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100℃のサウナでも火傷しない理由は体感温度と中学の理科の知識でOK

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高温のサウナに入ってもヤケドしないのに、うっかり熱湯かけてしまったり、熱いお風呂に入るとヤケドする理由を知っていますか?

あと最近天気予報のコメントで体感温度という言葉もよく耳にします。

体感温度の定義を知っていればサウナでヤケドしない理由がわかります。

そもそも体感温度って何?

「今日は湿度がありますので体感温度としては40度って感じですね」的な天気予報を見かけます。実際に測定した気温より気温が高く感じられることを伝えるための表現としての「体感温度」。体感温度が個人の感想です、ではマズいために体感温度を客観的に示すために「ミスナール体感温度」というものがあります。

ミスナール体感温度計算式

ミスナール体感温度はヒトが感じる温度感覚を数値であらわしたものであり、無駄な電力を使用しないための省エネにも役立つ重要な指標と現在では考えられています。

サウナでやけどしない理由と体感温度の深い関係

サウナ内の温度計を見ると90度〜100度くらいになっています。90度のお風呂に入ったら一瞬で全身大やけどになるのにサウナだと火傷しないのは考えてみれば不思議といえば不思議。

そこでミスナール体感温度を簡単に数値化できる「ミスナールの計算式」に温度90度にして風速を0に設定して見ると湿度によって体感温度が変わることが理解できます。

実際に生活や実務に役立つ計算サイト「ke!san」(https://keisan.casio.jp/exec/system/1257417058)を使って計算してみるとおもしろいですよ。

気温90度の場合の体感温度

サウナが高温であっても火傷しない理由をさらに深く知るためには体感温度とは別の知識が必要になります。中学で習った「エネルギーの移り変わり」の中で熱の伝わり方を識るために伝導・対流・放射というワードが出てきていいるはずです。

  • 伝導・・・物質が移動しないで熱が伝わる現象
  • 対流・・・物質が移動して熱が伝わる現象
  • 放射・・・空間を離れて熱が伝わる現象

手元にある「新編新しい科学3」(東京書籍)などの、中学三年生でならう理科の教科書では上のように説明してあります。

中学校の理科の教科書「熱伝導」

100度のサウナで火傷はしないけど、熱いお風呂だと火傷する理由の補足

サウナの場合、カラダの周りに当たり前だけど空気があります。空気は熱の伝導率が悪いので冷凍食品を発泡スチロールの容器に入れて運搬するときに使われるのも熱伝導率が悪からなんです。

カラダに熱い空気が密着しようとしても、もともと皮膚の表面を覆っている空気が邪魔をするためにサウナの100度になったカラダに直接伝わらないため、高温のサウナに入っても火傷はしません。

サウナの室温を100℃、湿度を20%で計算すると体感温度は65.4℃になります。ちなみに65℃のお風呂に入った場合(お風呂だから湿度は100%)の体感温度は62.3℃ですから間違いなく火傷します。

サウナだと大丈夫だけどお風呂だと火傷する理由は

水の熱伝導率は0.582、空気は乾燥していると0.0241、つまり水は熱を伝えやすけど、空気は伝えにくいのです。

熱めのお風呂に入っている時に動くと熱く感じる理由

熱めのお風呂に入っている時にじっとしていると時間とともに熱いお湯に慣れるけど、動くと熱く感じることを経験してると思います。

それは体温と皮膚表面にあるお湯の温度はお風呂全体の温度より低くなっているからです。熱は高いところから低いところに流れる(ここエネルギーの移り変わりでメチャ重要な点、これを忘れるとエネルギー自体が将来的にわからなくなります)。カラダの周辺のお湯の温度はお風呂全体の温度より低くなっているからです。

熱いお風呂のなかでじっとしていると皮膚表面のお湯の温度は下がっています。ところがカラダを動かすと水分子と皮膚の間にある安定してバリア的な働きをしていた空気がカラダの動きについてこれなくなり、新たな熱い風呂のお湯と皮膚が接することになるために熱く感じるのです(中学3年でならう理科の前掲の「対流」も関係しているけど今回は触れないでおきますね)。

日常で不思議に感じる現象の多くが実は義務教育課程で習うことである程度理解できますから、義務教育は大切ですし、中学の教科書って本当によく出来ていると常々感心しています。私は中学の教科書を書棚に並べて、ちょっとわからないことがあると教科書を開く習慣になっています。

左巻健男先生が主宰している「RikaTan 」(理科の探求)という月刊誌があり、波動をテーマとした原稿を寄稿させてもらったことがあります。その時、ラフ原稿をお見せしたところ「中学じゃ波動は習わないよ、リカタンの読者には中学の理科の先生もいるんだから」と指導されて、この私がピタリとその後一ヶ月筆が進まなくなりました。左巻健男先生に指摘されてから必ずブログを書くときは中学の教科書を横において参考にするようになりました。

おまけ:体感温度が95度の壁はかなり高いようです

こんなTweetを見かけました。

体感温度95度

東京の体感温度 95度ありますよコレは(以下著者略)

?コロってハニー?【official?】

先程お伝えした体感温度を計算してくれるサイトを利用してみるとこのような結果に。

体感温度95度はありえない

気温100度、湿度100度であっても体感温度は93.8度、体感温度95度の壁を超えるのはかなりハードルが高いようです。

体感温度が一番高くなる湿度100%、気温102度でやっと体感温度が95.7度になることを蛇足ながら付け加えておきますね。このTweetをした方はたぶん95℃のサウナに入った状態だよ、って言いたかったのでしょうね。さらに補足すれば乾式サウナの一般的な湿度10%、温度95℃だと体感温度は59.2℃です(苦笑)。

中学の教育は大切、そして自分で調べる習慣が無いと必要以上にわからないことを恐れてしまったり、他人の発言を最初から認めないような拒絶反応を示してしまう人が少なくないようです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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