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上流域にお住まいの「EM菌撒き散らしオバサン」、医師としては健康被害が心配です。

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ついついツイートで「EM菌まき散らしオバサン」なるパワーワードを投稿しちまったので、EM菌に関して説明義務があるんじゃあないかと考え、普通の人は知らなけれどウォッチャーに取ってはその動向が確実に観察されているEM菌について少々述べさせていただきます。

EM菌ってどんな菌かご存知でしょうか?

知らない人もひょっとすると近くの小学校のプールがEM菌で清掃されていたり、濁った川や池にEM菌をばら撒かれている可能性があるのです。知っている人は知っているけど、知らない人は見たことも聞いたこともないであろうEM菌。

有用微生物群(Effective Microorganismsの頭文字をとってEM)で構成された菌を主成分とする詳細不明の物体が「EM菌」です

EM菌の正体については科学的かつ医学的検証ではエビデンスは確立していません、だから医学の一分野である微生物学の教科書を調べまくってもこのEM菌を見つけることは不可能です

だってある一個人が言い出した菌ですから。

このEM菌を使って汚染された土壌や川を浄化しようとしたりする一派に毒された方をを見つけてしまいました。それがこれ❗

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これはFacebookの投稿です(現在は削除された模様 アメブロでも同様のことを書いており、キャッシュで確認できます http://archive.li/Ujr4B)。

この方が一般の主婦であったら私が問題提起の例として取り上げるのは不適切です。しかし、この方ってビーガン食(完全菜食主義者)を推奨する料理講習会を主催されたり (https://cafeohana.exblog.jp/) 、本を出版されたり、お金儲けののためのセミナーを開催しているので (https://ameblo.jp/lightsoulnavigator/entry-12355340984.html) 、ビジネスの一環としてこのEM菌というニセ医学・疑似科学を使っていると思われます⋯要するにプロです。

EM菌が小中学校で教えられている問題に関して「RikaTan (理科の探検) 2018年4月号」等をご参照ください(この雑誌で私もニセ医学の波動に関して投稿してます)。

ちなみにこのEM菌は病気の治療にも有効である、と主張する人もいます

パーキンソン病やアトピー性皮膚炎、さらにはがん治療効果まで万病に効果があるとしてネット上で拡散されていますが、少なくとも医学的効果はどれもこれは科学的な手法によって有効性が検証されているものはゼロです❗

そのようなEM菌を病気で悩んでいる人に勧める一派がいるのは大きなお世話というより、助かる病気を救えないだけじゃなくて、悪化させてしまう危険性を含んでいます。

土壌の汚染等のついては素人の私ですが、EM菌の医学的効果に言及されるとアウト

このEM菌はトンデモ案件であったのですが、今から7年前の2011年3月11日の東日本大地震の時に大活躍をしました、もちろん放射線障害をEM菌は治す、放射線で汚染された土壌を改善することを目的に日本の危機を救うためにEM菌信奉者が東日本に押し寄せました。

EM菌の普及を推進している団体は全国の小中学校でEM菌を使用したプール清掃運動を拡めています。そんな流れに乗ったこのEM菌まき散らしオバサンは最終目標はプールに入れる塩素をEM菌に変えてもらうことなんてトンデモ発言をしていています。予算を組んでプールにEM菌を投入する計画を目論んでいるようですが、そのEM菌ってご自宅でお手軽にペットボトルでお造りになっているんじゃないの。

自家製のEM菌を効果があるか明確なエビデンスなしに子供達が使うプールに投入

これでは子供達に健康被害がでる可能性が大いにあります。

プールに塩素が入っている理由としては細菌感染を防ぐ、ウイルス感染を防ぐ目的があります。それは文部科学省によって「遊泳用プールの衛生基準について」として通達されていますし、「学校保健安全法」という法律もあります(詳細は日本学校保険会の「学校における水泳プールの保険衛生管理」などをどーぞ)。

塩素を使用してプールの消毒しているのが当たり前のところに、殺菌効果があることさえエビデンスのないEM菌を撒き散らしたら、プールの浄化もできないでしょうし、成分不明の謎の菌であるEM菌感染症なんかに子供が掛かってしまったら、医師側は打つ手がありません、だってEM菌がどのような成分の菌で構成されているかは公表されていませんもん。

上流域に暮らす意識が上がれば下流域に暮らす⋯なんじゃこりゃ❗

このEM菌に毒されたオバさんは「上流域に暮らす私達の意識が上がれば、きっと下流域にも良いきっかけをもたらすと考えています」とも述べています。生態系にどんな影響があるか明確ではない(多分悪い影響)EM菌をプールに入れた後、排水時に上流域から下流域に流し込むのか、あるいは自分達は上流に生息する意識の高い層なので自分達がEM菌を積極的に取り入れれば、意識が低い下流域に暮らす人たちへ影響を与えられるという意味とも取れます。

こんな感じの選民意識を学校でのママ友に植えつけてマウンティングしているのかな?

