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やっぱり開業医は儲かる?まあ、普通は儲かっていると思われていますけどねえ⋯。

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医療は今でも成長分野であることは間違いありません。高齢化社会、新しい治療方法の開発、今までは老化のためしかたがないとされていた病気の治療等で患者さんというお客さんは増える一方です。

儲かる、儲かると言われている開業医の実態とは

医師免許制度により医師の数自体が決められている為に、大きなパイを限定された医師で分配することになるので、これからも医師は儲かる職業であり、サラリーマンと考えられる勤務医と比較して自営業あるいは企業経営者としての開業医の収入はうなぎ上りの明るい未来が待っている、なんて多くの人は考えていることでしょうね。

でも,実際のところ勤務医と比較すると開業医ってそんなの儲かるのでしょうか?企業に就職するより儲かるのでしょうか?

お子さんを医師にしようと思っている人も多数でしょうし、現時点では勤務医だけど将来は開業医になって大儲けしようと思っている若い医師もいるでしょうから、開業医って本当に儲かる職業なのか少々検討してみますね

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http://www.medit.jp/direction/merit-demerit/より
 

病院勤務だと年収1497万円、医療法人あるいは法人化していない開業医の年収はそれぞれ2530万円と2458万円であり、勤務医と比較すると開業医の方が年収が高い⋯儲かっていることがわかります。

でも、給与としてもらう約1500万円と事業収入から経費を差し引いたいわゆる年収を比較することによって、勤務医より開業医は儲かると判断できるのでしょうか?

開業医って何も保証はない個人商店と同じなんだけどね

自営業者や会社経営者の方ならば、売り上げが急上昇しても経営者たるご自身の収入が爆発的に増加するわけではない、ってことはご存知だと思います。もちろん中には一発当てて大儲け、って具合のアントレプレナーもいますが、ごくごく稀であり、確率的にはかなり低いと思われます。

医師は弁護士、会計士などとともに資格を得るのが難しい為に「ゴールドライセンス」なんて呼び方もされていて、ある程度のステイタスと収入が保証されている職業と一般の方には受け止められているようです。勤務医の年収1500万円、開業医の年収2500万円は普通に考えれば高収入であるには違いありませんが大企業の部長職と比較した場合には勤務医の年収は飛び抜けて高いとは言い難いのではないでしょうか?

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http://heikinnenshu.jp/tokushu/bucho.htmlより
 

これは従業員数1000人以上の大企業の部長の年収を賃金統計調査より算出したもので平均年収は1219万円になっています。じゃあ、平均2500万円程度とされている開業医の年収を企業の経営者と比較してみますと⋯

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https://service.jinjibu.jp/article/detl/rosei/1036/1/より
 

企業の規模や景気に左右はされるのでしょうけど、社長の年収だとさすがに見劣りするようです。この資料は2013年に「役員の報酬等に関する実態調査」を一般財団法人労務行政研究所が行なったものを引用していますが、こんなの極々一部の儲かっている会社のデータじゃん的なレスポンスもあるかもしれません。

でも、開業医の年収だって日本国中の開業医を対象とした調査結果ではないので、儲かっている開業医もいるだろうけど、赤字でかつかつの開業医も実際はかなりのいるかもしれません。

開業医ってかなりリスクがあるんだけどねえ⋯

会社の偉い人の年収と法人化していない開業医の年収を比較すること自体無意味なんです。例えば開業資金や運転資金を金融機関から借り入れした場合企業の経営者の年収から返済金を支払うことはないでしょうけど、開業医は借金の返済を自分の取り分である年収から支払っているのです。経費として認められるのは金利だけであり、年収イコール好き勝手に使えるお金ではありません。

医療法人にした場合、借入金は法人が返済することになりますが、私が知っている限りでは保証人に院長(医療法人だと理事長)がなるのが一般的です。中小企業や自営業者の場合と同じだと思われますが、大企業で会社の借金を社長や役員が保証人になることはまずありえませんよね。

社会保障についても開業医はリスキーです。これは弁護士さんも同じなんですが、健康保険は国民健康保険であり、年金も国民年金なんでまあまあの規模の企業の役職に就くより明るい老後とは言い難いのではないでしょうか?

確かに昔の開業医は儲かっていました

開業医が儲かる商売であるとの観念が確立されたのは、多分昭和の高度経済成長期あたりだと思われます。昭和36年に国民健康保険法が改正されて国民皆保険が実施されることになりました。

それ以前は今のように誰でもどこでも同じ医療費で標準化された医療を受けることができなかったなんて、若い人は想像もつかないのが日本の医療の実情だったのです。国民皆保険となった時代が日本の経済が右肩上がりで成長した時期と重なり、医療経済もどんどん成長というか拡大していました。所得税も最高で75パーセントなんて時期もあった反面、悪名高き収入の72パーセントが経費としてほとんど無条件で認められる医師優遇税制によって、開業医は儲かる、儲かり過ぎていると批判されていたのです。

今でも確か医師優遇税制的な制度は存在しているはずですが、医業収入がかなり低くないと適用されないので、今も適用している医療機関は少ないと思われます(詳細は調べておりません)。

どんな職業であっても、さらに同業種であっても儲かっている人もいれば、儲からない人もいるので、開業医って儲かるの?と尋ねられたら「儲かる人もいるけど、儲からない人もいる。定年が無いだけ健康ならば最終的には一般のサラリーマンよりは収入は確保できるよ」と答えるようにしています。

私の大先輩が昭和30年代に辺鄙な場所で開業しました。平成のバブル時代に高齢になったために閉院したのですが開業した土地を売って得た利益が自分が開業してからの総収入より多かったとのことこんな時代は多分今後100年は来ないでしょうけどね。

この医師儲かる説、開業医がっぽり儲かる説、話だせば長くなるのでこの辺でやめておきます

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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