大幸薬品さま、当院にクレベリンを送りつけないでね!人体への安全性は確認されていないからね。

大幸薬品が空間除菌効果を謳うクレベリン12万個を医療機関に無償提供することが話題になっています。

科学的医学的にどうみても効果があるとは思えないクレベリン、本当にヒトに対しての安全性は確認しているの?

大幸薬品が主力商品のクレベリンを医療機関に無料配布

二酸化塩素を主成分とした、空間除菌という不思議なキャッチフレーズで有名な「クレベリン」を販売している大幸薬品が素晴らしい企画の準備をしていることが日経で報道されています。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHD1655C0W1A210C2000000/大幸薬品、クレベリン12万個を無償提供 全国の病院に

おお!医療機関に無料でクレベリンを配布してくれるなんて太っ腹、いい会社じゃん!!

と受け止めた一般人も多いかと思われます。でもさあ、クレベリンが空間除菌する効果があるかについては、まっとうなお医者さんだったら大いなる疑問を抱いているんですぜ。

はっきり言ってクレベリンで空間除菌しても、いま世界中が振り回されているヘンテコなウイルスによる感染症の予防効果は全く証明されていません。

いまから1年以上前にこんな記事を書きました。

当院にもクレベリンが送りつけられたらどうしよう(汗)。

疑問点だらけの大学と共同研究してクレベリンの効果を実証

大幸薬品が大阪府立大学との共同研究でクレベリンの効果を実証したと称する資料と大幸薬品が株主向けに配布した資料と大幸薬品のウェブサイトを一次ソースとして、クレベリンの効果は全く実証されていないことをしがない町医者である私が解説して、さらにクレベリンの非常に有効な使用方法をご紹介してみます。

まずはこの記事。

大阪府立大学と実施した共同研究では、クレベリンスプレータイプの10分の1にあたる濃度の二酸化塩素の溶液にやっかいな感染症ウイルス🦠を10秒さらした場合、感染能力を持つウイルスの数が99.9%以上低減することが確認できたという。

前掲日経より

この実験には疑問が複数あります。

  1. なぜクレベリンスプレータイプの10分の1の濃度の二酸化塩素を使用したのか?
  2. なぜ、やっかいな感染症ウイルス🦠を溶液に10秒さらしたのか?
  3. なぜ研究内容を学会で先行発表させたのか?

1は二酸化塩素ガス溶存液にSARSCoV-2液を加え、その溶液をヘンテコなウイルスに感受性のある培養細胞に接種する実験です。もしも、10分の1でウイルスを不活化していたのであれば、逆に10倍の濃度のクレベリンスプレータイプを販売する必要があるのでしょうか?

2ですが、たった10秒でウイルスを不活化可能ならば、長時間二酸化塩素ガスを吸引にした人体への悪影響に関しての実験などは行われていないのでしょうか、それも通常は10倍の濃度ですぜ。

3は学会で発表した後に論文に仕上げることは稀ではありません。でも大幸薬品が株主用に作成したと思われる資料が気になります。

さらにこのような戦略によって大幸薬品はクレベリン事業拡大を狙っているようです。

ターゲットは妊婦さん(トンデモさんがよくロックオンする対象)や受験生。エビデンスをわかりやすいストーリーに変換、も気になりますし、今後は高齢者にもターゲットを拡大する計画のようです。

このターゲットの1つとして医療機関がロックオンされ、今回の無償配布につながったことが予想されます。

二酸化塩素の化学式はClO2であり、次亜塩素酸の化学式はHClOです。

二酸化塩素は常温では気体です。ゆえにクレベリンは空気中に二酸化塩素が漂って空間除菌効果をはっきするとのロジックなのだと思われます。

プールの消毒に使用される二酸化塩素の濃度は0.1 mg/l以上、0.4mg/l以下と決められています。

医療機関や家庭で消毒に使用される次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸水は全くの別物である点に注意が必要です。

ペストマスクにクレベリンを詰めちゃえば、効果を発揮する可能性は否定できない、かも⋯。

こんなイラストを見たことはありませんか?

ヨーロッパで14世紀から15世紀に蔓延したペストという感染症があり、当時のヨーロッパの人口の3分の1が死亡したと言われています。その後、ペスト流行時にペストの治療をする医師たちは上記のようなマスクと防護服を着用していました。鳥のくちばしのようなマスクの中には感染を防ぐと思われた薬草などを詰め込んでいたのです。

Dr.STONEの受け売りですが、ペストマスクの素材が革である場合、ガスを吸入しない効果は十分に期待できるそうです(詳細はTVアニメ「Dr.STONE」の 第12話を。科学監修は「くられ」先生。)。

大幸薬品は「クレベ&アンド ウイルスプロテクトマスク」というマスクも販売しています。このマスク、実はクレベリンは含まれていないんですよね。さらに商品説明によると効果は情けないというか正直です。

マスクは感染(侵入)を防ぐものではありません。 ※抗ウイルス加工は、病気の治療や予防を目的とするものではありません。 ※抗ウイルス加工は、ウイルスの働きを抑制するものではありません。 ※マスクの機能性試験はフィルタ部(不織布素材)で実施しています。

https://www.seirogan.co.jp/products/eisei/cleveand_virusprotectmask.html

じゃあ、ペストマスクの先端にもろクレベリンを詰めた方が効果があるのではないでしょうか?⋯たぶん、ウイルスを不活化するとともに装着した人も死にます。

大幸薬品のウェブサイトでは二酸化塩素の安全性データにヒト、つまり人間への安全性を確認した気配がないのですから⋯・。

執筆者情報

桑満おさむ医師

このブログ記事の筆者:桑満おさむ
Osamu Kuwamitsu, M.D.

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

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