小林製薬さま、ケシミンで本当にシミは消えるのでしょうか?

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ネーミングセンスはよく悪くもインパクト抜群、CMを見ない日はない小林製薬さま。

あったらいいなをカタチにするというコンセプトのもと、数々の製品を世に送り出しています。その中で「ケシミンクリーム」というシミが消えるクリームがあります。

シミが気になっている方はちょっと試してみたい、と思ったことありませんか??試す前に、この医薬部外品の「ケシミン」について医師として掘り下げた記事をまずご覧ください。

またもや小林製薬さまの医薬部外品に非常に疑問が出てきました

効果効能をあからさまに主張できるのが医薬品や医薬部外品であることは多くの方がご存知だと思います。医薬部外品は化粧品より明確に効果を表示できます、でもその表現は医薬品よりはやんわりになってしまいます。となるとCMでの表現も本当は効果効能を強く訴えたいが、どうしてもまんま効果を表現するとダメ、でもイメージ的に効果を伝えたいとなるとグレーゾーンになってしまうのは致しかたない、と大人の解釈をしたとしても⋯

小林製薬の男もシミ対策・ケシミン

https://www.kobayashi.co.jp/brand/menskeshimin/

小林製薬のケシミンクリームはかなり誤解を招くCMになっているんじゃないの〜❗

商品の内容よりネーミングや広告手法に定評のある小林製薬のシミを解消すると、誰でもが考えてしまう「ケシミンクリーム」って本当にシミを消してしまうのか、医学的に薬学的に検証してみますね。

しかし、メンズケシミンクリームの効果を訴求するテレビCMはどうみても合成画像的なイメージ画像。あれで魅了されて買ってしまう人が少なくないことは、その後のケシミンシリーズの商品が増殖していることから大いに予想されますね。

ケシミンクリームの売れ行きに刺激されたのか、最近ではケシミンクリーム以外に「ケシミンふきとりしみ対策液」「ケシミン浸透化粧水」「ケシミン密封乳液」「ケシミン美容液」と充実したラインナップになっています。シミと呼ばれる医学用語では老人性色素斑・日光性色素斑に果たしてケシミンシリーズは本当に効果があるのでしょうか?

まずはシミの定義を述べよ❗

当院でも年々男性でシミの治療を希望する方が増えています。シミってなんだか老けた印象を与えますし、人によっては言いにくいことですがなんとなーく汚らしくも見えます。そんな新たなマーケットに早々に気がついた小林製薬さんはさすがです❗こんな感じのCMを流していますね。

https://www.youtube.com/watch?v=bw7Ho7qSDW8

*非公開になってました。現在はhttps://youtu.be/x0Lt-ur5eJY など

毎日毎日ケシミンを擦り込むとビタミンCとビタミンE奥まで染み込んで「いい感じ」になるそうです。有効成分のビタミンCとビタミンEは美容皮膚科でもよく使われる美白のポイントではあるのですが⋯シミ自体を消す作用ってあるのでしょうか?

つまりできてしまったシミに対してビタミンCやビタミンEを塗り込んでシミが消えるのか?との素朴な疑問があるのです。

美容皮膚科では単に塗る方法ではなく、イオン導入等の工夫を凝らしてシミの原因であるメラニンをやっつける戦法を選択することはありますが、塗るだけではどうもこうもならないことも多いのが事実です。そこで小林製薬のケシミンクリームの説明を見てみると⋯

できてしまったシミにケシミンが効果あるなんてことは一切書かれていません❗

製品の特徴としてのしみ対策クリームであるケシミンについてはこのように書かれています。

ケシミンの特徴

ケシミンの特徴が書かれています、でもこれってシミを消すことになるんでしょうか?

メラニンの生成を抑えます⋯メラニンができるのを抑制するわけで、すでにできてしまったシミへの効果は不明

血行を促進させるビタミンE⋯血行が促進することでシミが消えるのでしょうか?

バージニアホワイト配合で透明感のある肌に⋯シミはどこいっちゃったの?

ところで小林製薬のケシミンが対象としているシミはこのうちのどれに当てはまるのか、それもかなり不思議です。一般的に患者さんがシミと認識するものとして以下の6つの病変が考えられます。

  1. 老人性色素班
  2. 脂漏性角化症
  3. 肝班
  4. ソバカス
  5. 後天性真皮メラノサイトーシス
  6. 炎症性色素沈着

ケシミンのCMでシミと呼んでいるのは1の老人性色素斑だと思われます。

そこでケシミンが本当に老人性色素班に効果があるのか、小林製薬のケシミンの効能に書かれていることをよくよく読んでみると⋯驚きの結果に❗

薬機法とかの縛りもあることは十分に理解はしています。本当にできてしまったシミをケシミンで消す効果があるのなら、ケシミンクリームのビフォーアフター画像を症例集的に掲載してくれれば、それなりに納得はするんだけどなあ。

