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【マイヤーズカクテル点滴】次から次とトンデモを放ってくるヘンテコなクリニック

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タクシー内のうざいクリニックの連作CMを見たことがある方も多いのでは?

そういえばこのクリニックって以前も必要のない検査関連でかなり目にしましたよね、オーソモレキュラーに毒されたクリニックが行っているマイヤーズカクテル点滴療法なるトンデモ系ニセ医学をぶった斬ります。

マイヤーズカクテルは科学的根拠が乏しいビタミン療法と考える理由

補完医療・代替医療と呼ばれるカテゴリーがあり、これらの多くはトンデモというか、医学的根拠がスッカスカである点に注意が必要です。

最近、マイヤーズカクテル点滴療法なる民間医療に毛が生えたレベルのトンデモ治療法を耳にすることが多くなりました。その理由の一つがこのうざい広告なのかもしれません。

にしたんクリニックのタクシー広告動画

クッタクタになってタクシーに乗り込むとこのうざい広告を連作で見させられて気になりちょいとこのクリニック名で検索してみたらマイヤーズカクテル点滴療法を行っていたのです。

このクリニックって、以前は野良検査の広告をバンバンテレビCMで流していたところじゃん!!

野良検査の次はマイヤーズカクテル点滴療法とは・・・

2020年当初からから本年2021年12月に至るまで世界中を蔓延した感染症の検査に関しては以前から複数回私見を述べさせていただいています。

ここのクリニックの名称はてっきり院長先生のお名前だと思っていたら現時点でクリニック名と同じ院長先生は複数箇所あるこのクリニックのHPでは確認できませんでした。もちろん当院五本木クリニックも院長名は「五本木」では無いので、そんなことはどうでもいいのですが、マイヤーズカクテル点滴療法はトンデモ医学の代表格なんですぜ!!

マイヤーズカクテル点滴療法はどのようなトンデモであり、科学的な思考を放棄した限りなくニセ医学であるかを説明します。

マイヤーズカクテルの中身はビタミン剤がてんこ盛り

マイヤーズカクテル点滴療法に関して、確立された医療じゃ無いので様々な流派が入り込んでいてマイヤーズカクテルの中身はこれ!!って感じではないのです、目についたビタミン剤を点滴に詰め込んだだけのものであることがほとんどです。

典型的なマイヤーズカクテルの中身として「What Ingredients are Included in a Myers’ Cocktail? 」(https://www.empowerpharmacy.com/what-is-myers-cocktail)を参考としてみます。

  • ビタミンC、ビタミンB12、複合ビタミンB
  • マグネシウム・カルシウム・亜鉛
  • グルタチオン
  • 生理食塩水

トンデモ系ニセ医学「メガビタミン」さんが好みそうな内容となっていることがわかります。

分子栄養学の分派メガビタミン療法のトンデモ加減に驚いた❗オーソモレキュラーに惑わされないための基礎知識。

分子栄養学の分派メガビタミン療法のトンデモ加減に驚いた❗オーソモレキュラーに惑わされないための基礎知識。

高濃度ビタミンC注射に代表されるメガビタミン療法を信じますか?ビタミン不足で体調が悪くなることはあっても、大量に取ればあらゆる不調・病気が治るわけがないことは、世の中の多くの人はわかってはいるはずです。メガビタミン療法というニセ医学がなぜここまで広まってしまったのか?その歴史を振り返ります。

そういえばメガビタミンを批判したところ、お返しの批判ブログを書かれちまった私ですが、その後のお返事は現時点で頂けていません。

メガビタミン関連ブログ記事に対する批判ブログを書かれた方へお尋ねします。 マイヤーズカクテルの中身であるカルシウムおよび亜鉛がどのような効果があるのかはさらに不明ながら参考にしたウェブサイトでは
  • カルシウム:不整脈の抑制に役立ちます
  • マグネシウム:心臓や血管系のリスクがある人に役立つ可能性があり
  • 亜鉛:免疫システムの調節に役立つことがわかっています

なーんてことが書かれているけど、これらの主張は欠乏した状態では何らかの役に立つかもしれないけど、過ぎたるは及ばざるが如し、であることを報告した論文は多数なんだよなあ。

健康な人がさらに健康を求める、そのような思考回路をお持ちの方はマイヤーズカクテル点滴療法を受けても第三者である私がとやかく言うこともないような気もするけど、素人じゃないんだから医師免許を持った医師が管理する医療機関でマイヤーズカクテルを実施することはどうなんだろうね。

