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おしっこ(尿)が漏れる

尿失禁(尿漏れ)とは

尿失禁(尿漏れ)は、なるべく人に知られたくないという考えから、悩みを1人で抱え込みがちです。尿失禁がなぜ起こっているのか、その原因によって対処方法も変わってきます。自分に合った対処方法を見つけて快適に過ごせるように、尿失禁の種類や対策・治療などについて紹介します。

どんな症状?

尿失禁(尿漏れ)の種類と症状

「尿失禁(尿漏れ)」とは、思いがけないタイミングで尿が出てしまい、自分の意思では制御できない症状です。日々このような症状が繰り返されると、外出することが不安になってしまったり、いつもトイレのことを気にするようになってしまったりと、生活に支障を来してしまいます。
一般的には男女ともに、加齢に伴ってこの症状に悩まされることが多くなります。女性では成人女性の割が尿失禁の症状を経験し、20代からこの症状に悩むことも少なくありません。また、男性の場合は加齢や病気の発症をきっかけに尿失禁の症状が現れることがよくあります。

尿失禁(尿漏れ)の種類

尿失禁(尿漏れ)と一口に言っても、その症状は以下のようにタイプによって少しずつ異なります。尿失禁の種類に応じた治療を選ぶことが重要です。

腹圧性尿失禁

くしゃみや咳をしたとき、歩いたり走ったりしたときなどに尿が漏れます。飛び跳ねるようなスポーツをしたときや、重い荷物を持ち上げたとき、介護の際のおむつ替えや子どもを抱き上げるときなどにも起こります。
女性に多く、加齢だけでなく出産の経験も影響します。膀胱などを支えている骨盤底の筋肉が緩むことで、尿を止めておくための筋肉も緩んでしまうことが大きな原因です。

切迫性尿失禁

急激に強い尿意を感じて、我慢しようと思っても難しくて、尿が出てしまうのが切迫性尿失禁の症状です。強い尿意とは、人と話をしていたり、テレビを見ていたりする最中でもトイレへ駈け込んでしまうほどの尿意です。切迫性尿失禁には「過活動膀胱(OAB:overactive bladder)」という状態が大きく影響しています。
これは、膀胱が尿で充満されているわけではないのに過剰に膀胱が収縮してしまうことで起こります。このタイプの尿失禁は加齢、脳梗塞後、頚椎症、糖尿病の合併症による神経障害、前立腺肥大症、骨盤臓器脱の患者さんに多く見られます。

溢流性尿失禁

排尿障害(尿が出づらくなる障害)に伴って起こります。尿を出しづらいために、膀胱から尿が少しずつ漏れ出てしまいます。男性の前立腺肥大症や、子宮がんや直腸がんなどで膀胱の近くを手術した影響、糖尿病の合併症による神経障害などが原因で排尿障害が起こり、溢流性尿失禁となることがあります。

機能性尿失禁

尿意を感じてからトイレで排泄するまでには、「トイレの場所が分かる」「トイレまで歩く」「下着をおろす」などいくつかの過程があります。そのどこかに支障を来している場合に、間に合わずに失禁してしまいます。たとえば認知症のように、認知機能や運動機能の低下が見られる場合に起こります。

男女で異なる?男女別 尿失禁が起こる理由

女性に多いと思われがちな尿失禁ですが、男性で悩んでいる人も決して少なくありません。特に男性の場合、生活に支障を来すような深刻な状態になってから受診されることも多くあります。男女では、それぞれ尿失禁の起こる理由が異なります。

女性の尿失禁の特徴

女性は膀胱や尿道などを支える骨盤底筋の力が男性よりも弱く、尿道も短いことが特徴です。このため加齢だけでなく、お腹に力がかかるような動作、出産や便秘など骨盤底筋への負担が筋肉の緩みの原因になります。特に腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁が多くなります。

男性の尿失禁の特徴

前立腺があることと、尿道が長く屈曲していることが男性器の特徴です。加齢とともに増える前立腺肥大症に伴う排尿トラブルや、排尿後しばらくしてから尿道に残って

  • いた尿が出てきてしまう排尿後尿滴下といったトラブルが起きやすくなります。

  • 投薬や手術で治せる?原因と対処法

    尿失禁は生命に直結するような重大な病気ではありませんが、生活に支障を来すことから、原因に合わせた対処法を見つけることはとても重要です。

    尿失禁を引き起こす病気や原因はさまざまですが代表的な原因は以下の4つです。

    1. 筋肉の緩み
    2. 内臓の不具合
    3. 精神的な理由
    4. 生活習慣

    運動は有効?尿失禁のセルフケア

    腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁では、骨盤底筋体操が有効です。ただし、基本的には受診をして尿失禁の原因をきちんと調べた上で、治療とセルフケアを組み合わせる必要があります。

