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新型コロナの感染拡大、そもそも正確なデータが見つからない大問題があります。

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新型コロナは感染拡大傾向にあり、第2波到来か、とメディアが報じています。

検査数を増やせば当然陽性者も増えると考えられます。しかし、陽性者数が報じられても、そもそも何人に対して検査を行ったのかという重要なデータが探した限りでは見つけることができないのです。

正確なデータを把握できないのに、何を根拠として感染拡大、第2波到来と判断しているのか、疑問があります。

新型コロナ、東京は第2波が来たのかを論じる前に正確なデータが無い

私は医師です。昨日東京では新型コロナ感染者が107名と発表され、本日2020年7月3日は124名の感染者が出たことがニュース速報としてテレビを中心としたメディアが報じました。

私は新型コロナの感染者数等のデータに関してはここ数ヶ月は東京都の「都内の最新感染動向」と東洋経済の「新型コロナ国内感染の状況」とworldometersの「へんてこな感染症 PANDEMIC」を利用して、一町医者として感染状況等を把握してました。

この3つの信頼度が高いと一般的には考えられているサイトであってもデータに違いがあり、どれが正しいデータであるのか?どのサイトのどの指標が新型コロナの感染状況を把握しやすいのか、迷いが出てきています。

感染症は専門外だとしても、新型コロナの感染状況が把握しにくいのですから、一般の方はさらに混乱しているのでは無いかと思われます。

私が今一番知りたいデータは何人に対して検査を行って陽性者が107名、あるいは124名であるかです。

検査した人数がわからないと陽性率が把握できない、でも信頼できるサイトであっても数字に違いがあった

昨日、2020年7月2日の東京における新型コロナ感染者数が107名と発表され、小池都知事は「感染拡大要警戒」という、これまたわかりにくい言葉を会見で披露しました。

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新型コロナであると診断するためには現在はPCR検査と抗原検査が使用されています。検査をすればするほど、検査の範囲を広げれば広げるほど陽性者と判定される人の数は増えても、検査数に対する陽性者の割合は減るはずです。

以下は2020年7月3日16時のデータです。

東京都のサイトは7月2日の新規患者、つまり新たに新型コロナであるとされた患者さんは107人になっています。

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見やすいと評判の東洋経済のサイトは7月1日の検査陽性者が67名となっています。

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そこで東京都のサイトの7月1日の検査陽性者の数を見てみると67名になっているので、東洋経済のデータは東京都のデータより遅れていると考えられます。

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何名に検査を行って、検査陽性者が67名との結果が得られたのかを知りたいと私は考えました。

どうやって陽性率を計算したんだ?そもそもの検査数がサイトによって違いがあるような⋯

東京都のデータに「旧モニタリング指標 (6) PCR検査の陽性率」があります。すると7月1日の陽性者数は125人❗となっているのです。

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現時点で7月2日のPCR検査陽性率は東京都のデータにはありません。7月2日の新型コロナ新規感染者数が107人であることで大騒ぎになったのに、7月1日ですでに陽性者は125人もいることになっています。

たぶん、この陽性者の中には退院の手続きでPCR検査を行ったが、残念なことに再度陽性判定をくだされた人が含まれていたのでしょうね。7月1日に陰性と判定されて人は1498人。

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陽性者125人+陰性者1498人=1623人にPCR検査が7月1日に行われたことがわかります。

しかし、東洋経済のデータでは1842人になっているのです❗

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データをざっくり見た時は「抗体検査も含まれているのかな?だから違うのかあ」と一瞬は思いました。しかし、両者ともにPCRの検査数と書かれてます。

東京都のデータは東京都健康安全研究センター・PCRセンター・医療機関での保険適用検査の合計です。一方の東洋経済のデータは厚生労働省による都道府県発表の転記となっています。

厚生労働省の「新型コロナ陽性者数 (チャーター便帰国者を除く) とPCR検査 実施人数」だと日毎の検査数は公表されていません(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000645671.pdf)。

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7月1日に行われたPCR検査実施数さえ私には正確な人数を見つけることができないのです(まあ、私に検索能力が足りない可能性もありますけどね)。

検査数が不明なのに、陽性率をどうやって計算したのか?

東京都の7月1日の検査陽性率は4.0になっています。検査総数は1623人、陽性者は125人ですから

125人 ÷ 1623人 =0.077、つまり7.7%❗ってことになるので、4.0%は累積の陽性率であると考えられます。

一方の東洋経済の7月1日にデータは検査数1842人、陽性者67人ですから

67人 ÷ 1842人 =0.036、つまり3.6%です。

東京都のデータを見ても、東洋経済のデータを見ても、7月1日に検査を行った人のうち何人が陽性だと判定された陽性率がわからないとの結果になってしまっています。

世界的に見た場合、日本の致命率は高いのか、低いのか?

現時点では先進国のなかで日本は感染者数が少ない、死亡者数も少ない、人口100万人あたりの死亡者数も少ないことは前掲のworldometersのデータから明らかです。

worldometersではトップに世界中の新型コロナ感染者数と死亡者数が書かれています。

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世界中での新型コロナの致命率は

524406人 ÷ 1100102人 = 0.48、致命率は4.8%

日本全体では厚生労働省のデータによると7月2日0:00現在(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_12198.html)で新型コロナ感染者18545人、死亡者974人なので致命率は

974人 ÷ 18545人 = 0.53、致命率は5.3%

東京都のデータだと陽性者6399人、死亡者325人なので致命率は

325人 ÷ 6399人 = 0.51、致命率は5.1%

以上のような結果になってしまいます。

新型コロナの致命率は世界4.8%、日本5.3%、東京5.1%ということになります。

以上より、新型コロナの致命率は5%前後と予想を上回る高さであるとの考え方もできます。

新型コロナ感染状況を正確かつタイムリーなデータはどこ〜?

私がなぜ検査数を知りたいのか、というと検査数を増やす、検査範囲を絞らないでガンガン検査をすれば陽性率は低下するはずだと、常識的な思考でいままで新型コロナを捉えていたからです。

しかし、検査数に対する正確な陽性者数が把握できないと、陽性率がどのように変化しているか理解できません。

私は統計学は全くの専門外、感染症は専門としない一町医者です。それであっても普通のオジサンよりは感染症のことは理解しているつもりです。医師であるからには正確なデータをもとにするべきだと常々考えています。

私の能力が及ばないためである可能性も高いとしても、その日その日の検査における陽性率さえ知ることができませんでした。

一般の方やメディアが混乱しても、しかたが無いと考えせざるを得ないのです。さらに不確かなデータをもとにして、議論をすすめることはよろしくない、と考えます。

どこにタイムリーかつ正確なデータがあるのか、ご存知の方がいらっしゃったらご教示いただけると、大変うれしいです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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