一般診療のお問い合わせ

一般診療フリーダイヤル0120-50-5929

一般診療TEL03-5721-7000

お電話受付時間

診療時間に準じます。

美容診療のお問い合わせ

一般診療フリーダイヤル0120-70-5929

一般診療TEL03-5721-7015

お電話受付時間

10:00~18:30(木・日・祝日休)

ダイエットサプリの定番、オメガ3脂肪酸が前立腺がんのリスクを増加させるという報告があった

オメガ3はがんリスクを高める可能性、今までの常識に反する強烈な論文です

「オメガ3脂肪酸は前立腺がんのリスクを高める(Omega-3 Fatty Acids Linked to Increase in Prostate Cancer Risk)」との衝撃的なタイトルでアメリカがん協会(American Cancer Society)のHPに掲載されています。私もブログでオメガ3はメタボに効果があるということを書いてきたために、非常に興味深く読みこんでみました。

omega3_3
魚に多く含まれるオメガ3ですが、これが前立腺がんのリスクを高めるとは⋯。
肉食も前立腺がんのリスクと言われて⋯何を食べればいいのでしょう

オメガ3が前立腺がんのリスクをたかめる、との研究方法と結果

ASCは50才以上の男性3万5000人が研究に登録したデータベースの中から、前立腺がんの診断を受けた834人を調査しました。このような研究には公平性が必要なため更にランダムに1393人を抽出して各々のオメガ3脂肪酸の血中濃度を調べました。
結果は
・オメガ3の濃度が高値を示した男性の前立腺がんの発症リスクが43パーセント高かった
・オメガ3の濃度が高値を示した男性は悪性度の高い前立腺がんの発症リスクが71%高かった
上記のような衝撃的な結果になったのです。この論文はオンライン版に掲載されておりさらなる詳しい内容は雑誌になった時点で全貌が明らかになりますが、Journal of National Cancer Instituteのオンライン版( July 10 in the Journal of the National Cancer Institute)ですので「とんでも論文」でないことは確かです。

オメガ3脂肪酸伝説を全く否定する結果に

ダイエット本ではオメガ3の効果を謳っているものが多いですし、今までの医学の研究でも否定的なものは出てきていませんでした。

サプリに対して少し偏見を持っていると思われがちな私もオメガ3は全くの善玉であり悪役としてのアプローチは考えても見たことがありませんでした。このあたりは医学研究の難しさを表していると思います。

omega3_2
この様なサプリは日本でもよく見かけますね http://commons.wikimedia.org/からお借りしました

よく患者さんが「コレステロールを下げるとがんになりやすい」とか「血圧は下げすぎると寿命が短くなる」とかの医学論文の一部を取り上げて、正確な解釈をしていないマスコミの情報を鵜呑みにしてしまうことの危険性を実際の診察でも患者さんに常々指導してきたつもりです。

しかし、今回の結果は⋯困ってしまいます。

医学では全く反対の意見・結論がでることもよくあります

実はオメガ3を含んだ生活習慣病改善薬は日本でも発売されています。巨大製薬会社が製造しているものですが、オメガ3の悪口?が一切封印されることなく、今回の論文が堂々と発表されているのです。

医学論文は一部の陰謀説を持った人が疑うようにある一定の圧力に屈することなく、このような今までの常識を覆す文献を掲載するフェアな意見交換・情報提供の場であることも証明できたことにもなると思います。

少し前のブログでもビタミンEが抗がん作用を期待できる反面、前立腺がんのリスクを高める研究結果をお伝えしたばかりです。

どちらにしても患者さんは混乱を深めるばかりです

ある一つの結果が出たらすぐに「新しい治療法だ!」と判断しないで様子をみるのが正しい医学治療の見方なのでしょう。

しかし、現実問題として例えばがんと闘っている患者さんの場合は切実なことであり、新しい治療法をリスクを承知で受け入れなければならない状況に置かれることもあります。その時こそ主治医が必死になって論文を精査してその時点でベストである治療法を提案しなければなりません。もちろん今回の論文に反論する論文も出てくることと思います。

現時点では魚の油を元としたサプリや薬に対する意見を患者さんから求められた場合は「前立腺がんのリスクを高める報告もあります」という言葉を添える必要があります。

この研究論文から私が再認識したこと

医師は常にアンテナを高くして情報を収集して、その情報を討論・精査する必要があり、今後の私の治療に対する知識を深めなければいけないと再認識する機会を与えてくれた論文でした。