    1 骨盤底筋体操の基本

    ・肛門を締める
    おならを我慢するようにキュッと力を入れてパッと緩める
    ・尿道や膣を締める
    尿を止めるように肛門よりも前の辺りにキュッと力を入れてパッと緩める
    ・骨盤底筋全体を締める
    尿道・肛門(女性は膣も)を下から上、内臓の方に引き込んでいくようなイメージで力を入れる。そのまま10秒間締めたらゆっくりと緩める

    2 骨盤底筋が動いているかチェック

    はじめは、骨盤底筋に力を入れようと思ってもうまくできないことがあります。骨盤底筋に力を入れているつもりでも、下腹部やお尻、内股に過剰に力が入ってしまうかもしれません。慣れるまでは、骨盤底筋が動いているかチェックしながらトレーニングをします。

    1 を始める準備をする
    ・あおむけの姿勢で足は軽く開く
    ・数回深呼吸をする

    あおむけになった時に背中が反ってしまったり負担を感じたりするようであれば、膝を立てたり太ももの下に枕やクッションを敷いたりすることで、うまく身体の力を抜くことができます。

    1 を行いながら筋肉の動きをチェックする
    ・女性は膣と肛門の間を、男性は陰嚢の後ろと肛門の間を指先で触れて筋肉が収縮しているのを確認する
    ・お腹に手を当て腹筋が硬くなっていないか確認する
    排尿の途中で尿を止めて骨盤底筋の動きをチェックするやり方もありますが、繰り返すことで残尿の原因になってしまいます。尿失禁のある人は避けましょう。

    3 いつでもどこでも骨盤底筋体操

    1 と 2 で骨盤底筋体操に慣れてきたら、生活のいろいろな場面で骨盤底筋体操を取り入れて、こまめに鍛えましょう。

    テレビを見ながら
    CMの時などに行うとよいでしょう。骨盤底筋に力が入っていることが分かる姿勢で行います。
    キッチンや洗面台の前に立ったとき
    家事の合間に行うとよいでしょう。キッチンや洗面台の前に立ち、両手をついて上半身の重みを預けます。前傾姿勢で両足は肩幅に開きます。腰を反らしすぎたり丸めすぎたりしないように、身体全体が「く」の字になっていることを意識しながら骨盤底筋を引き締めます。
    浴槽の中で
    入浴のときに、浴槽の中に両ひざで立つ姿勢や、浴槽にもたれて膝を立てた姿勢で行うとよいでしょう。腰が反ったり、丸くなりすぎたりしないようにします。お湯の中は身体の力を抜きやすく、指で直接会陰や膣に触れて筋肉の収縮を確認することもできます。浴槽の中で滑らないように十分に気をつけてください。
    電車やバスの移動中
    つり革につかまって立った状態や、座っている時でも行えます。

    基本となる1 の動きを1分に1回くらいのペースで繰り返します。1度に10分間のセットを1日に数セット行うことを目標にするとよいでしょう。

    尿の悩みは1人で抱えないで!専門家へ相談しよう

    最近では尿失禁(尿漏れ)などの尿に関する悩みの原因が医学的に解明され、治療の選択肢も増えています。まずは、お悩みの症状について専門家にご相談ください。問診の結果から、必要な検査と適切な治療方針を決定します。

    尿失禁の治療方法(検査、投薬、手術)

    問診では、どんな時に尿失禁が起こるのか、腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁の原因になるような病気や手術、出産の経験があるかなどを確認します。検査では、まず尿路感染症がないかどうか尿検査を行います。尿路感染症がある場合にはその治療をします。
    尿路感染症がなく腹圧性尿失禁の場合には、投薬による治療を行います。主に、スピロペント錠、トリプタノール錠といった薬を処方しています。
    切迫性尿失禁の場合には「過活動膀胱(OAB)」についての適切な治療を行います。腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁はどちらか単独で起こる場合もありますが、両方が合併している場合もあります。
    また、腹圧性尿失禁で重症の場合には手術という選択肢もあります。その場合には尿失禁の専門的な治療で実績が高い連携病院に紹介いたします。

    女性の尿失禁の診療科目は泌尿器科?婦人科?

