医師は昔は「お医者さま」と呼ばれ、それはそれは尊敬された時代もありました。
今では「医師」と呼ばれるのはまだマシで「医者」と呼ばれるとちょっと寂しい気もします。個人的には「先生」と呼ばれるのは好みません。まあ、医師といってもトンデモない考え方をする人がいても、不思議ではありません。今ではトンデモさんの古典の分野に入れても良いと勝手に判断した、医師でありながら「大丈夫ですか??先生❗」的な方の著作をご紹介します。
医師が監修したから安心、とは言えないよ❗トンデモさんがゾロゾロ
日夜収集に明け暮れているトンデモ系の医師の中で、今では古典とも言える医師を大きく3つのカテゴリーに分けました。カテゴリーは以下の3つ。
1.医師はこんな余暇をこんな趣味に没頭していたんだ
森鴎外は軍医でありながら、執筆活動を続け文豪にまでなりました。余暇をどのような趣味に費やそうと、本業に差し障りが無ければとやかく言われる筋合いはありません。でも、趣味の世界における著作を医師であることをわざわざ書かなかった方がその後の診療に支障を来さないのでは、と感じた方々です
2.医師が医学的にヘンテコリンな思考にハマっている
下手すりゃ健康被害が起きる可能性がある、あっち方面に行かれた医師の斬新な考え方です。このような医師に巡り合わない方が健康維持にはよろしいようです。
3.トンデモ系医師ですが、そおっとしてあげた方がいい
えーっと、精神疾患は100人に1人は罹ってしまう病気です。医師でも精神的な疾患を患う権利はあります(?)。電波方面の医師もいてもおかしくはありません。
これらの分類に従って典型的なトンデモ医師の方々の活躍をお伝えします。
1.医師が書いた趣味の世界、でもこんな考え方で大丈夫?
1-1.どっぷり趣味の世界に入ってしまった医師
「日本の地名とUFOの記録」橋野昇一 (近代文芸社 )
橋野医師はUFOについて深〜いご興味を抱いてこんな本を書き残しています。初版は1987年ですから、矢追純一さんがUFO番組に出まくっていた1970年代のUFOブームに便乗した軽々しい本ではないと断言いたします。なんせ、この本の内容は日本各地の星とか船(UFOを意味するそうです)がついた所はUFOが着陸した場所であり、それにちなんで昔々に地名がついたと主張されています。
橋野医師はそれだけじゃネタが尽きたのか「UFO = 丸い飛行物体」と解釈することによって「太陽 = 丸い」を導き「日」がつく地名もUFOが目撃された場所であると断言しています。まあ、どんだけ連想ゲームをお続けになるのかと思いつつ読了しました。
1-2.どっぷりギャンブルにハマってしまった医師
「超能力馬券術」江本弘志(世界文化社)
まあ、医師でもギャンブル好きはいても全く問題ないですよね。でも趣味が昂じるとなぜか本を書きたくなっちゃう医師も目にします。カメラが趣味の医師なんて素晴らしい装丁の写真集を自己出版しちゃう酔狂な人もいます。
問題点はこの江本医師は超能力をお持ちであり、超能力を駆使して競馬の予想をされているそうです。まあ、それも許容範囲としますが、武豊騎手が勝ちまくるのは「反重力エネルギーによって自分の体重を軽くしている」とお考えになっています。
医学部の試験では物理はマストではない大学もありますが、少なくとも高校で物理は学んだはずです。ぜひ肥満に悩んでいる方に反重力エネルギーの発生の仕方を指導すれば、それこそ大人気となって馬券で儲かるレベルをはるかに超える収入をえられるとアドバイスいたします。
1-3.陰謀論にハマってしまった医師
「滅亡のシナリオ」川尻徹 (週刊プレイボーイ特別取材班)
現役で活躍している医師の中にも陰謀論を振り回している有名な方がいます。その陰謀論を医療活動に結びつけている点が、かなり問題だと考えています。一方、この川尻先生は医療とは全く関係ないところで陰謀論を唱えていますので、ビジネス目的では無い点で高い評価を与えたいと勝手に思っています。
サブタイトルの「いまも着々と進む1999年への道 」でお分かりでしょうけど、今の若者は知らないと思われる「ノストラダムスの予言」という楽しい話題で日本中が盛り上がった時があったのです。昔々ノストラダムスという学者が散文詩を残していて、それが高確率で未来を予言していたと言い出した人がいました。
川尻先生(なんとはなしに愛着があるので医師をさす「先生」ではなく、尊敬を表す「先生」です)はノストラダムスの予言書をどう読み取ったのか、どのような思考回路でたどり着いたのか常人である私には理解できないのですが安藤広重の東海道五十三次の四日市の中に山本五十六(太平洋戦争開戦時の連合艦隊司令長官)が描かれていると主張されています。
この版画で背を向けている人が山本五十六なんだってさ。ノストラダムスの散文詩は予言ではなく、計画書でありその計画通りに今の歴史は作られているとの陰謀論を唱える川尻先生としては、江戸時代の浮世絵に20世紀の人物が描かれていても全く問題がないようです。
この陰謀論を持って診療にあたっておられたかは不明ですが、少なくとも現在活躍(一部休止)中の陰謀論を振りかざす医師よりは、可愛いので許しましょうね。
ついつい好きな分野ですので、めちゃ長文になりそうです。今回は趣味の世界にどっぷりハマりつつも、別次元の思考回路をお持ちの豪快な医師について書きました。なおこのブログの頭で述べた以下の2つはシリーズ化していきますね。
予告編としてこんなのご用意しております。
2.医師が書いたニセ医学の世界、こんな治療してんの??
2-1.大ベストセラーなった医師のヘンテコな自己啓発系の本
「脳内革命」春山茂雄 著(サンマーク出版)
2-2.先生、大丈夫でしょうか、病名は「おばけ」でいいんですか?
「精神病はおばけの仕業だ」甲斐睦興 著(東京経済)
2-3.歯医者さんも解剖学と生理学も学ぶよね
「歯は中枢だった」村津和正 著(KOS)
3.医師が書いた???の世界、そうっとしておいてあげたい
3-1.色々な人生もありますが、あまり刺激はしないように
「奇跡の人 宇宙の神 北里正治」北里正治 著(千早書房)
3-2.まあ、精神世界方面に行かれるのは勝手ですけど
現在どなたにするか模索中
認知症の方の交通事故が最近注目を集めています。医師でもそれなりの疾患を罹患する可能性はあるわけですから、老化に伴う認知症患者さんの運転の規制とともに認知症を罹患した医師の問題もそろそろ出て来ても良さそうな気がします。
注意:今回、書かせていただいた医師の方は古典的なトンデモ系医師と私の責任において判断したものです。物故者も含まれますが、ペンネームの方も混じり込んでいるために厚労省の医籍確認ページで本当にこの方々が医師であるとの保証はできません。