ラーメン1杯で塩分1日分なので命が縮まる、って今さらだけど❗

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私のブログは本来なら女性に読んでもらいたいところですが、ついついオッサン目線で記事を書いてしまうので、類は類を呼ぶ的に男性(中年以降)の読者が多くなっています。

今回は、おっさんはみんな大好き、女性もたまには食べたくなるはずの日本のソウルフード「らーめん」のお話です。

オッサンの間ではラーメンのスープは塩分たっぷりで健康に悪いことは常識です

女性の目を引く、女性の役に立つ内容を書こうとネット上を彷徨っていたら「女性をちょっと生きやすくするオンナ目線のニュースサイト ウートピ」というサイトにこんな記事が掲載されていました。

ラーメン1杯で【塩分1日分】スープを全部飲むのは命を縮める行為

これはオッサンの間では常識化しており、健診や人間ドックを受診するたびに指摘されていることです。しかし、この常識が女性の間で話題になるということは、女性はあまり塩分に関しては危機感を持っていなかったのか、と驚愕している次第です。


前述サイトより

厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は

・男性10g未満、女性8g未満(日本人の食事摂取基準 2005年版)

となっていますが、高血圧学会のガイドラインだと

・高血圧患者さんは1日6g未満(高血圧治療ガイドライン2009年版)

を目標とするように指導しています。

塩分と関係ない高血圧⋯食塩感受性という問題

実は塩分をいくら控えても高血圧が改善しないということがあるんです。

食塩感受性高血圧⋯塩分を控えると高血圧が改善する

このような方は塩分を1日6g未満に控えることで高血圧症自体の改善が期待出来ます。

食塩非感受性高血圧⋯高血圧に塩分があまり関わっていない

いくら塩分を控えても高血圧症が良くならないという驚きの体質です。

この食塩感受性と食塩非感受性の高血圧については、かなり昔から論議が繰り返されていました。日本の研究者によってこの差は遺伝子上の問題であることが最近わかってきています。

塩分の摂り過ぎによる血圧上昇機序は実のところ良く分かっていません。また、塩分を摂りすぎると高血圧になりやすい(食塩感受性の高い)人となりにくい(食塩感受性の低い)人がいます。最近我々は、食塩感受性高血圧の分子メカニズムを明らかにしました。食塩感受性の高い(食塩感受性)高血圧ネズミでは食塩を摂りすぎることで腎臓の交感神経が活発になり、塩分排泄に関わる遺伝子(WNK4遺伝子)の働きが抑えられてしまう結果、体にナトリウムが貯留して血圧が上昇することを世界に先駆けて明らかにしました。

東大先端研の臨床エピジェネティクス講座の藤田敏郎教授のサイト(http://www.c-epi.rcast.u-tokyo.ac.jp/message.html)より

いくら塩分を控えても高血圧が改善しない人も入れば、メチャクチャ塩分たっぷりのラーメンをスープまで飲み干しても全く高血圧にならない人もいる、ということになります。

ラーメン1杯は塩分1日分 スープを全部飲むのは命を縮める行為
http://jirouchudoku.blog66.fc2.com/blog-category-33.htmlよりお借りしました。

オッサン達は○郎のラーメンで、味の濃い・つまり塩がキツめの「辛め❗」とリクエストすると同時に「野菜❗」と声をかけてバランスの良い食生活に気をつけています(「アブラ❗」も追加する人多し・全マシも)。

なぜ高血圧では健康に悪影響があるのか?という単純な疑問

ラーメン二○でも最近女性のお客さんを見かけることが多くなっています。だから女性に対してラーメンのスープまで飲んでしまうと「命を縮める行為」なんて過激な言葉で問題提起したのだと大人の解釈をします。では、高血圧症になるとなにが問題となるのでしょうか?

高血圧だと心臓に負担がかかる

高い血圧を生み出す為にはポンプとしての心臓が必要以上に仕事をしなくてはならないので、負担がかかり心臓が肥大してしまうということです。

高血圧だと血管の壁が厚くなる

血圧に耐える為に血管が厚くなってしまい動脈硬化の原因となる、ということです。心臓に負担がかかり、心臓自体の血管(冠状動脈)が動脈硬化になってしまうと、血管が詰まりやすくなるために狭心症や心筋梗塞を引き起こしてしまうから、高血圧だと寿命が縮まる可能性が高まります。

高血圧だと脳の血管が硬くなる

脳の血管も高血圧によって硬くなると、脳梗塞や脳出血を起こしやすくなってしまいます。

つまり、日本人の死因の上位を占める心疾患、脳血管疾患は高血圧症が原因となることが多いので、高血圧症は治療するなり、生活習慣を変えて予防しましょう❗ということなんです。

目からウロコの高血圧症患者さんのお言葉

見た目からしてエネルギッシュな中年男性が頭がフラフラするといって当院を受診しました(当院は美容系もやっていますが、地元密着型のかかりつけ医機能も備えています)。顔も赤ら顔なんで、血圧を測定すると収縮期血圧(いわゆる上の血圧)が200近くあり、高血圧症と高血圧症によるめまいと診断して降圧剤を処方しました。

本来ならば生活習慣等を改めて頂き、毎日血圧を家庭内で測定してもらって数週間以上かけて初めて「高血圧症」と診断するべきなのですが、さすがにこの血圧だと緊急的に降圧剤を処方する対応をしました。高血圧の弊害を伝えたところ、エネルギッシュ&ポジティブシンキングな男性はにっこり笑って私に言いました。

「先生、血圧の薬さえ飲んでいれば俺はこれで心臓の病気にもならないし、脳の血管が切れないですむね、あとはガンの心配だけだね」⋯確かに❗

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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