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入手困難な状況下で、蚊に刺されない方法としてアルコール消毒を紹介する健康情報サイト。

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蚊は生き物の中で最も人類の命を奪っています。蚊はジカ熱やマラリアやデング熱や日本脳炎を媒介することが知られています。

一方で蚊に刺されない方法が夏が近づくと健康関連サイトで紹介されことが恒例になっています。

2020年は新型コロナが世界中で拡散し、マスクや消毒用アルコール不足が大問題になっています。そのような中で蚊に刺されない方法としてアルコール消毒を伝えている記事がありました。

アルコールが手に入らない時期になぜそのような記事が掲載されたのでしょうか?

足のニオイを消す方法は蚊を寄せ付けないプラス効果が期待できるかも

私が実践している足の悪臭を消し去るとっておきの方法を以前ご紹介しました。

気になる足の臭い、悪臭を消す簡単な方法を発見しました!これは人類を救うかも??

気になる足の臭い、悪臭を消す簡単な方法を発見しました!これは人類を救うかも??

足のニオイは誰もが多少気にするニオイです。特に冬の足のニオイには女性は特に敏感になるはずです。世の中には足のニオイ対策グッズが溢れています。女性用はもちろん男性甩も。足のニオイの原因からおさらいし、ニオイを消す方法を科学的に解説してみます。手指の消毒が習慣になりましたが、なんと手ピカジェルで足のニオイが消えるんです。

この記事で壮大な誇大妄想的な文言「人類を救う」をぶち上げたのは、当たらずとも遠からずだったようです。というのも自由研究で妹さんを実験台として、足を消毒すると蚊に刺されにくくなることを証明した当時高校生だった田上大喜くんはその後海外の大学で研究を重ねているそうですね。

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https://www.statista.com/chart/2203/the-worlds-deadliest-animals/

蚊は人類の命を1番奪っている生きものです。

田上大喜氏は発見したことは蚊のメスは足に多数の常在菌をもっている人の血を吸う傾向があることを実証しました。逆に考えれば足の常在菌を消毒すれば、蚊にさされることが少なくなるはずです。

ちなみに田上氏の家族で1番足のニオイがきつかったのはお父さん(まあ、予想通り)であり、実験台にされちゃった妹さんの足は全く臭わなかったそうです(https://jisin.jp/life/living/1595315/による)。

そこで妹さんの足の常在菌を培養して調べたところ常在菌の種類が多かったことを発見しました。素晴らしい探究心と発想、将来はエポックメーキングな発見や発明を考案する研究者になる予感がします。

アルコール消毒が蚊を寄せ付けない可能性があったとしても、この使い方ダメ。

危険だよ❗「殺虫剤を使わないでアルコールスプレーで蚊を撃退」は下手すりゃ火災発生!

危険だよ❗「殺虫剤を使わないでアルコールスプレーで蚊を撃退」は下手すりゃ火災発生!

主婦向けサイトに蚊を撃退するために、消毒用アルコールを噴霧すると良い、と書かれた記事がありました。消毒用アルコールは消防法上は危険物第4類であり、引火性液体とされています。そもそも消毒用アルコールは空間に噴霧して使用することは想定されていません。くれぐれもご注意ください。

消毒用アルコールは消防法上の危険物第4類、つまり引火性液体です。

こんな既視感のある記事を見かけました

私が足のイヤなニオイを消す方法とブログ記事にしたのが2018年11月09日、高校3年生だった田上大喜さんが足の常在菌と蚊にさされることの関係性を自由研究で発表して話題になったのが、2016年。

でもこの記事は2020年6月18日に書かれています。

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オリーブオイルをひとまわし「蚊よけには足の裏の消毒が有効?夏に多い蚊の対策ポイントを解説!」(https://www.olive-hitomawashi.com/selfcare/2020/06/post-640.html)より

そんな蚊だが、実は誰に刺すのかを「足の裏」のニオイで判断しているという。何でも、足の裏のニオイを嗅いだ蚊は、交尾を始めるそうだ。

と明らかに田上さんが発見したことを伝えています。さらに

足の裏にも常在菌が存在する。その常在菌の集まりである「細菌叢(さいきんそう)」が特殊なニオイ(化学物質)を出すことで、蚊を興奮させるそうだ。

これって田上さんが研究した結果から導き出した結論とまんま一緒ですよね。

このような場合、常識的には引用先やインスパイアされた元ネタを明記します。しかし、このオリーブオイルをひとまわしの記事中には参考文献も引用元もなーんにも記載されていません。

続いてこのオリーブオイルをひとまわしの記事は

実際、足のニオイが関係していると発見した人が行った試験では、足を拭く前と後では蚊に刺される箇所が3分の1程度まで減少したそうだ

とも書かれています。

この発見した人って田上さんのことですね。

なんで「発見者の田上氏によれば」とか書かないのでしょう?元ネタを隠す事情があったのでしょうか?

