採血で失敗されない方法&痛みなく上手に採血してもらうコツはこれ❗

血液検査の際に下手っぴな医師や看護師に当たると最悪、注射器の針を刺しつつグリグリされたり、必要以上に痛かったり、採血後に皮下出血を起こしたり。

採血が下手な医師や看護師の腕が上達するのを待つより、患者さん自身の工夫と努力で、痛くなく一発で血液が採れる方法がないかと模索しました。

血管が出にくい人は検査前に身体をあたためましょう!

採血に失敗するのは患者さんが悪いわけではありません。採血する医師や看護師や大病院だと検査技師が悪いのです。採血に失敗したときの医療従事者サイドの言い訳は、「血管がわかりにくい」が多いです。採血するときに針をさす血管は静脈で、自分の静脈の分布を知り尽くしている患者さんなんているわけないです。

一番安全で採血しやすい静脈は肘の内側にある肘正中皮静脈です。静脈は動脈と並走していることが多いのですが、この肘正中皮静脈は動脈と並走していないために採血に適しているからなのです⋯下手して動脈に針を刺されたら悲惨なことになりますから。

肘正中皮静脈以外を医師や看護師が狙いだしたら危険信号が灯りだしたと認識してください。そんなときに患者さんに聞こえるか聴こえない程度の声で医師は言っているはずです、「血管がわかりにくい」と。

暑いときは身体の熱を発散させるために、静脈の血管は拡張します。冬場に採血する場合は前もって身体を温めておけば採血する血管も拡張して、「血管がわかりにくい」と言われてしまうことは少なくなるはずです。

医師や看護師は採血する時に血管がわかりにくいなら、失敗する前に蒸しタオルとかで採血したい血管を温めればいいのに。

とにかく、採血に失敗されないコツは血管をわかりやすくすることです(医師や看護師の皆さんは、まずは血管をわかりやすくする努力をするべし)。

太っているから、皮下脂肪が厚いから採血に失敗される

採血時に失敗される人の特徴として、ちょっと肥満気味があります。皮下脂肪が多いと肘正中皮静脈がわかりにくいことが多いためです。じゃあ、血液検査のために痩せよう、と考える人はまずいないでしょうね。

太り気味の人であっても、橈側皮静脈や尺側皮静脈は目で見えないでも駆血帯で締め付ければ浮き上がってきます。しかーし、尺側皮静脈の付近は正中神経が通っていますし、すぐ近くを上腕動脈が通っています(肘の内側でドクドク脈拍を自分でも触れることができる動脈です)。下手してここに針を刺してしまわれると、皮下出血だけではなく血腫になってしまうリスクもありますし、神経損傷の可能性もあります。

左腕の血管図

これは左腕です。普通は利き腕ではない方の腕から採血します。

肘正中皮静脈が見つかりにくい場合、医師や看護師が尺側皮静脈付近を触りだしたら危険信号、尺側皮静脈より比較的安全地帯を通っている橈側皮静脈をアピールするように大げさにグーパーを繰り返しましょう。

ところでどうして採血される時にグーパーをするかご存知ですか?

血管を浮き出させるために患者さんができること

「じゃあ、採血しますね〜。グーパーしてくださーい」って言われることありますよね。駆血帯で腕を縛るだけで血管が浮き出ている場合は医師や看護師はそんなことは言わないはずです。血管が見つかりにくいから、グーパーを要求されるのです。

静脈は手の先から心臓へ向かって血液が流れています(動脈は逆方向に流れます)。上腕を駆血帯で縛ることによって、末梢から心臓へ向かう血液の流れをせき止めることによって、血管を怒張させ採血しやすくするためにグーパーをすることによってポンプ的な働きを期待されるからです。

必要以上にグーパーを繰り返したり、めちゃくちゃ力を入れてグーッと手をにぎるのはよろしくありません。筋肉の細胞からカリウムが流れ出して正しい検査結果が得られなくなることがあります。