ケシミンってあくまでシミの予防であり、できてしまったシミは消えないのではないか疑惑発生

テレビで流れているケシミンのCMって明らかに自分のシミに気が付いた男性がケシミンを使用してシミ消しにトライしていますよね。

でもさー、ケシミンの効能はこんな風に小林製薬さんは述べているんですよ。

メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。肌あれ。あれ性。あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。皮ふをすこやかに保つ。肌を整える。皮ふにうるおいを与える。日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。肌をひきしめる。

https://www.kobayashi.co.jp/seihin/kmn_c/index.html

ケシミンの効能

ケシミンってシミやそばかすを防ぐだけじゃん❗

つまり私の素朴な疑問にスッキリお答えしていただいたってことです(苦笑)。皮膚を健やかに保とうが、肌を整えようが、皮膚に潤いを与えようがケシミンを毎日使ってもシミを消すことはできるとは一言も書かれていません❗

となるとあのCMはなんだったんだ?

追記

この記事は2018年に投稿したのですが、2020年5月現在、CMではシミの予防をアピールに変更されている模様です。

さすが小林製薬さん、ツッコミどころをしっかりカバーしておりました

youtubeにアップされていたケシミンのCM、よくよく聞いてみると

「そうなる前に」

と親切にちゃんと警告していますね、さすがだよ

なんで私が小林製薬のケシミンのCMの解説をしなきゃなんないのよ的な気持ちを最近大人の心がけていますので試みて見ますと

ご自分のシミ(老人性色素斑)に気が付いた男性がヤバイと思う→そうなる前にメンズケシミン❗→これくらいとって毎日塗り込む→奥までビタミンCとビタミンEが染み込む→いい感じ❗と男性喜ぶ

という構成になっています。

小林製薬もできてしまったシミがメンズケシミン(ケシミンクリームと同じ)で消えてしまうなんて一切言っていませんね。小林製薬さま、疑ってごめんなさん。と素直に謝罪いたしますがあ⋯どう見ても多くの人はメンズケシミンであろうとケシミンクリームであろうと出来てしまったシミが消える、消せると解釈しているのはなんでなんだろうねえ。

こんな広告もありますぜ、ケシミン関連かなり危なっかしい表現

小林製薬のCMって非常によく出来ていて、法的に問題点が指摘されないような工夫がなされています。例えばこんなこともありました。

小林製薬さま、これはちょっとやり過ぎなのではないでしょうか?

小林製薬さま、これはちょっとやり過ぎなのではないでしょうか?

小林製薬が販売している「シイタゲン-α」というシイタケ菌糸体を主成分とした健康食品の広告が、がん治療をしている人をイメージするような手法をとっており悪質と言わざるをえません。小林製薬のシイタゲンの効果は、免疫抑制細胞の増加が抑制されて免疫機能が回復したとのマウスの実験によるものだけがエビデンスです。

これはどう見てもがんと闘っている方向けのメッセージになっています。これに泣かされたがん患者さんも実際にいらっしゃいます。またこんなネット広告もあります。

小林製薬ケシミン全顔塗り

https://www.kenko.com/P8083496/p.html

どこでケシミンの全顔塗りが話題になっているんだろうねえ

使用した方のこんな口コミを見ることも出来ます。

いつの間にかできたシミに使用しています (17/6/14) By さくらんぼさん いつの間にかできたシミに使用しています。無香料であまりクセがなく使いやすいです。1ヶ月弱くらい経ちましたが、消えたわけではありませんが濃くはなっていないので継続したいと思います。

まあ、しっかりと小林製薬のケシミン関連サイトを見れば出来てしまったシミに対する効果があるとは書かれていないことを確認していないのでしょうねえ。この方はダメです。

2回ぐらい使用したが (13/7/10) By みーささん 2回ぐらい使用したが、あまりシミは改善されなかった

2回ぐらいって二本使ったのか、二回塗っただけなのか不明ですし、小林製薬さんも「毎日、毎日」って言ってんじゃん。さらに「シミは改善されなかった」はケシミンの効果効能的には無理であることはしっかりとケシミンの解説ページに書かれていますぜ。

ケシミンをご利用しているお客様ってあわてんぼうさんが多いようですね、と言いたいところですが、そんな解説ページなんて読まないですよね。ということで、ここまで読まれた方は買う前によく調べて納得して買いましょう。

おまけ

院長がブログで過激なことを書くから患者さんがドン引き、ってご意見があるようですが、だって本当なんだもん。私のブログはどなたでわかりやすく正しい医学情報をお伝えすることが目的なんで、美容関連であろうとがん治療関連であろうと変なもんは変なの、それを微力ながら多くの人に知ってもらうのが目的であって患者さんを集めることなんか関係ないよー。

著者プロフィール

桑満おさむ(医師)


このブログ記事を書いた医師:桑満おさむ(Osamu Kuwamitsu, M.D.)

1986年横浜市立大学医学部卒業後、同大医学部病院泌尿器科勤務を経て、1997年に東京都目黒区に五本木クリニックを開院。

医学情報を、難解な医学論文をエビデンスとしつつも誰にでもわかるようにやさしく紹介していきます。

桑満おさむ医師のプロフィール詳細

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