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妊娠中のアセトアミノフェンとADHDの関係、妊婦さんへの薬の処方は医師泣かせです

妊婦さんに安全な薬ってあるんだろうか?

通常の診療を行なう上で注意を怠ってはならない事として、女性の場合は妊娠しているか、否かです。万が一、胎児に影響を悪い影響を与える可能性のある薬を処方してしまったら、妊婦さんも生まれて来る赤ちゃんをも一生苦しめる結果になってしまいます。

妊娠中にインフルエンザになった場合の問題点は以前ブログでご紹介しました。インフルエンザに掛かってしまった時にある種の消炎鎮痛剤・解熱剤は重い副作用と強く関連しているので、比較的安全とされている「アセトアミノフェン(商品名カロナール)を選択する医師が多くなっています。しかし、このアセトアミノフェンを妊娠中に服用すると生まれてくるお子さんがADHD(注意欠陥・多動性障害)になるリスクが高まるんじゃないか?という論文があります。

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デンマークの妊婦さん64000人のデータ

欧米ではなんと10人に1人の子供がADHDと診断されています。解熱鎮痛剤のアセトアミノフェンを妊娠中に使用したこととこのADHDが強く関連している可能性が出てきました。「Acetaminophen Use During Pregnancy, Behavioral Problems, and Hyperkinetic Disorders」(JAMA Pediatr. 2014;168(4):313-320. doi:10.1001)というタイトルです。

デンマークで行なわれているコホート研究の一つとして1996年から2002年に登録された妊婦さん64322人を対象としてデータを分析しました。妊娠中にアセトアミノフェンを使用したか、出産後の子供は5歳以降ADHDと診断されていないかについて聞き取り調査をしました。

妊婦さんの半数以上がアセトアミノフェンを服用していた

という衝撃的な結果が導きだされたのです。正確には回答者40916人中22687人の55%です。そしてアセトアミノフェンを服用した妊婦さんの子供と飲まなかった母親から出産した子供では7歳の時点でADHDと診断されるリスクを比較した所

妊娠中のアセトアミノフェンでADHDになるリスクが1.13倍になっていた

という結論に達しました。

ADHDになる率は服用期間と服用頻度に依存していた

妊娠中にアセトアミノフェンを服用した場合、かならず子供がADHDになるわけではなく、リスクが上昇していたという事が分ったのですが、どう見てもアセトアミノフェンとADHDの関連は強く結びつける結果もこの論文は伝えています。

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上記論文より

まず妊娠期間は第一トリメスター(妊娠初期)、第二トリメスター(妊娠中期)、第三トリメスター(妊娠後期)という表現を使用しますが、複数のトリメスターに服用していた方がリスクが高くなっていたこと。妊娠期間を通して服用期間が長かった方がリスクが高くなっていたこと。この二つの結果と全体のADHDのリスクの上昇を考えると明らかにアセトアミノフェンの妊娠中の服用は強く生まれて来る子供のADHDのリスクを高めているのです。

妊娠中の薬はどうすりゃいいんですか 泣

この研究がでるまでもなく「妊娠中の医薬品の服用は慎重に行なう」という大原則があります。万が一、妊娠中の服薬と生まれて来る子供の健康上の問題に医学的に関連性がない、とされても母親は「あのとき飲んでしまった薬が原因かもしれない」と一生悩み続けると思われます。一般的な処方薬は必ずこのような注意書きが添付されています。

[ 妊婦、産婦、授乳婦等への投与]
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。]

妊娠中の方に実験的に薬を投与して、生まれて来る子供に対して影響がないかを調べる事は人道上許されません。その為にあかちゃんに副作用と思われる症状がでてから、当局に対して「ひょっとしてこの薬が原因ではないか」ということを伝えるしか方法が無いのです。

その為、多くの医師は妊婦さんに対して処方を控えてしまいます。すると妊婦さんの行動として「漢方薬なら安全かも」「市販薬なら大丈夫かも」となってしまいます。しかし、今回のアセトアミノフェンは欧米ではタイレノール、日本ではノーシンやバファリンの一部などが知られています。

万が一、妊娠中に痛みや熱が出た場合は市販薬に頼らないで医療機関を受診してください!!と言いたい所ですが、妊婦さんに対して確実に安全であるとされている鎮痛解熱剤は存在しません。妊婦さんでなくとも100%安全な薬は無いのだ、ということを医師はもちろん患者さんもご理解頂く必要があります。しかし、「有益性が危険性を上回ると判断」するのは医師なのです。医師の責任ってかなり重いものであることを今回の論文によって再度認識しました。