こんな記載もあります「隙間時間に、銀座へ。歩いているだけで波動が整ってくよほど嬉しいのか内側にいる龍が、喜んでい…」(https://ameblo.jp/lightsoulnavigator/entry-12355653763.html)。

波動⁉これってEM菌が病気に効果を示す時に彼らが主張する理論じゃん

この波動理論を使ったEM菌は福島の原発事故の際にEM菌が含まれる飲料を子供達に飲んでもらったところ、除染効果があったとのトンデモ話があります。その効果を測定した時に使用されたのが波動測定器なるどう見てもインチキ測定器なんです。胡散臭さMaxのEM菌が万病に効果があると信奉者が言い出したら、その効果を信じますか?

波動医療というトンデモない代替医療というかニセ医学の拡散力の恐怖❗ニセ医学が標準治療をおびやかす。

波動医療というトンデモない代替医療というかニセ医学の拡散力の恐怖❗ニセ医学が標準治療をおびやかす。

波動医療は、医療とは名ばかりで医療ではないインチキ・ニセ医学です。詐欺に遭わない・騙されない・自分の目で見たことしか信じない、そんな人でもなぜか信じてしまうのが波動理論。その恐るべき人の心を掴むパワーはあれど、治療効果はまったくないインチキ医療の実態を解説します。

ちなみに首相夫人のアッキーもハマっている様子です→昭恵首相夫人がハマっている「波動理論」ってなんだ?

オーガニック→マクロビ→EM菌→スピチュアル、という王道

無責任にもEM菌でプールを清掃して、それを下流域にタレ流そうとしたオバサン、トンデモさんの王道を進んでいます。一般的に自然派を拗らせた方はオーガニックに懲りだし、その後一時期ビーガン食、そしてマクロビ、さらに進んでEM菌、次なるステップは予想通りのスピチュアルの世界です。この方のステップアップは矛盾だらけというか八方破というかビーガン食を推奨しながらご自身はしっかりとステーキを召し上がることからも知ることができます(https://ameblo.jp/lightsoulnavigator/entry-12343062924.html)。

ここからは私の想像ですけど、多分自然派セミナー受講→オーガニック→マクロビ→EM菌→自分でセミナービジネス開始→スピチュアルで上がり❗というお金の魅力に取り憑かれたトンデモさんがたどるステップを確実にお進みしているようです。

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https://ameblo.jp/lightsoulnavigator/entry-12355340984.html

お金儲けが悪い、なんてことは申しません。「新しいお金のお話会」を開催しても、文句は言いません。しかし、疑似科学やニセ医学をビジネスにしてお金儲けすることは批判されるべきだと考えます。

私がトンデモの王者EM菌に今まで触れなかった理由

EM菌が怖くてブログが書けるか、トンデモを語るなかれと思いつつも敢えて今までEM菌に私は触れてきませんでした。というのもEM菌に関して否定的な意見を記述すると裁判沙汰になってしまう可能性があるからです⋯「EM菌 擁護者と批判者の闘い―ドキュメント スラップ名誉毀損裁判」 、本になる前から裁判になっていることは知っていました。

しかし、医業を営みながら裁判それも本業とは別の件で時間を使うことは患者さんにも迷惑がかかりますし、自分の精神的負担・肉体的負担・金銭的負担を考えると弱気になっていたんです。でもやっぱり児童や学生の健康被害に繋がる可能性を含むEM菌によるプール清掃そして塩素代わりにEM菌を使用するなんてトンデモ発言が密かに称賛を受けていることを見過ごすことは信念としてできません。

宗教儀式として川や池に自然環境・生態系に影響を及ぼさないレベルである物質を投げ込むのは否定される行為ではありません。

しかしEM菌というヘンテコな菌をド大量川に投げ込んでいたら、当然環境破壊・生態系への悪影響の可能性もあります。プールの浄化のために使用されたら健康被害が出る可能性があります。

本来ならばEM菌でがんなどを治療するというニセ医学分野について述べるべきですが、子供をもつ親御さんの間で密かに、しかし確実に流布しているEM菌神話の怪しさを知っていただきたいために、今回は誰でも変だぞ、と思われるプール清掃とプール消毒に関して述べさせていただきました。しかし、プールへの自家培養したEM菌散布をOKし、今後のEM菌散布の予算の見積もりを依頼した校長先生、事前に調べることをしなかったのでしょうか?

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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