薄毛とDHT測定キット、そして薄毛治療の今後の明るい見通し。

将来薄毛になることを心配している人は男女ともに3割、現時点で薄毛対策をしてる人の割合は2割弱との調査結果があります。

薄毛対策は市販の育毛ローションなどに頼っている方が多く、医学的アプローチによる薄毛対策はまだ一般化していないようです。

当院では泌尿器科医と美容専門の医師がタッグを組んで薄毛対策・薄毛治療を再生医療として開始の準備中しています。

上記データは「薄毛に関する意識調査2020」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001011.000011414.htmlによる。

男性の薄毛の元凶「ジヒドロテストステロン」って何?

男性が男性である所以であるホルモンとしてテストステロンがあります。テストステロン(testosterone)は睾丸(testis)とホルモンの一種であるステロイド(sterol)とケトン体を表す(one)が語源となって表される男性ホルモンの一つです。

テストステロンが5α-リダクターゼ(5α-還元酵素)という睾丸で作られている酵素によってジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone、略してDHT)に変換されます。DHTが薄毛の元凶であり、DHTは頭髪の特に前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞(毛根に存在して毛母細胞に栄養を送る)にある受容体にくっ付いて毛母細胞が毛髪をふさふささせる働きの邪魔をするのです。

つまり、DHTが薄毛の原因である!!と現代医学でわかる範囲では言い切って間違いありません。

女性も男性に比べれば微量ながらテストステロンが産生されていますので、当然DHTも存在します。となると、女性の薄毛の原因としてDHTが深く関係しているのですが、泌尿器科医の私としては男性の薄毛、Androgenetic Alopecia(略してAGA)に絞って話を進めます。

男性の薄毛AGAのリスク因子を調べる方法

薄毛に悩まされている方の大敵であるDHT、このDHTの量を測定すれば将来的に薄毛になるかを予想できる可能性もありますし、後述の薄毛治療薬の効果をホルモンレベルで判定することもできそうです。

しかし、血液中のDHTを測定したとしてもそのDHTが実際に毛根に到達して発毛育成の邪魔をしているのか明確に知ることは難しいのではないでしょうか?

じゃあ、毛髪のDHTの濃度を測定すればいいじゃん!!

と、考えることもできますよね。実はそのような検査キットが一般で販売されているんだよなあ。ほらねっ!!

DHT測定と再生医療を組み合わせた薄毛対策

でもよくよく考えてみると、泌尿器科医が考えるところのテストステロンが発祥となって、DHTが発毛の邪魔をして薄毛の原因となっているという理論が正しいとしても実際に増えてしまった毛髪中のDHTの量を測定してもAGAの解消にも治療にも全く役立たないような気がするんだけど。

なぜか手元にあるAGA(男性型脱毛症)による 抜け毛・薄毛 リスク検査キットと呼ばれるものをしげしげと眺めながら、「これって何に使うんだ???」と途方に暮れてしまいました。

AGAの治療薬はどれを選べば良いのかな?

薄毛になってしまった男性への治療薬として有名な「プロペシア(Propecia)」一般名だと「フィナステリド(Finasterid)」は薬理学では5α-還元酵素II型阻害薬に分類され、前述のDHTの働きを抑制する効果が認められています。

理論的にAGAのリスク因子であるDHTの働きを邪魔することによって薄毛を改善するとされている薬はフィナステリド以外に「ザガーロ(Zagallo)」一般名だと「デュタステリド(Dutasteride)」という5α-還元酵素1型と2型の働きを抑制する薬も処方されるようになっています。

フィナステリドよりも発毛効果があると考えられているデュタステリドを多分一般の医師よりある理由によって使用経験がある泌尿器科医はデュタステリド濫用に関して少々危惧をしている面があることを書き添えておきますね。

発毛こそ再生医療で治療が可能なんじゃないの?

再生医療という言葉を最近頻回に耳にしたり目にしたりします。この再生医療という言葉がカジュアルというか気軽というか医学的根拠なしに乱用されている傾向があり、医学界全体としても懸念されています。そのために再生医療等の安全性の確保等に関する法律が「再生医療等安全性確保法」という2014年(平成26年)が施行され、厳格に再生医療に関してのルールが定めらました。

薄毛って毛髪を再生すれば治療可能じゃん、と私たちは考えて美容部担当の松下医師が主導して泌尿器科医の経験と叡智、そして美容医療を合体させた男性の薄毛治療に関してめっちゃ面倒臭い書類を作成して厚生労働省に申請の手続きをしています。

美容医療的アプローチであるPRPと泌尿器科医の守備範囲であるDHT関連の知識を駆使しての薄毛治療は有望

とあくまで理論的には判断して間違いないです。実は以前もPRPを単独で使用して再生医療として申請をして治療を行っていたのですが、治療の際に血液を加工するキットの供給が安定していないことによって途中で挫折して申請を取り下げた経緯があります。

今回、京セラのご協力によって毛髪再生に対する正式な申請を厚生労働省に提出しました。2022年早々に当院で施行可能となる予定です。

前述した泌尿器科医が懸念している薄毛治療薬であるフィナステリドやデュタステリドの乱用処方による副作用問題の一つを最後にご紹介しておきます。

フィナステリドやデュタステリドは前立腺に対して縮小効果が認められています。当院でもデュタステリドが前立腺肥大症の治療薬として承認されるための治験に協力したことがあり、その時点ですでに前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAに多大な影響を及ぼすことが知られていました。

5α-還元酵素阻害薬はPSAを低下させることによって、前立腺がんの早期発見が遅れてしまうリスクがあるのです。かなり以前ではあるのですが、たまたま人間ドックでPSAを測定して高値を示した患者さんに焦りまくったAGA専門クリニックから当院へ紹介されてきたことさえあります。

気軽に個人輸入としてフィナステリドやデュタステリドを入手することはリスク含みであり、事前にそれらの薬の副作用を把握しないで処方するクリニックが現在でも無いとは言い切れません(だって、先日もPSAが3桁になってしまっていた患者さんがいたもん)。

私がたまたま、本当にたまたまなだけど手元にある薄毛のリスク因子であるDHTを測定するキットはまっとうな製薬会社、それも私の専門である泌尿器科領域では信頼できる製薬会社が取り扱っているものであることを付け加えておきます。MRさん、DHT測定キットのことを「薄毛占いじゃん」と称してしまったことをここでお詫びさせていただきます m(_ _ )m。

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執筆した医師

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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