「トンデモ医師列伝」古典編その2 愛すべき人々

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私のライフワーク的な趣味としての「トンデモさん」、これって多くの方が誤解しています。

トンデモさんの定義?としては、本人が意図しないのに、ヘンテコな方面に話がいっちゃう、あるいは超飛躍した解釈で自分の理論に自己満足する、他人様にはそれほど迷惑のかからないものが、愛すべきトンデモさんです。

トンデモさん、でも憎めない医師の方々

最近、補完治療として見かける医学的、科学的な考え方からかけ離れた理論で患者さんの治療に当たっている医療関係者を多く見かけます。これはトンデモさんというよりは「とんでもねえ医師もいるもんだぜ」です(笑)。

「トンデモ医師列伝」古典編その1 医師にもこんな素敵な方が沢山いるよ❗ 

に続き、とんでもねえ医師じゃなくて、愛すべき医師免許保有のトンデモさんの著作を紹介しつつ、書評を書かせていただきます。なお、書評はあくまで私個人の独断的な感想ですので、取り扱いにご注意くださいませ。

「脳内革命」大ブームを起こした春山茂雄医師の著作群

春山茂雄医師は東大医学部卒業という、素晴らしい経歴の方です。病院を営んでいた1995年に「脳内革命」(サンマーク出版)をお書きになり、大ブームになったことを覚えてらっしゃる方も多いのではないでしょうか?脳内から分泌されるエンドルフィン(このブームでエンドルフィンって言葉を知った人多数と推察)が、幸せを生み出すポイントであり、さらにこのエンドルフィンが老化防止・病気の予防にもつながるという、究極のポジティブシンキングを主張された内容です。

この本以降、脳内麻薬的な解釈をされたエンドルフィンを理論背景とした健康本が続出しました。この本がトンデモさんと判定されるのは、最終的には啓発セミナー的な内容になってしまっているからです。

春山茂雄医師は必要以上に目立ってしまったために、センテンススプリング方面に取り上げられて、いじめられました。当時の記憶として「週刊文春とはいえ、医療系についてはこのレベルなんだ」と感じたことがあります。

まず、当時の記事中に「春山医師は院内で聞いたこともないような薬を使用している」があります。実は当時から春山医師はジェネリックを多用していたために、院内告発記事で「聞いたことのない薬」って書かれちゃったのです。今は行政の指導もあり、積極的にジェネリックを使用することが推奨されています。さすが若くして病院を経営する東京大学卒の春山医師は未来を見据えていたのです(ヨイショ)。

あと「春山医師は東急ハンズで買ってきたようなパーツを使って手術をする」的な内容が書かれていた記憶があります。これも医療現場を知らない人が言っていることと推察されます。手術道具に凝る医師は自分専用の手術器具を特注しますし、自分で使いやすいように、それこそ東急ハンズで買ってきたパーツを既存の手術器具にくっつけて使用したりすることありますもんね。

メディアにいじめられたためか、経営していた病院は現在閉鎖になっています。しかし、ポジティブシンキングの医学的理論(独自の)をお持ちの春山医師は現在は他の病院を経営されています。

精神科の医師が精神病の原因を突き止めた?

「精神病はおばけの仕業だ」(甲斐睦興著 東京経済)という本があります。内容は甲斐医師が日常の診療で遭遇した患者さんとのやりとりが中心ですが、どうもこの方は精神科領域の疾患の主原因は「おばけ」と考えています。先日、世間を騒がせた医療情報サイト(これはトンデモさんではなく、とんでもねえです)にも、肩こりの原因として「霊」が挙げられていたことは記憶に新しいですよね。

この甲斐医師も経歴は私学の雄である慶應大学医学部卒です。非常に素直な性格の医師であり「患者さんの言うことは事実である」との考えで日常の診療を行っていました。一般的にはアルコール依存症や薬物依存症の方の異常体験や見えている世界は「妄想」と表現されることが多いのですが⋯。

本の中で入院中の患者さんが行方不明になったエピソードがあります。その時に甲斐医師は「患者さんは忍術隠れの術を使いおったな」と表現しています。患者さんサイドとしては、自分の病状を良く理解してくれる良い医師だったのかもしれませんね。

これはそおーっとして置いた方が良さそうです⋯

「奇跡の人 宇宙の神 北里正治」 (北里正治著 千早書房)という本があります。トンデモさんの本収集マニアにとっては垂涎のレアモノです。

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内容はご自分の学生時代の成績表や自分を排斥しようとする学会への内容証明、また診断書などで埋め尽くされています。また、平成8年の衆議院選にも立候補されていて、その選挙公報(手がき)も掲載されています。北里医師はノーベル賞候補に挙げられながら、自分が受賞できないのは陰謀によるものであると考えているようです。ちなみにご専門は「がんの免疫療法」だそうです。

どうでしょうか、医師であってもこんなに愛すべきトンデモさんがいらっしゃるのです。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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