ちなみにグルタチオンは美容クリニックで当たり前のように行われているけど、当院では私がブチギレたことは以前お伝えしました。

【白玉点滴効果なし】グルタチオンの美白効果は臨床的な裏付けは無いんだけどね。

【白玉点滴効果なし】グルタチオンの美白効果は臨床的な裏付けは無いんだけどね。

飲むだけで美白効果!あるとしてグルタチオンを勧めたり「メラニンを作らせない」と「メラニンを黒くしない」があるとして白玉点滴なる名称の施術をおこなっているクリニックがありますが、なんとエビデンスがあるとは言えません。むしろ副作用が心配になります。グルタチオンに美白効果を期待している方は読んでおいてください。

医師がひと様の体内に何かを点滴であろうと注射であろうと入れ込むのであれば、作用機序や効果・効能のエビデンスくらい勉強してからにして欲しいと考えちまうんだよなあ、私は(だから女心がわからない院長ってスタッフに言われちゃんだけどね)。

ヘンテコな点滴の効果効能を読んで爆笑

前掲のマイヤーズカクテルについて詳細な説明をしているウェブサイトの「Who Needs a Myers’ Cocktail? 」を読んで爆笑してしまいました。

・Suffer from low energy ・Perform athletic exercises ・Suffer from chronic fatigue ・Require intravenous hydration ・Seek relief from hangover or withdrawal symptoms2・Suffer from depression or anxiety

https://www.empowerpharmacy.com/what-is-myers-cocktail

エネルギー不足で運動をする慢性疲労に苦しんでいる水分補給が必要な二日酔いから解放を希望する人にはマイヤーズカクテルを!!ってことなんですぜ(笑)

普段から生活習慣で気をつけていればマイヤーズカクテル点滴療法なんて受ける必要ないじゃん!!

そもそもビタミンが不足していることを明らかにする必要があるし、亜鉛などの微量ミネラルが足りないことを証明し、そららが原因となって何らかの病気や病状を引き起こしていることを科学的手法による質の高い根拠ってあるの〜???と、思わずにはいられないマイヤーズカクテル療法の効果・効能ですね

でも、「Suffer from depression or anxiety 」の項目はちょっとに気になります。

トンデモオーソモレキュラー療法がうつ病の治療に効果がある???

マイヤーズカクテルがうつ病に苦しんでいる人の治療に役立つ、これはにわかに信じられません。世界中の医学論文を集めたPubmedでマイヤーズカクテルを使用してうつ病治療をおこなった論文は多数あります。

しかし、「Effect of long-term supplementation with folic acid and B vitamins on risk of depression in older women」(PMID: 25573400)はマイヤーズカクテルの主成分であるビタミンBを長期間服用してもうつ病のリスクは改善していないことを報じています。

さらにマイヤーズカクテルがひょっとして治療効果があるのではと言われていた繊維筋痛症に対してのダブルブラインドで行われた治験に関する論文「Intravenous Micronutrient Therapy (Myers’ Cocktail) for Fibromyalgia: A Placebo-Controlled Pilot Study」(PMID: 19250003)でもプラセボ効果が大きい上に統計学的に有意な差が出なかったと書かれています。

マイヤーズカクテルががん治療として注目されている???

先程のうざい広告のクリニックでは無いのですが、マイヤーズカクテルに関してこのように述べているクリニックがありました。

マイヤーズ医師の死後、彼の点滴処方はエビデンスに基づいて再現され、マイヤーズ・カクテルと命名、全米の補完代替医療のスタンダードな治療法となりました。

https://murakaminaika.com/cure/cure_1.html

このクリニックはHPによれば高濃度ビタミンC点滴によるがん治療(限りなくトンデモ)やグルタチオン点滴、αリポ酸、そして貴レーション治療などのほとんどのトンデモ系ニセ医学を実践しているようです。

さらにこんなクリニックもあります。かなり大天才ながら後半の人生をトンデモ医学に費やしてしまったライナス・ポーリングの妄想であるオーソモレキュラー療法に心酔しているようですね。

高濃度ビタミンC点滴療法は体に優しい副作用のないがん治療として注目されている最新医療です。この治療法はがんの初期、再発予防から手術・放射線・化学療法が無効の進行がんの患者さままで幅広く受けていただくことができます。

https://www.o2-clinic.jp/injection

医学部を卒業して、体系的に医学を学んだはずの医師免許を持った医師がなぜこのようなトンデモに走ってしまうのでしょうか?来年2022年も例のうざい広告のクリニックが次はどんなトンデモを繰り出してくるのか定点観測しまーす。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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