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褐色脂肪細胞と肩甲骨ダイエットの深くない関係、肩甲骨には痩せポイントがある?!はニセ医学??

ダイエット関連の話題でたびたび取り上げられるキーワードの1つが褐色脂肪細胞。これは体内にある脂肪の種類のひとつなのですが、褐色脂肪は刺激されると、通常の運動とは比べ物にならないほどの脂肪が燃焼されるという特徴があります。

褐色脂肪が多いとされているのが肩甲骨付近です。つまり肩甲骨を意識的に動かすことで簡単にダイエットできるというのが肩甲骨ダイエットの理論です。褐色脂肪を刺激するのに運動は必要なく冷やすだけで痩せるといった説もありますが医学的根拠は一切ありません

この褐色脂肪でらくらくダイエット話は、定期的に流行ります。理論だけきくともっともらしいのです。年に何回か必ずテレビ番組に登場します。褐色脂肪(BAT細胞)およびベージュ脂肪細胞についてはまだ研究段階で不明点が多いのです。

なぜ、このようなもっともらしいニセ医学情報が広まるのか?肩甲骨ダイエットの嘘・ホントについて医師が解説します。

肩甲骨ダイエットと褐色脂肪細胞のもっともらしい関係、ウソとは言いませんけど⋯本当ではないです

ダイエットマニアの間で褐色脂肪という言葉が話題です。脂肪のくせに脂肪を減らす作用をもった「褐色脂肪細胞」というものがあり、肩甲骨周辺に密集しているから肩甲骨を動かせばダイエットできるという非常に判りやすい理論のダイエット法なんですが、それって本当なんでしょうか?肩甲骨とダイエット、その理論的裏付けである褐色肥満細胞について検討を加えました。

褐色脂肪細胞の分布図

https://www.nature.com/articles/nrendo.2013.204

確かに褐色脂肪組織は肩甲骨周辺に有りますが、使われている図、これネズミですね。

人間にも褐色脂肪組織は存在しているものの赤ちゃんの頃は豊富ですが、成長とともに減少していきます。

この褐色脂肪細胞の働きがダイエットの関係が証明され、褐色脂肪細胞の働きを活性化するには肩甲骨の運動が有効と証明されて初めて、肩甲骨ダイエットの医学的理論の裏付けができるんですが、残念ながら現時点の医学的見解は「間違い」という結論になってしまいます。

そもそも褐色脂肪とはなんでしょうか

褐色脂肪細胞は英語でBAT:Brown adipose tissueといいます。脂肪には白いのと褐色の2つの種類があることから話は始まります。赤ちゃんや冬眠する動物がエネルギーを生み出すために運動をしないでも熱を生み出すという不思議な働きに注目が集まりました。

脂肪細胞をダイエットで減らすためには運動がマスト事項となっていますが、だまっていてもこの褐色脂肪細胞を刺激すればエネルギーとして使われるために、脂肪が減ることになりますので楽チンに余分な脂肪を失くすことができるということになります。

この褐色脂肪細胞はノルアドレナリンの刺激によって熱を生み出します。ノルアドレナリンは人間の体に対しては主に興奮状態を起こす作用がありますから、エネルギーが消耗されて瘦せそうなイメージは確かにあります。でも、この褐色脂肪は赤ちゃんには豊富にあるけど、ある一定の年齢に達すると全脂肪に対する割合として少なくなるために、ダイエットに有効活用はできないとされていました。

しかし、「Developmental Origin of Fat: Tracking Obesity to Its Source」(Volume 131, Issue 2, p242–256, 19 October 2007)というタイトルで褐色脂肪細胞が「Cell」という非常に高尚な医学専門誌に掲載されたあたりからダイエット業界の動きが激しくなって来ます。

Developmental_Origin_of_Fat__Tracking_Obesity_to_Its_Source__Cell

Developmental_Origin_of_Fat__Tracking_Obesity_to_Its_Source__Cell

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(07)01272-X

肩甲骨を動かすことによって褐色脂肪が活性化?肩甲骨には、痩せポイントがある!?

赤ちゃんは褐色脂肪が豊富です。これは褐色脂肪細胞が生命維持のために活発に活動するためです。体が成長するに従って褐色脂肪細胞は必要なくなり大人になるに従って機能しなくなる・少なくなるいうのが医学的常識でしたが、最近は成人でも褐色細胞がある程度残っていることがPETを使う検査などで指摘されてきました。冬眠状態のように体が冷えると残存している褐色脂肪細胞が働きだすこと、褐色細胞が元気でないと内臓脂肪が増える傾向があり、血糖値も高くなるということもわかって来ました。

じゃあ、この褐色脂肪細胞ってどこにあるのよ?という質問がでるでしょうけど、それが胸や肩周辺、そして「肩甲骨」の周りだったのです。ですが、やっぱり人間の場合は、大人になるとほとんど残っていないのです。女性は男性よりは残っているようですが多くてもせいぜい数十グラム。そのわずかに残った褐色脂肪細胞が機能するのは、生命の危機に瀕したときです。雪山で遭難した時、ならイメージしやすいのではないでしょうか?

ダイエット業界のリサーチ能力には頭が下がります

別に医学論文が全てではありませんし、STAP細胞のようなこともありますから、ネイチャーに掲載されたことが全て真実ではないは当然です。肩甲骨ダイエットの医学的裏付けとして、褐色脂肪細胞のことが間違いなく登場しますけど、運動によって活性化されてダイエットに有効な働きがあるという実験も見当たりませんでした。

ネズミに肩甲骨を積極的に動かさせて褐色脂肪細胞が活性化できるような実験

でもいいんですけど、ネズミはそこまで人間に協力的ではないでしょうね。

肩甲骨を動かしてもダイエットはできませんが、運動することで活性化する脂肪はあります。ベージュ脂肪細胞というものがあります。白い脂肪と褐色脂肪の中間的な脂肪です。

ベージュ脂肪細胞は英語でbrownとwhiteの中間ということでbrite、またはbeigeと呼ばれています(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0005272814000553)。白色と褐色の2種類とされてきた脂肪に加えて新たに第3の脂肪の発見ということで呼び方が決まっていません。このベージュ脂肪をbrownerな脂肪と表現した海外の論文があったのですが、それをbrownとして解釈し訳してしまった、つまりベージュ脂肪細胞と褐色脂肪細胞を混同して誤った解釈をしているケースがダイエットやトレーニング界隈の自称専門家に多いのです。彼らはいうのです。海外の研究で発表されていると。でも間違った解釈をしているのです。

ベージュ脂肪細胞については、研究が進んでいますので、今後に期待です。ですが、結局は運動しないと駄目なんですよ。それは間違いありません。

楽して痩せたいなら、医療ダイエット、ということになります。