しないよう要請されているのです

the Government’s new chief scientific adviser(政府に対する科学的アドバイスをする顧問)のSir Mark Walportは「ナンセンス」の一言で切って捨てています。

つまり、英国ではチャールズ皇太子が個人的にホメオパシーを推進することに協力をしているけど、英国王室御用達でもないし、英国政府がホメオパシーの有効性を認めているワケでは無いのです。

ヨーロッパではホメオパシーは健康保険が適用されている?

あたかもホメオパシーが立派な医学の一分野であり、効果があると主張する一派のお得意のフレーズが「ホメオパシーは健康保険の対象になっている」です。

確かに英国・フランス・ドイツでは限られた症例に案して保険適用になってはいますが、日本でも薬効に対するエビデンスの乏しい一部の薬が保険適用になっているのと同じように、ホメオパシーの保険適用は現在見直しが始められています。

チャールズ皇太子のお膝元の英国では「ホメオパシーはプラセボ以上の効果は無い」ので、国民保健サービス (NHS)はレメディーに年間15万ポンド、ホメオパシー全体に400万ポンド(あまり大きな市場では無いですね⋯2800万円程度と7億6000万円程度)費やされていることを見直す動きが出ているのです(参考文献:https://www.independent.co.uk/life-style/health-and-families/health-news/he-s-at-it-again-prince-charles-accused-of-lobbying-health-secretary-over-homeopathy-8723145.html)。

どの国でも、もともと存在していた民間医療・伝統医療の後に保険制度が整備された歴史があるために一般人が利用していた医療の場合エビデンスがなくても、取り敢えず的に制度の組みに入れ込まざる得なかったのですね。

米国でもホメオパシー療法は存在しています。でも、保険制度に組み込まれていなく、「健康食品」扱いになっています。

某ホメオパシー啓蒙活動組織のサイトに「海外では多くのホメオパシー処方薬局があり⋯」ということが記されています。確かに海外のドラッグストアチェーンで「レメディ」が取り扱われています。その真相としてはホメオパシーのレメディは効果が無いし、副作用も無いからです。

つまり、薬としての効果が無いために、副作用も無いだろう、だから販売しても問題化しないんだよ、ということです。これは本拠地を英国に置く、世界的なドラッグストアチェーンのBootsの見解です。Bootsは英国では1000店舗以上ありますので、某ホメオパシー関連サイトに書かれている「1000を越すホメオパシー薬局が存在」はしています(笑)。ブーツの見解はこちらのサイトをご覧下さい。

ホメオパシーのレメディを販売するブーツ

http://www.telegraph.co.uk/finance/newsbysector/retailandconsumer/6658864/Boots-we-sell-homeopathic-remedies-because-they-sell-not-because-they-work.html

日本におけるホメオパシーに対する厚労省の見解

日本ではホメオパシーを推進する団体が多数存在することを前回のブログで述べました。多数の団体が切磋琢磨して、より優れた医療を目指すのはけっして悪いことでありません。しかし、ホメオパシーは科学であるわけなく、医学でもなけりゃ、代替医療・補完医療にさえならないのです。なぜなら、ホメオパシーを信じてしまってこんな方も多数いるのです。

代替医療ホメオパシー利用者、複数死亡例 通常の医療拒否 (http://apital.asahi.com/article/story/2012110700010.html)

プラセボ効果があればいいのですが、ホメオパシーを信じてしまったために治るものさえ、治らないで亡くなっている方は山口の乳児死亡事故以外にも多数あるのです。厚生労働省はホメオパシーをこのように評しています。

キーポイント
・特定の症状の効果的な治療法として、ホメオパシーを支持する証拠はほとんどありません。
・すべてのホメオパシー治療薬は高度希釈されており、害はないとされていますが、一部のホメオパシーとラベル表示されている製品で、相当量の活性成分を含んでいる場合があり、それにより副作用や薬物相互作用を引き起こす可能性があります。
・ホメオパシー治療薬は食品医薬品局(FDA)[米国]により管理対象に指定されていますが、FDAはホメオパシー治療薬の安全性と有効性の評価を行っていません。
以下略

「統合医療」情報発信サイトhttp://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c02/05.html

ホメオパシーってそもそもワクチンにインスパイアされたのでは?

ここからは事実に基づいた私の想像です。ホメオパシーが開発されたのは1810年頃と予想されます(「オルガノン」というホメオパシーの教典が出版された年です)。世界初のワクチンは天然痘に対するもので、発見は1796年ですので、ひょっとしてホメオパシー開発者のサミュエル・ハーネマンはそれにインスパイアされたのではないでしょうか?

その後多くの科学者・医学者によって数々のワクチンが開発され、免疫に対する知見が発展するに従い、細胞性免疫・液性免疫の発見、抗体に発見(1900年前後)により現代免疫学の基礎が整うなかで、誰がどう見てもインチキ医学としての評価しかホメオパシーは得られなくなったので、忘れ去られた擬似医療となってしまったのです。

しかし、医学の進歩とともに薬の副作用がクローズアップされ、医療不信(ワクチン拒否はその典型)が吹き出てきたために、副作用がない自然療法に近いホメオパシーが注目を集めだしたと考えています。

ホメオパシーが医学的に効果があるのか、無いのかを検証することは簡単です

単純に一般の薬の評価を同じように「二重盲検」を行えばいいだけです。創薬によって二重盲検を行うことは多大な費用が必要となりますが、ある物質を超希釈しただけの「レメディー」なら大した費用は必要ないでしょう。

もしも、ホメオパシー関連の方で二重盲検を試みてもいい、という方がいらしたら是非ご連絡ください。科学的な評価システムをご紹介して、「レメディー」の効果を確かめようではありませんか、費用に関しては有志を募って工面いたします。

ひとまずホメオパシー関連のブログはこれで終わりとします。しかし、ホメオパシーは調べれば調べるほど「なんでこんなの信じちゃうの?」という疑問が湧きだす、科学とは程遠い擬似科学・偽医療行為です。五月雨式に今後もホメオパシー関連のブログは書いていく方針です。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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