発見者が言っていないことが、言っているように見えちゃう記事

このオリーブオイルをひとまわし、ちょっと以前から定点観測していた情報サイトです。

以前オリーブオイルをひとまわし関連ブログ記事を書きました。

男性向けメディアの「平熱を上げる方法とは?」が楽しすぎる。

男性向けメディアの「平熱を上げる方法とは?」が楽しすぎる。

「温活」系の情報は、体を冷やすのはよくないという情報と相まってもっともっらしく思えてしまう健康情報ですが、新型コロナ対策で、体温を測る・計測される機会が増えた現在、平熱が高いことって本当によいこと?と疑問に思いませんか?世の中にあふれる平熱を高くして健康にという情報の見方をちょっと変えてみましょう。

私としては素人ライターがネットで集めた健康関連記事を参考に医学のことは全く調べもしないで書いたものに見えちゃいました(※個人の感想だよ)。

今回のオリーブオイルをひとまわしの蚊に刺されないようにするための方法の記事が元ネタというか一次ソースは全く記載されていないことはご理解いただけたと思います。

この記事は

ほかにも酢やハッカ油、ティーツリーオイルなどにも蚊が苦手とする成分が含まれているらしく、これらを使って足の裏を拭いた場合にも蚊に刺されにくくなるという。

と続けています。まるで田上氏が酢やハッカ油、ティーツリーオイルが蚊を寄せ付けないと実験で証明したかのように書いています。

こんな記事があります。

靴下を新品なものにはき替えるだけでも刺される数は激減しました。山椒や酢、アロマで使われるティーツリーオイルの匂いにも、蚊よけの効果が。蚊が苦手とする成分があるようです。

https://jisin.jp/life/living/1595315/

女性自身 「足消毒で蚊に刺されない」発見したスーパー高校生の現在

なーんだ、女性自身の記事が元ネタだったんだ。「引用元 女性自身」とか「参考文献 女性自身」とは書きにくいでしょうね。

でもさあ、健康関連記事って下手すりゃ健康被害の原因になる可能性もあるんだぜ。やっぱり参考文献とは言わないけど、参照にした記事やインスパイアされたネタに関しては尊敬の念を抱いてしっかり記載するべきですよ。

オリジナリティを出したいならこの程度の努力をするべし❗

ネット上の記事って既視感があるものが少なくありません。ネット記事で成り立っている会社、特に健康情報・医療情報であるならば、どっかで拾ってきた記事や素人ライターに依頼した記事は載せるべきでは無いと思います。

田上氏よりはプロっぽい人たちが蚊はどのようにして集まってくるかを研究した論文があります。

「Mosquito Attraction: Crucial Role of Carbon Dioxide in Formulation of a Five-Component Blend of Human-Derived Volatiles」(PMID: 26026743)では人間が発するニオイの物質と蚊に刺されやすさの関連性を調べています。どのニオイの物質も二酸化炭素をプラスした方が蚊をおびき寄せてしまうことが結果として導かれています。

蚊がどのようなセンサーを人間を見つけて血を吸うのか、田上氏の研究とあわせて蚊に刺されないような方法が早く開発されて欲しいです。私はかなり蚊に刺されやすいので、「パパがいると夏は助かるね」と足が臭くて汗臭いオッサンに蚊がターゲットを絞っているような発言を聞かないですみますから。

健康系医療系の情報を提供するサイトなら自分である程度は時間を掛けて一次ソースを探すなりしたり、ちょっと面白い医療論文を見つけてオリジナリティかつ信頼度を高めるべきだと思います。

オリーブオイルをひとまわし、この記事は最後はこのように締めています。

蚊に刺されないためには足の裏をきれいにアルコールで拭いておくのがよさそうだ。

あのさあ、医療機関でも消毒用アルコールは入手困難なんだよ❗今後も目が離せない「オリーブオイルをひとまわし」です。

おまけ:足の臭いを消しつつ、蚊を寄せ付けない方法にマストアイテムが入手できない2020年

2020年は新型コロナの影響で様々な医療グッズや衛生グッズが入手できない状況です。私は足の臭い予防に手ピカジェルを愛用していました。毎日使っていましたので、ある程度は買いだめていたのに、予想以上に長引いている新型コロナ感染症禍によって在庫切れになりました。Amazonでいつものようにオーダーしようと思ったら、めちゃくちゃ高額(ボッタクリとの表現もありますね)。

医療機関であっても問屋さんに発注しても消毒剤は入手できない状況がいまも続いております。そこで様々な代替品を使ってみました。でもやっぱり手ピカジェルが1番しっくり来るんだよなあ⋯。

手ピカジェルは消毒用アルコールに潤い成分であるヒアルロン酸が入っています。院内のオバサマ方管理の掃除用具を収納している棚の奥にひっそり隠れていた消毒用アルコールを私は発見しました。

自分専用の手指用消毒剤として、当院の美容部が使っているヒアルロン酸を5本程度混ぜ込んで、手ピカジェルに近いものを作ることができました。

後で経理担当者にめちゃくちゃ怒られたけどね、だって私が使ったヒアルロン酸の合計金は10万円近くになっていたからです。

ボッタクリ価格の手ピカジェルを素直に購入していたほうがめちゃくちゃ安上がりでしたとさ。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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