    女性で尿失禁(尿漏れ)がある場合には、恥ずかしいからと泌尿器科へ相談することを躊躇する方も少なくないでしょう。以下を参考に思い切ってご相談ください。

    妊娠中や出産後である

    若い女性でも妊娠・出産をきっかけに尿失禁が起こることがあります。尿失禁の症状だけでなく、妊娠・出産の経過に合わせた対処が必要です。まずは通院先の産婦人科医や助産師に相談しましょう。

    出産経験があり膣の辺りに異物が触れる

    出産の経験を経て歳を重ねていくにつれて、骨盤底筋が緩むことで膀胱・子宮・直腸が下がる骨盤臓器脱(臓器下垂)から尿失禁を起こすことがあります。ご自身で膣の辺りに異物が触れることで臓器脱の可能性が分かる方もいますが、婦人科を受診すると内診によって調べることができます。

    持病があり継続的に投薬治療をしている

    薬の影響で起こる尿失禁もあるため、まずはかかりつけ医に相談をしましょう。

    高齢者の機能性尿失禁。家族にできる看護・介護のコツは?

    排泄の問題はデリケートなうえ、それまで自分でできていたことができなくなることは本人・家族ともにつらいことでしょう。高齢者の尿失禁には、日常動作をするための運動機能や認知機能が低下することで排泄行為がうまくいかなくなる機能性尿失禁があります。さらに、その他の種類の尿失禁も併せて起こっている可能性が少なくありません。 家族には以下のようなことができるでしょう。

    <排泄介助>

    ・定期的にトイレへ誘う
    2〜4時間を目安にトイレに誘って排尿を促します。
    ・生活リズムや排尿の習慣に合わせてトイレへ誘う
    促して排尿が上手くいく時間帯と、促しても尿が出ない時間帯を把握して、排尿しやすい時間帯に合わせてトイレに誘います。
    ・改めて排尿の習慣を身に付けさせる
    尿意を感じているときの様子に気付いたら排尿を促します。「落ち着きがなくなる」「足を動かす」「太ももをさする」など、行動を観察していて「尿意があるのかな?」と思ったら声をかけます。失敗は責めず、改めて排尿の習慣を身に付けられるよう後押しします。

    <環境整備>

    ・着脱しやすいズボンにする
    ボタンやチャックなどは、指先の細かな動作が必要です。これらがスムーズな着脱を妨げていないか確認して、脱ぎ着がしやすい衣服を選びます。
    ・トイレまでの移動をしやすくする
    廊下やトイレ内などに手すりを付ける、移動に不利となる段差をなくすなど、トイレに行って排泄するまでの環境を整えます。
    ・排泄用福祉用具や吸水パッド・オムツなど
    ポータブルトイレや尿器、尿取りパットや尿失禁パンツ、紙おむつなどを使用します。活動的な時間帯と夜間の排尿の対策方法を分けるなど、どんな排泄スタイルが本人にとって快適かを見極めたり話し合ったりしながら、排泄用品を使うとよいでしょう。

    尿失禁のタイプによっては、排泄介助や環境整備だけでは改善が難しいこともあります。背景に前立腺肥大症がある場合には、「尿道ステント前立腺部拡張術」や尿道バルーンを使用した「尿道狭窄拡張術」などを行っています。

    疑いのある疾患

    尿失禁(溢流性、反射性、腹圧性、切迫性、持続性)

    • 溢流性
      溢流性は尿が漏れ出てしまうもので、前立腺肥大症、神経因性膀胱などが原因です。
    • 反射性
      反射性は脳や脊髄の病気で起こり、尿道口の周囲にある膀胱括約筋のコントロールができずに膀胱に尿がたまると漏れてしまいます。
    • 腹圧性
      腹圧性は女性に多く、笑う、咳をするなどお腹に力を入れた時に起こります。切迫性は尿意を感じ、我慢できなくなり失禁する状態です。
    • 持続性
      持続性は尿道を締める筋肉に障害がある時に起こります。
    【大きな誤解】泌尿器科って恥ずかしいし、痛い検査されるし、と受診を控えている方へ

    【大きな誤解】泌尿器科って恥ずかしいし、痛い検査されるし、と受診を控えている方へ

    病気になっても受診したくない科目ベスト3入りが確実な(※n=5)である泌尿器科を専門としてしまった医師が、受診を躊躇している人々が泌尿器科に対して抱いているであろう誤解を解いてみます。オシッコのことで悩んでいる人、泌尿器科を受診するのは恥ずかしくないし怖くないし痛くないんだよ!ってことをお伝えします。

    更新日:

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    医療ニュース

    著者

    桑満おさむ医師

    このページの文責:桑満おさむ(医師)
    Osamu Kuwamitsu, M.D.

    1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区で五本木クリニックを開院。

    患者さん1人ひとりのホームドクターになるという理念のもと、常に敷居が低くどなたでもお気軽に来院できるクリニックを目指し、とくに日帰り検査・手術に力を入れています。技術の向上はもちろんですがより新しい医療機器や治療方法・医学情報の提供につとめています。患者さんとの会話を大切にしています。

    桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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