採血前に腕を下にぶらりと下げることも、血管を浮き出せることに役立ちます。下の方に溜まった血液の量が増えるので、駆血帯で静脈の流れを堰き止めることによって血管が目立つようになります(駆血帯を巻いてから下げては効果は期待できないよ)。

研修医が駆血帯をがっちり患者さんに巻きつけて、数分間に渡って血管を探している場面に遭遇したことがあります。駆血帯で強く締め付ければ動脈の流れも堰き止めることになるんだから、戻ってくる静脈内の血液量も減っちゃうよ。患者さんの真っ白になった手を観てこりゃマズイと思わなかったのかねえ、研修医。

血管が出にくいからと言って、肘をペンペン、パシパシするのはNGだよ

昔々の映画とかで、へんてこな薬の中毒の人が自分で注射をするために、ベルトとかを駆血帯代わりに腕に巻いてから肘のあたりをペンペン、パシパシ叩くシーンを観たことありませんか?今でも採血時に患者さんの肘の内側をペンペン、パシパシ叩く、あるいは指先で弾く医師や看護師を見かけることがあります。

採血時に注射する部分を叩いて刺激するのは、刺激によって血管壁が拡張して静脈のはっきり見えるようにするためです。

しかーし、血管をペンペン、パシパシするのは正確な血液検査のデータを得るためには禁忌です(「禁忌」とはしてはいけないこと)。

血管に衝撃を与えることよって赤血球が破壊されてしまい、カリウム(K) の値が増加してしまうことがあるからです。検査結果のカリウムの値が基準値をめちゃくちゃ超えていたら、採血した医師や看護師や検査技師がペンペン、パシパシしていなかったか思い出してください。その記憶がないのにカリウム値が高値であったら、速攻で再検査を⋯高カリウム血症は不整脈の原因となり下手すりゃ心臓が止まりますので。

カリウム以外にも肝機能の指標ASTやLDや鉄・リン・マグネシウムの測定値も高くなりますので、採血時のペンペン、パシパシは避けてもらったほうがいいです。

上手に採血をされるための事前の心得

いつも採血に失敗される方はご自分が肥満気味ではないかをチェックしてください。採血部位の皮下脂肪が厚くなることは採血の失敗の大きな原因となります。採血で失敗されないために、ダイエットしましょう(嘘だよ、採血が上手な医師や看護師がいるクリニックを探しましょう)。

採血で失敗されがちな人はぜひ筋トレに励んでください。アスリートって血管がくっきり見えますよね、筋トレをすることによって血管が太くなりますから(これも嘘だよ。アスリートの血管が目立って見えるのは皮下脂肪が少なくなって薄くなるために、血管が目立つだけ。お相撲さんは血管が見えないでしょ)。

アスリートはやっぱり血管太いじゃん、との意見もあります。大きな筋肉に栄養を行き渡らせるために動脈も太くなり、それに伴い静脈(採血の時に針を刺す血管)も太くなることが考えられます。血流量が多くなると血管の内皮細胞が刺激されることによって血管が太くなるのでしょう。

血液検査の日はなるべく暖かい格好をしてからクリニックを受診しましょう。前述のように体温を発散させるために血管が拡張することが期待できます(これは本当だよ)。

採血に連続して3回失敗されたら、ほかの医師や看護師に採血してもらうことを勇気をだして申し出てください。ベテラン医師がやってもうまく行かない手技を経験が浅い医師が行うと一発で成功することがあります(医師の間では「手を変える」とか表現されます)。採血が上手く行かない医師も看護師も患者さんの「他の人にお願いできますか?」との囁きに救われることもありますからね。

おまけ

2020年はへんてこな感染症の拡大により、医学生や看護学生の実習も制限されてしまう事態になっています。2021年にデビューする医師や看護師の中には採血が下手っぴなものが混じりこむ確率が高くなることが予想されます。ご自身の身を守るために、どのようにすれば失敗されないで採血ができるのかを知っておいても損はないと思います。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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